情報カードの始め方:ノートとカードをどう使い分けるか

情報カードを使ってみようと思う人であれば、
すでに日常的にノートや手帳など、何かしら利用しているものがあることでしょう。

筆者の場合もノートは常に持ち歩いており、
・思考の整理
・ライフログなどの行動や思いつき、気付いたことの記録
・各種メモ、備忘録
などに利用していました。

情報カードを使うということは、情報カード専用に新たな”書き出し”を始めるか、
これまでノート等に書いていた内容の一部または全てを情報カードに移すことになります。

結論として、筆者はノートとカードで記載する内容を分けて併用することを選びました。
・情報カードには、1件1葉で思考・情報を整理し記録する [思考の整理]
・ノートには、感情や思いつきを時系列で記録する [ライフログ、備忘録
]

本記事では、そこに至るまでの考え方をまとめておきたいと思います。

梅棹忠夫氏は全ての記録をカードに残した

カードを使った情報整理法を世に広めた梅棹忠夫氏は、
著書『知的生産の技術』の中でカードについてこう述べています。

わたしは、いろいろな形式のノートをつかってみたが、どれにも満足できなかった。けっきょく、いまではノートというものを、まったくつかわなくなってしまった。そして、なにもかもカードにかくことにしてしまったのである。

梅棹忠雄 『知的生産の技術』 より

けっきょく、なんでもかんでも、これにかけばよいのだ、ということに気がついた。それで、それまで野外調査の整理にだけつかっていたカード・システムを、知的生産の全領域に拡大して適用することにして、いっさいのノートをやめて、カード一本にしてしまったのである。

梅棹忠雄 『知的生産の技術』 より

梅棹氏の場合、野外調査等で記録した膨大な量のノートを持ち帰り、
その内容を整理して研究成果としてまとめていたそうです。

ノートはその性質上、記載内容が時系列に並んでしまいます。
最初から完全に同じテーマで書くことは難しいですし、
仮に同じテーマだとしても必要な部分だけを抜き出すような作業には向いていません。

一方でカードであれば、後から必要なカードを並び替えるだけで”整理”が可能です。
その利便性から梅棹氏は全てカードに記録するようにしたと本書の中で述べています。

ノートをカードで置き換えるべきか?

確かにカードをそのまま時系列にまとめておけばノートの代わりにもなりますし、
ノートの機能をカードで代用するというのも可能かと思います。

ただ筆者としては、ノートとカードは使い分けた方が便利と考えます。
やっぱり『モノを書く』上でノートは便利なんですよね。

以下にノートも併用する方がよい理由と、併用した際の弊害について述べていきます。

ページを跨いで書き続けたい場合

長文でも短文の積み重ねでも、
ページを跨いで書き続けるような場合はノートの方が良いでしょう。

ノートであればそのページが終わっても、隣のページに移るか、
次のページを開くだけのアクションで継続ができます。

一方カードの場合は、1枚書き終わるごとにカードを入れ替える手間が生じます。
(机の上などに何枚も並べておける場合は別ですが)

穴あきカードにリングやバインダーを通して「めくる」ことも可能ですが、
それであればカードよりもノートを使ったほうが圧倒的にラクなはずです。

時系列に意味がある内容を書きたい場合

ライフログや日記のような自分自身(と関連)の記録は、
時系列に並んでいるからこそ後で見返した時に価値が生まれます。

書いていた当時の出来事、考えを思い出したり、
意外と考えていることが昔から変わらないことに気付いたり、
時間を遡って振り返れるからこそ気づけることがあります。

ノートであれば、ノート毎の管理方法は考える必要がありますが、
基本的に何もしなくても勝手に時系列の記録として保存されます。

カードも時系列のまま置いておけば良いかもしれませんが、
時系列のまま保存するカードと、組み換えるカードを別で管理するのは、
個人的にはちょっと面倒です。

併用することで”弊害”も発生する

一方で、書き出す場所を分けることによる弊害も発生します。

何かを書こう!と思った時、「どっちに書く?」を考えなければなりません。
慣れれば直感的に「カード/ノートに書くべきだ」と判断できますが、
一瞬の迷いのせいで書くタイミングを失うことも起こりえます。
(どっちに書こうか迷って、結局どっちにもかけずに終わってしまう)

どちらにどんな内容を書くか自分の意思を明確できないうちは、
とりあえず1つの対象に絞って書き残していくのが良いでしょう。

情報カードとノートの使い分けの例

ここからは筆者なりの情報カードとノートの使い分けについて述べてゆきます。

冒頭でこれまで私がノートに書いていた内容を3つ記載しましたが、
それを情報カードとノートに分類すると以下のようになります。
・思考の整理は『情報カードに書く』
・ライフログ、メモ、備忘録は『ノートに書く』

それぞれ少し深掘りしてゆきます。

思考の整理は『情報カードに書く』

頭の中のモヤモヤをはっきりさせたい時、
私は思考の整理としてノートにモヤモヤを吐き出し整理していました。

思考の整理を行なってまとめた情報は、
時系列ではなく関連する内容ごとにまとめて管理すべき内容になります。
そのため、この作業は情報カードへと移すことにします。

ただノートから情報カードへと場を移すだけではなく、
書き方(進め方も)すこし変化しています。

情報カードの使い方の鉄則は、1枚1葉で完結させることです。

複数の課題や仮説が同じカードに混在してしまうと、
後でカードを見返した際にカード間のつながりが見えにくくなります

そもそもノートに比べ紙面が限られる情報カードですので、
あれもこれも書こうとすると紙面が足りなくなると言うのもありますね。

そのため課題が複数あったり、複雑でよく見えない場合は、
最初に課題を細分化するためのカードを一枚作ります。
このカードは細分化だけで、その先の深掘りは行いません。

その後、細分化された課題ごとに1枚のカードに深掘り・整理を進めます。

ライフログ、メモ、備忘録は『ノートに書く』

ノートの特徴は、書いた内容が時系列に並ぶことにあります。
(もちろんページごとに内容を固定するような使い方をすれば別ですが。。)

過去から現在への時系列の記録として残しておきたいライフログや、
時間と関連して思い出したいメモ、備忘録はノートに書くのが適切でしょう。

情報カードとノート、どちらに書くべきか迷ったら?

迷った場合はとにかく書く!ということで、ノートに書いています。
ある意味ノートはカードを包含できますので、
書かずに忘れるぐらいだったらノートに書き出します。

ただ、ノートに書き出した結果ある程度の文量になりそうな場合は、
適度なところで切り上げて情報カードに書き直す、と言うことも行います。
短くまとめられないということは、何らか頭の中がモヤモヤしていると言うことなので。

感覚的に書き出して3行程度で終わる内容はライフログとしてノートに残して、
それ以上続くようであれば”ネタ”としてノートに残しつつ、
本編を情報カードに書くよ言うにします。

一つだけ例外も:書きづらい場所で書く場合

歩いていてふと何か思いついた、あるいは通勤の電車内で何かメモりたくなった、
そんなときは短文でも何でも、情報カードに”メモ”しています。

理由は、情報カードの方がどこでも書きやすいため。

ノートって立ったままとか狭い場所だとどうも書きづらいんですよね。

筆者は右利きなので、左手でノートを支えつつ右手で書きます。
このとき、大きなノートは左手で支えるのが辛かったり、
ノートがしなってうまく書けないことが非常にストレスになります。
また狭い場所だとノートを広げるのにも気を使う場合があります。

一方で情報カードの場合は、台紙となる『ジョッター』を使用します。
(要はクリップボードのような、カードを支えるボードのことです。)

このジョッターがあるおかげで、どこでも机の上(とは言い過ぎですが。。)かのように
ストレスなく筆記を続けることができます。

また情報カードのサイズは大きくてもB6で、私の場合はA6サイズを利用しているので、
電車で両隣に人が座っているような状況でも気にすることなく広げることが可能です。

もちろん、時系列に残すべき内容であれば、その後ノートに転記します。

まとめ

この記事では、これから情報カードを使い始める方に向けて、
ノートと情報カードの使い分けについて筆者の考えを述べてきました。

全てを情報カードに記載することも可能ですし、
人によって”気持ちの良い”使い分け方は様々あるかと思います。

私の場合は主に『時系列に残したいか否か』によって、
情報カードとノートを使い分けるようにしています。

正解はないのでいろいろ試行錯誤するしかありませんが、
その際の参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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