阪神タイガースFAヒストリー ■其の一(会長記) | 堂島猛虎会のブログ

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タイガースファンの3人が綴る、猛虎愛ゆえの強く厳しい評論を発信していくブログです。

 

2021年オフは正捕手である梅野隆太郎がFA権を行使するかどうかでファンはやきもきした

事と思う。

結果は「FA権を行使せずチーム残留・複数年契約」となった。

 

梅野は自身の言葉で「熱烈なファンの存在が残留の決め手だった」と語った。

 

 

真相はどうだろう。

 

噂されたのは出身地である博多に

本拠地を置くホークス。

阿部慎之助以後、正捕手が

固定できないジャイアンツ。

 

だが、ホークスには日本代表捕手である

甲斐拓哉がいる。

年齢もまだ29歳。30歳の梅野よりも1歳若い。

 

またこれは推測だが・・オリンピックでも甲斐のプレーやベンチでの立ち回り方を見て「これはかなわない」と感じたのではないだろうか。

 

コーチの少ない代表戦、投手交代の前には甲斐自らブルペンに電話をしてリリーフ投手に直接指示を出していたという。

 

梅野にそれが出来たかどうか?まだ自分は半人前だと感じたのではないだろうか。

 

ジャイアンツは小林誠司が正捕手に定着できないせいで、ライオンズから炭谷を獲得したり強肩強打の大城卓三が正捕手かと思いきや攻守でバランスのいい岸田行倫もいたりと混沌としている。

 

だが、さりとて梅野隆太郎が欲しいか?となればそれほどではなかったのではないだろうか。

 

ヤクルト、中日はそれぞれ

中村、木下が正捕手として定着。

一般に捕手のFAはどの球団でも欲しがる傾向にはあるのだが、これが正捕手クラスとなると金額との相談になる。

 

横浜、日本ハムあたりなら、とも考えられるが色良い話が梅野の耳には届かなかったのだろう。

 

実際、昨今のFA宣言は選手側が「匂わせ」、球団側がそれに対する反応をマスコミに「漏らし」それが報道に「流れる」というパターンで、選手側がその情報をフィードバックするという図式が目立つ。

 

そしてその情報は我々ファンの耳にも漏れ聞こえるものだ。

試合の終わったオフの格好の新聞ネタであるからだ。

 

だが、今回の梅野に関しては一向にそういう噂が流れてこなかった。

 

上記のように他球団からいい話が出てこなかったか?または早い段階で阪神球団が複数年契約を含む交渉に乗り出していたか、である。

そう思えば矢野監督の不自然なくらい、興味のなさそうな発言も合点が行く。

 

最後まで梅野任せではあったにせよ、一定の手応えをつかんでいたのかもしれない。

 

一方で、早ければ今季中にも国内FA権を取得するライオンズの森 友哉の存在が梅野獲得への触手を鈍らせたのではないか?という報道もある。

 

捕手はどの球団も欲しがるが、なにより欲しいのは「打てる捕手」だ。

森智哉がFAするとなれば市場は大いに沸き立つことであろうと思われる。

 

それを見据えて「今回、梅野は見送ろうか」となった球団もあったか。

ジャイアンツなどは一番に手をあげるだろう。

 

地元大阪のオリックスや打率.095の加藤匠馬がマスクを被るロッテなども喉から手が出るほど欲しいに違いない。

 

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紆余曲折あったかどうかは・・・推察でしかないが結局梅野は残留となった。

 

 

 

ところで、だ。

 

このFA制度。

果たして阪神球団の歴史のなかでどのような効果をもたらしたものか。

 

また例によって長くなってしまいそうなので(梅野の話だけで随分前置きが長くなった)、今回は「其の一」として阪神タイガースFAヒストリー、

 

「阪神からFAで出て行った選手」

 

を取り上げてみる。

 

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NPBで最初にFA制度が導入されたのは1993年。

この年に早速4名の選手が行使している。

 

まず落合博満と駒田徳広の2名。

 

そして残り2名が石嶺和彦と松永浩美。

2人ともブルーウェーブとタイガース。

 

ブルーウェーブから「世紀の愚作」による「最悪トレード」によりタイガースにやってきた松永浩美がわずか1年でチームを出ていく。

おまけにFAの「一番行使」はこの松永だ。

 

そしてまた懲りずにブルーウェーブから迎え入れたのが石嶺和彦。

 

BASABALL ONLINE

 

松永浩美(阪神タイガース→ダイエーホークス)

落合博満(ロッテオリオンズ→讀賣ジャイアンツ)

駒田徳広(讀賣ジャイアンツ→横浜ベイスターズ)

石嶺和彦(オリックスブルーウェーブ→阪神タイガース)

 

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この松永浩美(もうこの名前を打つのも腹が立つ・・・)を筆頭に阪神からFAで出て行った選手は9名。

MLB移籍が3名、リーグが変わったのが2名。

 

ほかにFAを宣言した上で残留した選手がのべ17名いる。

 

2014年の鳥谷敬など記憶に新しい。

ほかにも能見篤史や関本賢太郎など。

矢野輝弘と下柳 剛はそれぞれの2度宣言~残留をしている。

 

 

 

FA権利の取得には、2度の改訂を経て現在は累計8年(通算1160日)経過で取得できる。

また、大学生・社会人出身であれば計7年(通算1015日)経過で取得となる。

 

だが、当初は(投手も同様だが)10年が(累計10年:通算1450日)必要であった。

 

今よりさらに選手寿命も短い時代のこと、10年経ってからでは「峠を過ぎたベテランの椅子の移動」に過ぎなかった。

 

 

移籍前後の成績を比較してみる。

 

まずは野手。

 

 

当然ながら松永浩美、野口寿浩、藤本敦士は移籍先で成績を下げて現役を終える。

 

MLB移籍となった新庄剛志はメッツで「日本人初の4番打者」となる。

相手投手はなんとランディ・ジョンソンという・・・やはりこの男、通常の物差しでは測りきれない。

日本ハムに戻ってからさらに成績をあげて引退するのだから訳のわからない選手だ。

 

阪神タイガース80年史

ベースボールマガジン社

 

 

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・・・話はそれるが、「美談」の類として新庄自身がよく話している話で

「ずっと使い続けたグローブがもう修理不可能になったから引退を決めた」という話がある。

 

それは時に「プロ入り前に父親に買ってもらった」ものだと言ったり、「プロ入り後の初の給料で買った」と言ってみたり少々ネタがぶれる。

 

最近では「プロ入り後初めて貰った給料で買った7,500円のグローブ」という話に落ち着いているようだが、新庄はプロ入り当初は遊撃手だ。

 

読者の方々も当然ご存知の通り遊撃手のグローブで外野は守れないし、逆もまず無理。

 

それにいくら昔の話だと言っても硬式用のグローブが7,500円で買えるわけがない。

私が野球部に入部する甥っ子にお祝いとして買ったグローブはそれにゼロがひとつ付く。

 

むろん、軟式用のグラブで守れない事はないが、ハイ・パフォーマンスを求めるのなら硬式用を使うのが当たり前だ。プロが使うには軟式用は柔らかすぎるからだ。

 

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阪神を出て行って成績をあげたのは大和だ。

 

打率、長打率ともに阪神在籍時を上回り、阪神時代9年で3本しかなかった本塁打は3年で6本を数える。

これはもちろん球場の大きさによるところも大きいと思うが、なによりポジションの固定と出場機会を与えられた事に尽きると思う。

 

 

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では今度は投手編。

 

 

松永浩美の衝撃から2年後の1995年。

阪神を去ったのはマイク仲田。

 

YOMIURI ONLINE

 

2年間在籍したがご覧の通り。

阪神球団から散々な扱いを受けて出て行ったとされているがそれでも阪神にいたほうが良かっただろう。

 

藪も完全に「新天地を求めて」の移籍。

 

藤川球児もこの拙ブログで何度となく書いた背景を背負ってのメジャー挑戦だった。

 

久保康友に至っては少々気の毒な思いが残る。

 

久保は典型的なゴロピッチャーで「打たせて取る」スタイルであった。

だがチームの守護神、藤川球児がメジャーに移籍したせいでクローザーの役目が回ってくる事になるがこの2013年にはとんでもない事件が渦巻いていた。

 

「統一球問題」である。

 

詳しくは割愛するが、国際基準などに向けて球団ごとに違う規格であった試合球を統一したものの反発係数が低過ぎて「飛ばないボール」となったものをNPBが開幕後から「反発係数を上げたもの」にこっそり変えていたものだ。

 

「打たせて取る」タイプの久保には酷な話だろう。

なにせ「打たれたら飛ぶ」のだから。

3月・4月は11試合で防御率0.64だったのが突然5月に入って8試合で防御率12点台と大崩れになるのだ。

 

三振を奪えるクローザーならここまで大きく崩れることはなかっただろうと思うが。

 

結局、久保は先発機会を求めてFAする。

 

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このように今のところFAで阪神を出て行って成功したといえる成績を残した選手はいない。

成績をあげたのが大和くらいである。

 

一方で「阪神に来た選手」はどうだろうか。

 

次回は「阪神タイガースFAヒストリー■其の二」として

 

・何しに来た?

・来なくてもよかったんじゃ・・?

・働いてくれた方だろう

 

の3項目に分けてお届けいたします。

 

 

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