JW37【神武東征編】EP37 三本足、再び

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 熊野で出会った、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)の息子、高倉下(たかくらじ)が、狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行に説明を続けていた。


 高倉下(たかくらじ)「あの・・・天磐盾(あまのいわたて)の岩についても、説明がありまして・・・。」


 サノ「では、そちらの解説も頼もうぞ。」


 高倉下(たかくらじ)「岩の名前は『ゴトビキ岩』と言いまする。ゴトビキとは、地元の方言で、ヒキガエルという意味にござりまする。」


 神倉山1
 神倉山2
 ゴトビキ岩
 天磐盾

 サノ「形がヒキガエルに似ておるからか?」


 高倉下(たかくらじ)「よく分かりませぬ。すみませぬ。不器用・・・ですから。」


 サノ「気にせずとも良い。じゃっどん、分かったこともある。岩を祀るという原始信仰から、神々が生まれ、御先祖様と融合していったのじゃ。熊野が大和に組み込まれていく中で、地元の神の名前が、しっかり残っていったのであろうな・・・。」


 高倉下(たかくらじ)「そ・・・そうかもしれませぬな。では、説明も終わったので、私は帰りまする。」


 サノ「御尊父(ごそんぷ)や弟君(おとうとぎみ)に何か、伝えることはないか?」


 高倉下(たかくらじ)「私は・・・熊野に骨を埋(うず)めます・・・と・・・。」


 サノ「あい分かったっ。」


 こうして、高倉下は、言うだけ言って、帰っていったのであった。


 高倉下(たかくらじ)と別れた狭野尊一行は、熊野から中(なか)つ国(くに)を目指し、山中へと足を踏み入れた。

 山中へ

 しかし、山深い土地柄である。

 通れそうな道も見つからず、進むことも退くこともできない状況となってしまった。

 要するに迷子である。


 迷子
 今回の舞台

 サノ「迷子にあらず! 捜索中と言い直せ!」


 ここで、マロ眉の天種子命(あまのたね・のみこと)がツッコミを入れてきた。


 天種子(あまのたね)「いいえ、迷子にあらしゃいます。この期(ご)に及んで、妙な自尊心は捨てるべきやと思いまするが、如何(いか)に?」


 サノ「み・・・認めねばならぬのか・・・。」


 天種子(あまのたね)「どう致します? 戻りますか?」


 サノ「よし、我に策がある。」


 天種子(あまのたね)「それは如何なる?」


 サノ「寝るのじゃ!」


 天種子(あまのたね)「はっ?」


 自暴自棄になったのか、ふて寝したくなったのか、一行は野宿することとなった。

 と言っても、何日も彷徨(さまよ)っているので、もう何度目か・・・という野宿である。


 しかし、今日の野宿は、いつもと違った。

 サノが夢を見たのである。

 夢の中には、あの大御所、天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が登場。

 天照大神

 こんなことを言ったとか、言わなかったとか・・・。


 アマ「サノっ! 何をへこたれておるのじゃ。」


 サノ「へこたれてはおりませぬ。それより、夢に出て来たわけをお聞かせくださりませ。」


 アマ「汝(いまし)は今、迷子じゃな?」


 サノ「うっ・・・。これは悪夢にござりまするか?」


 アマ「悪夢ではないぞ。これは吉夢じゃ。そういうことで、先導者を遣わすぞ。その名も、八咫烏(やたがらす)じゃ! 喜べ!」


 サノ「ヤタガラス?」


 アマ「期待しておるのじゃぞ。ではな!」


 サノは、そこで夢から覚めた。

 半信半疑でいると、上空から何かが飛来し、サノの目の前に降り立った。

 何がやって来たのか・・・。

 言うまでもないが、念のために言っておこうと思う。

 八咫烏である。


 八咫烏

 八咫烏(やたがらす)「オッス! オラ、八咫烏っ! いっちょ、やってみっか!」


 サノ「さ・・・三本足の大きなカラス? どこかで見たような?」


 八咫烏(やたがらす)「言うんじゃねえ。言ったら、ぶっ殺すぞ!」


 サノ「あっ! エピソード
14で登場した、ノーギャラと申して、フリップで説明してきたカラスではないか!」


 八咫烏(やたがらす)「言わなくてもいいじゃねえか。」


 サノ「汝(いまし)が先導者なのか?」


 八咫烏(やたがらす)「そうだっ。よろしくなっ。」


 サノ「瑞夢(ずいむ)の通りである。これこそ天照大神の徳が成せる業(わざ)よ。天津日嗣(あまつひつぎ)の大業(たいぎょう)を助けてくださらんとの思(おぼ)し召(め)しであろうか。」


 八咫烏(やたがらす)「急に真面目に台詞言っちまってよお。棒読みに聞こえっぞ!」


 サノ「棒読み・・・ですから。」


 するとそこに、日臣命(ひのおみ・のみこと)がやって来た。


 日臣(ひのおみ)「先導者の三本足っちゃ! やったじ!」


 サノ「驚かぬのか!? なして(なぜ)知っておるのじゃ?」


 日臣(ひのおみ)「紙面の都合っちゃ。というわけで、おいが三本足の導きに従って、道を切り開いていくっちゃ。」


 サノ「なっ? そのようなこと、真に能(あた)うのか?」


 日臣(ひのおみ)「荒事(あらごと)担当、軍事の天才、日臣様とは、おいのことやじっ。」


 サノ「初耳じゃが、まあ良い。汝(いまし)に任せよう。頼んだぞ! 日臣!」


 三本足「ちょっ、オラのあだ名、三本足になってねえか?」


 サノ「そういうことじゃ! 行けい! 三本足よっ!」


 三本足「はいはい。行きゃあいいんだろ。いっちょ、やってみっかぁ。」


 八咫烏の先導で、サノたちは、山中から脱することができるのであろうか。

 次回に続く。

JW36【神武東征編】EP36 高倉下の神社

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前回は三毛入野命(みけいりの・のみこと)のエピソードを紹介させてもらった。
 
 今回から、再び狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行の物語に戻ろうと思う。


 今回の舞台

 一行は、熊野の神による試練を乗り越え、天照大神(あまてらすおおみかみ)や武甕雷神(たけみかづちのかみ)との邂逅を果たした。

 牟婁崎1

 そして今、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)の息子、高倉下(たかくらじ)が、説明を始めようとしていた。


 高倉下(たかくらじ)「す・・・すみませぬ。私が祀(まつ)られている神社を紹介してもよろしいでしょうか?」


 サノ「いっちゃが、いっちゃが(いいよ、いいよ)。汝(いまし)は命の恩人ぞ。どんどん紙面を使ってくんない(ください)。」


 高倉下(たかくらじ)「あの・・・和歌山県は新宮市(しんぐうし)に、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)という神社がありまする。」


 現在地と熊野速玉大社
 熊野速玉大社大域
 熊野速玉大社中域
 熊野速玉大社中域2
 熊野速玉大社小域
 熊野速玉大社小域2
 熊野速玉大社鳥居
 熊野速玉大社

 サノ「そこが、汝(いまし)の祀られておる神社なのじゃな?」


 高倉下(たかくらじ)「いいえ、違いまする。」


 サノ「ん?」


 高倉下(たかくらじ)「そこから・・・ええ、ですから、二千年後で言うと・・・。」


 ここで痺(しび)れを切らした日臣命(ひのおみ・のみこと)が解説を横取りした。


 日臣(ひのおみ)「熊野速玉大社から、南に約
1キロの地点に、神倉山(かみくらさん)という山があるっちゃ。そこに鎮座する、神倉神社(かみくらじんじゃ)のことやじ。」


 熊野速玉大社から神倉神社
 熊野速玉大社と神倉神社

 高倉下(たかくらじ)「そ・・・その通りです。神倉山とは、以前、サノ様が登られた天磐盾(あまのいわたて)のことにござりまする。」


 神倉山1
 神倉山2

 サノ「ああ、あの大きい岩があった山じゃな。」


 天磐盾

 日臣(ひのおみ)「かつては、あの岩を祀ってたみたいっちゃ。じゃっどん、そののち遷座(せんざ)されたそうでして、その折に、高倉下と天照大神が祀られることになったみたいっちゃ。社殿も、その時に建てられたんやじ。」


 天磐盾2

 高倉下(たかくらじ)「そ・・・その通りです。もともとは・・・。」


 日臣(ひのおみ)「そう! もともとは熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)が祀られてたんやじ。」


 サノ「日臣っ! 汝(いまし)が説明するところではなかろう! 高倉下殿に説明させよ!」


 日臣(ひのおみ)「も・・・申し訳ないっちゃ。」


 高倉下(たかくらじ)「で・・・では、説明させていただきまする。熊野速玉大神は伊弉諾尊(いざなぎ・のみこと)と言われておりまする。熊野夫須美大神は伊弉冉尊(いざなみ・のみこと)と言われておりまする。」


 サノ「そんな大御所が祀られておったのに、なして(なぜ)遷座したのじゃ?」


 高倉下(たかくらじ)「すみませぬ。分かりませぬ。不器用・・・ですから。」


 サノ「いっちゃが(いいよ)。仕方なか。それで、移った場所が、今の熊野速玉大社なのじゃな?」


 高倉下(たかくらじ)「そ・・・その通りです。ですから、熊野速玉大社は新宮(しんぐう)、神倉神社は元宮(もとみや)と呼ばれておりまする。」


 神倉神社から熊野速玉大社へ

 ここで目の周りに入れ墨をした大久米命(おおくめ・のみこと)が乱入してきた。


 大久米(おおくめ)「ちなみに、遷座された年は、景行天皇(けいこうてんのう)
58年っす。西暦に直すと128年っすよ。」


 サノ「我らの時代より、ずっとあとか。では、我らが来た頃は、岩しかなかったということか?」


 大久米(おおくめ)「その通りっす!」


 サノ「高倉下殿。それでは、汝(いまし)が祀られたのは、
128年から・・・ということで、良いのじゃな?」


 高倉下(たかくらじ)「そ・・・その通りです。不器用・・・ですから。」


 サノ「不器用かどうかは、よく分からぬが、一つだけ分かったことがある。」


 高倉下(たかくらじ)「そ・・・それは、どういうことでしょう?」


 サノ「我らに試練を与えた熊野の神は、伊弉諾尊か伊弉冉尊だったかもしれぬ、ということじゃ。」


 高倉下(たかくらじ)「そ・・・それはどうでしょうか?」


 サノ「なっ?! 違うのか?」


 高倉下(たかくらじ)「く・・・熊野三山(くまのさんざん)と言って、他にも二つの神社がありまする。熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)と熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)がありまして・・・。つ・・・続きは、日臣殿・・・御願い致しまする。」


 日臣(ひのおみ)「御要望に応えて、説明するっちゃ。熊野三山には、先ほどの二柱(ふたはしら)の神様だけでなく、家都美御子大神(けつみみこのおおかみ)という神様も祀られてるっちゃ。こちらの神様は素戔嗚尊(すさのお・のみこと)と言われてるっちゃ!」


 熊野三山

 サノ「結局、汝(いまし)が説明するのか・・・。」


 日臣(ひのおみ)「そんなこつ、言われても・・・。」


 サノ「それでは、あの試練を与えたのは、素戔嗚尊かもしれぬということか? 高倉下殿?」


 高倉下(たかくらじ)「あの・・・いろいろ説がありまして、家都美御子大神は五十猛神(いたけるのかみ)とも、菊理媛神(くくりひめのかみ)とも言われておりまする。熊野夫須美大神についても、熊野櫲樟日命(くまのくすび・のみこと)という説が有りまする。熊野速玉大神についても、速玉男命(はやたまのお・のみこと)という説が有りまする。」


 熊野三山完全版

 サノ「諸説有りか・・・。それでは、まとめて、御先祖様からの試練だったとしておこうぞ。」


 大久米(おおくめ)「ちなみに、五十猛神は、素戔嗚尊の息子。菊理媛神は、北陸地方の白山(はくさん)に祀られてる神。熊野櫲樟日命は、素戔嗚尊が天照大神の勾玉から生み出した神。速玉男神は、伊弉諾尊が黄泉(よみ)の国で生んだ神っす。」


 高倉下(たかくらじ)「あの・・・天磐盾(あまのいわたて)の岩についても、説明がありまして・・・。」


 サノ「では、そちらの解説も頼もうぞ。」


 次回、天磐盾についての解説がおこなわれる。

JW35.6【高千穂編】EP2 鬼八の刃

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狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行と別れた三毛入野命(みけいりの・のみこと)(以下、ミケ)は、比古麻(ひこま)を供連れにして、高千穂(たかちほ)に戻ることになった。


 途中、これまで出会った人々との再会を楽しみながら、旅を進めたと思う。


 槁根津日子(さおねつひこ)「わては居(お)るようで、居(お)らんのや。」


 二号「ンア~。」



 興世姫(おきよひめ)「ミケ様。我が君は御息災にございますか?」



 小千命(おち・のみこと)「ミケ?! 何をしとるんじゃ!?」



 宇津彦(うつひこ)「えっ? ミケ様? もう一回、水先案内?」


 一号「ンア~。」



 伊佐我(いさが)「これはこれは、ミケ殿。つつがなきや?」


 剛風彦(たけかぜひこ)「あれ? ミケ様ですか?」



 安芸津彦(あきつひこ)「久々じゃけぇ、泣けてきたぁぁ!!」



 熊鰐(くまわに)「どげんしたとです? ミケ様。」



 菟狭津彦(うさつひこ)「ミケ様。理由はともあれ、ごゆっくりしていってください。」


 菟狭津媛(うさつひめ)「ミケ様。うちの人は、元気にしちょる?」



 そして、高千穂・・・



 吾田小橋(あたの・こばし)「ミケ様。お帰りなさいませ。」


 塩土老翁(しおつちのおじ)「ミケ様。久しぶりですな。」



 そして、サノの館・・・



 岐須美美(きすみみ)「父上も兄上も息災なのですね。」


 吾平津媛(あひらつひめ)「まさか、ミケ殿だけ戻ってこられるとは・・・。」


 ミケ「これまでの登場人物との会話で、高千穂に戻ってくるとは思わんかったじ。」


 比古麻(ひこま)「そういうことで、高千穂に戻って参りもうした。」


 高千穂への帰還
 今回の舞台

 ミケ「これからは、曾祖父から父までの日向三代(ひゅうがさんだい)を祀(まつ)っていこうと思っちょる。」


 吾平津媛(あひらつひめ)「宮崎県高千穂町の高千穂神社(たかちほじんじゃ)のことですね。二上山(ふたがみさん)と槵觸峯(くしふるのみね)の間にある神社にござりまする。」


 高千穂神社全域
 高千穂神社と二上山と槵觸峰
 高千穂神社中域
 高千穂神社小域

 ミケ「さすがは吾平津殿。話が早い。ちなみに、二上山も天孫降臨の地であるという伝承が残ってるんやじ。」


 吾平津媛(あひらつひめ)「その二上山なんですが、今、空前絶後の状況が発生しておるのです。」


 ミケ「そ・・・それは何や?」


 岐須美美(きすみみ)「二上山の千々ヶ窟(ちぢがいわや)に鬼が住み着いたのです。」


 高千穂(千々ヶ窟)

 ミケ「鬼っ!?」


 吾平津媛(あひらつひめ)「鬼と言っても、山賊や無法者という意味でしょうね。」


 岐須美美(きすみみ)「その鬼が、祖母嶽明神(そぼだけみょうじん)の娘さんを攫(さら)って、鬼ヶ窟(おにがいわや)に隠してしまったそうなのです。ちなみに、祖母嶽は、二千年後の祖母山(そぼさん)のことです。」


 祖母山
 祖母山と千々ヶ窟
 高千穂神社と祖母山
 祖母山2

 ミケ「祖母山が、ここでつながってくるんやな。」


 岐須美美(きすみみ)「前回、海中で伯父上が祈ったと嘘を吐いた件ですね。」


 ミケ「あ・・・あれは、作者がやれち、言うてやな・・・。じゃ・・・じゃっどん、サノがいない間に、高千穂が、そんなことになっちょるとは・・・。」


 比古麻(ひこま)「あのう、吾平津様、岐須美美様。鬼の話題が出たということは・・・。」


 吾平津・岐須美美「討伐を御願い致しまする。」×2


 比古麻(ひこま)「な・・・なんと! 付いて来ねば良かった・・・。」


 ミケ「まあまあ、友情出演っちゅうことで、勘弁してくんない(ください)。」


 こうして鬼退治に向かった二人の前に、紙面の都合で、鬼が現れた。


 鬼八(きはち)「我が名は鬼八。我が刃(やいば)、受けてみよっ!」


 ミケ「あほう! 勝手に暴れまわりおって! いくぞ! 比古麻っ! 気を解放しろっ!」


 比古麻(ひこま)「はいっ! 全集中っ!」


 鬼八(きはち)「や・・・やばいっちゃ。逃げるっちゃ。」


 ミケ・比古麻(ひこま)「待てい!」×2


 鬼八は逃げた。

 肥後(ひご:今の熊本県)や阿蘇(あそ)に逃げたのである。

 ちなみに、阿蘇とは、阿蘇山(あそざん)周辺の地域である。

 鬼八の逃亡先

 三毛入野と比古麻は、逃(のが)すまじと、これを懸命に追いかけた。

 そしてついに、鬼八を討ち取ったのであった。


 ミケ「死骸を埋め、八尺の石で押さえるんや。」


 比古麻(ひこま)「分かりもうしたっ。」


 ところが鬼八は、石の封印を払いのけ、魔力で蘇生(そせい)してしまった。


 鬼八(きはち)「まだまだ死にません。ちなみに、鎮め石は、高千穂神社に残ってるっちゃ。川沿いには、わしが抵抗した際に投げた石も残ってるっちゃ。」


 高千穂神社の鎮め石
 高千穂 鬼八の投げた石

 ミケ「こうなったら三分割っちゃ! 神の呼吸! 三権分立!」


 比古麻(ひこま)「勝手な技名をつけて良いのですか?! 三つに切り分けるだけでは!?」


 ミケ「終わりよければ・・・っちゃ。三権分立!」


 鬼八(きはち)「うぐっ・・・。わしの塚も残ってるじ・・・。鬼八塚っちゃ・・・ガクッ。」


 鬼八の首塚地図
 高千穂(鬼八の首塚)
 鬼八の首塚写真

 鵜目姫(うのめひめ)「ありがとうございました。ちなみに、鬼八塚は高千穂役場の近くです。」


 ミケ「唐突やな。汝(いまし)は誰ね?」


 鵜目姫(うのめひめ)「祖母嶽明神の娘、鵜目姫にございます。」


 ミケ「鵜目姫・・・。結婚しよう。」


 鵜目姫(うのめひめ)「はいっ。」


 比古麻(ひこま)「唐突すぎまするが、お二人は、これが縁で結婚されるのですな。」


 ミケ「じゃが(そうだ)。わしと妻と八人の息子が高千穂神社に祀られてるっちゃ。これを十社大明神(じっしゃだいみょうじん)と言うんやじ。」


 鵜目姫(うのめひめ)「それでは息子たちの登場です。どうぞっ。」


 御子太郎(みこたろう)「長男って分かるよね。我々の子孫が神主やってたみたい。」


 二郎(じろう)「次男です。じゃっどん、二千年後は行方不明。」


 三郎(さぶろう)「南北朝時代くらいまでは確認できるみたいですけどね。」


 畝見(うねみ)「どこ行ったんでしょうね?」


 照野(てるの)「戦国時代の激動で消えていったのかな?」


 大戸(おおと)「それだけじゃないっちゃ。わしら自身にも、特に伝承がないんや。」


 霊社(れいしゃ)「それだけじゃないっちゃ。わしなんて、音読みやぞ!」


 浅良部(あさらべ)「ホントだ。霊社だけ音読みだ。」


 比古麻(ひこま)「それでは、それがしは木国(きのくに:今の和歌山県)に戻りまする。」


 ミケ「毎年、
1122日から23日には『神話の高千穂夜神楽まつり』をやってるっちゃ。ぜってい見に来てくれよなっ。比古麻、読者のみなさん、今まで、ありがとう! お達者でぇぇ!」


 ともあれ、三毛入野は高千穂を守ることを使命としたのであった。

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