普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

職質よくうけるひとが職質マスターとは限らんのですよ

職務質問というものがある。世の中のどれくらいのひとが受けたことがあるのかわからないけれど、されるひとというのはしょっちゅうされる。

今日も今日とて在宅勤務。仕事の終わりが少し遅くなってしまったので透析に行くのを急がねばと通りにでたところで自転車に乗るおじさんとそれを追走するふたりの自転車警官が視界に入った。

「もう謝ったんだからいいでしょ!」

と、自転車をこぐことをやめずに走り続ける自転車おじさん。

「いやね、最近盗難が増えてまして…」

さらに追走する警官。

あー、職質か。職質というよりはただの盗難の嫌疑をかけているだけなのだけど、形式上は職質だ。

それにしてもあの自転車おじさん、悪手を打つにもほどがある。あんなものちゃんと止まって適当に聞きたいことが聞かせてあげれば2、3分で終わるのに。

止まらずにいるからいつまでも追いかけられてしまい、余計な時間と神経を消費してしまうのだ。ああいうときの警官は投げられたボールを追う犬のごとく追いかけ続けるからな。

逃げ続けるかと思われた自転車おじさんであったが、路肩にトラックが停まっていて強制的に止まらざるを得ない状態に追い込まれて結局警官に職質を受けていた。トラックと壁の間の極狭スペースをすり抜けようとしてたのだけど、あれはさすがに無理があるだろうと遠巻きに心の中でつっこんでおいた。

あれだけ必死なのはなんだったのだ。ただの反抗的な市民ではなく、本当に窃盗自転車だったんだろうか。それくらいには必死であった。でもまあいやだよなあ…いい大人が自転車窃盗で捕まるのとか。ネタにできないギリギリのところでダサさがある。

しばしの後トラックもどいて、目視できないあたりまでトリオで進んでいき、そのあと警官ふたりだけが戻って無線で何かしら確認していた。通常なら自転車の防犯登録番号かなにかを問い合わせて照会したのちに嫌疑をかけられたものは放免となるのだけど、自転車おじさん不在の場合というのはどうなるのだろう。そもそも登録番号を聞き出せていたのかも気になる。そして最初に何を謝っていたかもわからず終いだ。モヤっとする。

透析に急がなければなどと言っておいて一連のやりとりを腰を据えて観察してしまった。リアル警察24時みたいなことになったら見逃したときの後悔は計り知れない。後悔のない人生を生きなければ!と凛とした気持ちで野次馬をした次第である。

ただまあ結果としては…下の中くらいっすかね。電気コンロでお湯を沸かそうとしたときの7分頃の湯温的なところか。もっとおじさんと警官でサイファー的なことになってほしかったというのが本音だ。

 

冒頭で職質をされるひとというのはしょっちゅうされると書いたが、20代の頃の僕のもしょっちゅうされる側であった。当時は少しギラつき感あるバンドマンだった(そういや眉毛なかったな)のと、歓楽街をうろついていることも多かったというのが理由なのだろうけど、変に反抗的に出ても面倒なので前述の通り聞きたいこと聞かせて見たいもの見させて「はい、終わり」がほとんどであった。時間にしても短いものである。やましい事も特にないのでそれでオーケーというのもあるけれども。

ただいっかい、やたらねちっこい警官に職質されたことがあり、それは今でも覚えている。

その日はPCのモニタを買い、箱なしの中古を買ったので紙袋にダイレクトに入れて持ち歩いていた。ロッカーに入るサイズでもなく、かといって邪魔だしこれどうしようかなと思ってうろうろしていたところでの職質である。

いつもの流れであれこれと質問を受けている最中、紙袋のモニタが重くて邪魔なので地面に置いた。非力人間なので長時間モニタを持ち歩いていたことにより手がプルプルと震えてしまっていたのだ。そしたら警官が

「手、ふるえてるね。緊張してるの?」

アダルトビデオの冒頭インタビューか。このあとしっとりタイムか。ある意味最高のフリであったのに

「や、重いもの持ってたんで」

と、マジレスしてしまったのが悔やまれる。柔軟にいってくれよ当時のおれよ。

実際のところは職質になれてなくて、もしくはやましいことがあって手が震えちゃってるのかなと思われたのかもしれない。ならもうちょっとAV感を払拭した聞き方にしてくれ。

 

そんなことでふだん職質されるひとのほうが少ないとは思うのですが、いざ職質されたら変に噛みついてもいいことないのでされるがままが懸命ですよ。バレちゃいけない事情のあるひとはこの限りではないですが。

でもそんなときは警官がAVのオープニングインタビューみたいなことしてくれるかもしれないので職質原因でぶちこまれた先でAVの雰囲気楽しんでください。

 

なんか今日、写真を挟む余地がなかったけどなにもないのも寂しいので盗まれたあとみたいな自転車が写り込んでいるイメージ写真をあげときます。

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