普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ペンは適正価格でお手柔らかにお願いします

就活の面接等で、面接官の持つペンを10,000円で売ってみて欲しいというやりとりが行われることがあるという。当然そのペンは10,000円もしないものであると思う。それをうまいことやって売ってみなはれやという趣旨である。

その価値があるとは思えないものをどう売るか。ペン本体の商品価値は上げようがないのであとは付加価値とかその辺りのペンそのもの以外の部分で勝負していくしかないのだろうなと思う。

ひとつの手段として思い浮かんだのが、ペンをその場で使わなければいけない状況を作り出すということだ。今すぐそのペンを買わないと相手が損してしまう状況を作り上げるのだ。

”ペンを売るだけ”ということで考えればペンと一緒にサインをすれば即10万円が支払われる契約書を用意すれば売れちゃうんじゃないかなと思ったりする。採算とれてないし、ペンがその場に売り物のペンしかないとは限らないし、むしろそれはペンではなく契約書を売っているようなものなのではという話になってくるけれども、”売るだけ”という話であればまあ一応売れはしているしなあと考えてはもらえないものだろうか。こういうのを屁理屈というのだろう。僕のフィールドへようこそ。

これで10,000円で売って利益を出してくださいだったら完全にNGである。しかし、そもそもの話になってしまうのだけれども、何の変哲もないペンを10,000円で売れというのもムチャぶりがすぎるという話ではある。というか悪徳ですらないか。これに比べればレゴランド内のフードの価格設定なんて慈悲に満ち溢れたものだ。

あとはペンが仕込み銃になっていて、その照準は面接官の眉間に定まっている状態で「今なら10,000円ですが?」と言ったら30,000円で買うかもしれない。これなら利益が出る。それはもう商売ではなく命のやり取りを含むただの恫喝であるが。

そもそも、この価格設定の間違えているペンは商品企画部の目が完全に節穴であり、その責任を若手営業になすりつけて逃げようとしているのだ。入社前からパワハラ三昧、ブラックもブラック、ダークマター企業である。はやくその場から逃げて!

とね、いつものようにクダを巻いてしまっているわけなんですけれども、この質問で確かめたいところは実際に売れるかどうかではなく、思考のプロセスなんだとか。まあそりゃそうか。

僕はこういうのからきしで、過去に居酒屋のホールでアルバイトをしていた際におすすめはなに?と聞かれたときも「食べたことないものはすすめられないなあ…」と本気で考えていた人間である。適当なものを見繕ってすすめはしたけれどもね。完全に営業に向いていないタイプ。欲しいひとは勝手に買うでしょ」くらいに思ってしまう。というか僕がそうなのだ。口コミとか全然みないで欲しいという思いのみで買い物をすることがしばしばある。ちょろ客といえばまあそうなんでしょうね。

営業って毎日そういうことしているんだものな。心の底から尊敬する。僕には絶対に無理だし、仮に成績を上げることができたとしても心を病みそうだ。売り物に陶酔しているとかならまた話は別だろうけど。

世の営業職のみなさん、本日もお疲れ様です。