海外にでた日本人のポスドクの友人が数人いた。志を同じくする同志だと思っていた。


しかし、僕をのぞいて全員が出身のラボの先生に呼び戻される形でもといたラボに帰って行った。


みんな研究ができる人たちだし、みんな有名な大学の装置も学生も充実しているラボ出身だ。そりゃー送り出した先生にとっても、パワーアップして戻ってきてくれればありがたいんだろうし、勝手知ったるラボに戻れれば、友人たちも研究はしやすかろう。


でもなんだろうか、この心にぽっかり空いた穴のようなものは。研究ができるのは知ってるけど、どの友人も海外で論文を出す前に帰っていったんだよなあ。知らない人に研究結果を解らせるのなんか論文しかない。それを出さずに出身の研究室に戻っていく。


出身ラボに戻ることができない僕にしたら、良い研究室の助教ポジションがそういう人たちで埋められているのだとしたなら、結局どこにポジションを見つければ良いんだろう。


そういうこともあって公募を数個試した中で、唯一の内定をもらえた地方大学の特任助教。そこの限られた環境で、その友人たちと渡り合うのか。まあ良いさ、今は環境が良すぎて忘れかけていたけど、いつも厳しい状況で出来る限り頑張ってここまで来たんだ。


家族が許してくれるうちはまだ戦える。大学とお金で制限はされるけど、きっと面白い研究はまだまだできる。



ただ少しだけぐちぐち言いたい。荒野を共に行く仲間だと思ってたのに。。。例えるなら、僕が野宿してる隣で野宿仲間だと思ってたのに実はグランピングをしていた感じ!


うーん、あんまり上手く表現できてないかな。とりあえず、僕は仮に博士時代の先生に出身ラボに戻らないかときかれても断るだろう。羨ましいという感情ではないけど、なんだろうこの釈然としないのは。もちろん、それでも大事な友人であることは変わりない。


願わくば、荒野を一緒に進んで欲しかったのだ。