現金最強伝説(1)

不動産投資物件の現金購入は修羅の道

相変わらず厳しい融資状況

かぼちゃの馬車事件や多法人スキームにおける、一部不動産業者による金融エビデンスの改ざん問題などの影響で、不動産に対する融資環境は非常に厳しくなり、予想されていたよりその状況が長く続いています。ただし、当時融資対象とされていた物件はスルガ銀行など一部の地銀+積算評価の高い地方RCや高利回り新築アパートという組み合わせで、金融機関が稟議書を書きやすかったというのが実情です。

私が初めての築古木造アパートについて融資を受けて取得したときも、仲介してくれた業者さんを通じて「この金融機関はよく融資してくれる」と言われていた3、4行に当たってもらいましたが、どこも断られた後、かろうじて1行だけが満額回答を出してくれました。その経験から、耐用年数の切れた物件、特に木造の建物については、昔から融資環境厳しい状況が「ずっと」続いているというのも事実です。

かぼちゃの馬車新CM発表会

築古戸建ブームの到来

そのような背景から、2017年ぐらいからでしょうか、とにかく不労所得を得たい、流行りのDIYリフォームに挑戦したいという人が増え、融資はそもそも受けられなくて構わないので、手持ち資金で購入できる範囲内の物件(多くの場合は築古の木造戸建てを選ぶことになるのですが)を取得したいという考えで不動産投資を始める人が多いように感じています。

あくまでも想像ですが、300万円~500万円ぐらいの虎の子の自己資金を用意して、関東圏であれば神奈川・埼玉・千葉のはずれ、もしくは北関東の激古格安物件を探すのではないでしょうか。(私はコツコツと貯金するのが苦手なので、貯金で自己資金が作れた人を尊敬しますし、心から応援しています)

100万円単位の貯金って結構大変

そうした方から収益不動産の購入に関して時々相談を受けることがあります。自分の現在の保有物件やこれまでの経験から考えると、基本的には融資を受けて取得する築古木造アパートを勧めたいのですが、「どうしても戸建で不動産投資を始めたいんです」と言う人の固い意志を捻じ曲げてまで自分の考えを押し付けてもしょうがないので、一般論として「自己資金の半分を物件購入に回す」ようにとアドバイスしています。例えば自己資金が500万円で築古戸建を購入するのであれば物件価格は250万円までです。

ちなみに、アパートなど一棟物の取得でも同様で、物件価格を自己資金から逆算すると良いです。自己資金500万円のうち、250万円を残すので物件取得にかけられる金額は250万円。これを物件の1割に充てるとすれば、物件価格の目安はその10倍の2500万円となります。少なくとも初めての収益物件については、それぐらい手持ち資金に余裕を持っていないと、突発的な出費が発生した際に次の一手が打てなくなってドボン、つまり前にも後ろにも勧めなくなる危険性が非常に高くなります。

こうなってからでは遅いんです

資金の余裕は心の余裕

私の場合(自慢でも何でもありませんが)、クロスやカッティングシートは自分で貼りますし、フロアタイルは自称セミプロなので、そうした室内表層のリフォームについては費用を最小化できます。また第二種電気工事士の資格も取得したので、コンセントやスイッチの交換もDIYで可能です。水道の水漏れぐらいならパッキン類を交換して自分で直します。一方で、建物の傾きといった構造的な問題、屋根からの雨漏りといった、修繕に危険を伴う作業がもし必要になれば専門の業者に委託します。大けがをしてしまっては元も子もありませんからね。

こうしたスキルを身につけておくことで、予想外の出費があったとしても、ある程度の修繕内容に対しては耐性を持つことができます。しかしそうしたスキルや経験が無く、これから初めての物件を取得しようという方はどうでしょう。クロス貼り替え20万円、床張り替え工事50万円、電気工事10万円、水漏れ修繕10万円と業者からの見積もりが届くたびに戦々恐々です。そして最も危険なのは、資金不足となって心理的に追い詰められることにより経営判断を誤ってしまうことです。そうならないために、自己資金の全額を物件に「賭ける」のではなく、資金的に余裕を持ち、同時に精神的にも余裕を持っておく必要があります。

まずは一息

築古戸建投資そのものは、やり方によって不動産投資として十分有効な手段ですが、いかんせん融資を受けることが難しく、レバレッジをかけることで規模の拡大を早めることができるという、せっかくの不動産投資のメリットを享受できない点が最大のデメリットです。

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