Sing Listen Travel 〜歌って、聴いて、旅をして〜

リタイアしてやっと自由を手にしてから、海外を旅行し、合唱を歌い、オペラやコンサートに通っています。

今日は新国立オペラ、世界最高の「蝶々夫人」

2021-12-05 23:03:00 | 新国立劇場オペラ
今日は新国立オペラ「蝶々夫人」初日でオペラパレス。
すごい。こんな蝶々さんがあるのか。こんなに素晴らしい公演になるのか。

中村恵理さんの2時間にわたる熱唱。アリアも重唱も信じられない素晴らしさ。
中村恵理さんによる、中村恵理さんの、中村恵理さんのためのオペラだ、と言ってみたいね。
METのラセットもホイ・へーも敵わない。いや、ぼくにはこれ以上の蝶々さんは想像できない。

実は今日、初台への道すがら、超定番のこの演目をなぜまた観るんだろう。どんな公演を期待してるんだろう、みたいなことを考えていた。
そんなモヤモヤは演出家栗山民也さんのプログラムのノートを読んで消えた。

初演の1904年当時はアメリカのアジア進出等により西洋と東洋の主従関係が世界の構図となる。それと同時に日本は江戸から明治へと価値観が一変した。そういう時代のドラマなのだと。
日本人であることを捨て、宗教を捨てたのに、アメリカ人にもなれず、妻にもなれず。
ある晴れた日には、自分は何者だろうと3年間問い続けた狂気のアリアだと。

ゴローやヤマドリを奇妙な東洋キャラにして笑いをとる発想はなく。終盤にかけて、子どものことでのスズキと夫人のやりとりや、ラストでピンカートンが現れそうになるみたいな場面は削ぎ落とし。
ラストは子供に目隠しをせずに自害する己を見せ。
1人残された混血児が自害した母親の方か、旗めく星条旗の方か、どちらの方を向いて生きていくのか。栗山さんは問いかけて幕を閉じた。
ストイックと表現してみたいような骨太の演出ではないか。

村上さんは素晴らしかった。ワルキューレに続いてすごい歌手になってる。
アンドレアも観せた。いい芝居、いい歌。
何度か観てる但馬さん。今日のスズキは最高だ。当たり役になるよ。
なんでもできちゃう糸賀さん、今日もうまいわ。佐藤さんは素敵、超カッコいい。

そして今日の東フィルはすごかった。やはり下野さんは素晴らしい指揮者だ。

チケット買おうか迷ってるんなら、これ観ない手はないよ。
世界最高の「蝶々夫人」だから。














































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