2021年4月7日水曜日

書籍レビュー:フランスの上下水道経営―PPP・コンセッション・広域化から日本は何を考える(2020)

お勧め度:★★★☆☆
分かりやすさ:★★★☆☆
専門性 :★★★★★

主にコンサルタントが記述した書籍です。フランスの水道事業の実施方法、契約内容、法制度、水メジャーの実態等が詳しく説明されています。

コンセッションだとかアフェルマージュといった水道PPPの方式は、フランスの実施方法がもとになっているのですが、詳細を詳しく説明した資料は少なく(英語で探せばあるのかもしれませんが)、個人的には大変勉強になりました。

ただ、コンサルタントが専門家向けに作成した書物であり、ある程度の知識がないと読解は難しい印象でした。このため、市民の方々へのお勧め度としては☆3としています。

個人的に勉強となった点は以下でした。

・日本の自治体に該当するコミューンが全国で3万5000もある。事業当りの平均人口は、水道で5500人、下水道で4400人と非常に少なく、専門的な会社に委託する下地があった。

・料金を元手に事業を運営するコンセッションとアフェルマージュがあるが、法令上はコンセッションで統一されている。アフェルマージュは法的に明確化されておらず、一般的な概念のみ存在している。

・上水道事業のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2015年時点で41%:59%とDSPが多い。DSPのうち、コンセッションとアフェルマージュの比率は、12%:88%とアフェルマージュが高い。

・下水道のレジー(公営)とDSP(民間委託)の人口比は2016年時点でレジー60%、DSP40%と、レジーが多い。下水事業の財源は日本に近く、雨水排除や汚水処理の過半が補助金で賄われている。

0 件のコメント:

コメントを投稿