2021年10月4日月曜日

マニラで見た上下水道コンセッションの現状(2021年)

現在(2021年10月)、フィリピンのマニラ出張中です。せっかくなので、コンセッションが行われているマニラ上下水道事業の状況を整理してみます。

水質や料金徴収は適切に運営・管理されている印象でしたが、下水配管の損傷事故を見つけました。老朽管の更新は費用が高く、日本でも問題となっており、民間企業に任せるか否か、その場合どう管理していくのかを検討する必要が有ります。


1.良好な水道水質

写真(左)はホテルの蛇口から汲んだ水道水です。見た目きれいで、変な匂いも無く、東京の水道水とも変わらない印象です。途上国のコンセッションで水質に問題が生じる事例は少なく、マニラでも同様です。

ホテルには飲用のボトルも設置されていました(写真右)。途上国では水質が悪い地域も多く、飲用水の配布ビジネスが成立しています。

写真:蛇口からの水(左)、ホテルの飲料水ボトル(右)


2.整備された給水メーター

滞在ホテルの近所で家庭・店舗用の給水メーターの写真を撮りました。盤面も綺麗ですし、ゲージで囲まれたメーターもあります。仕事でアジア、アフリカ、中南米と回りましたが、途上国でこれだけ整備された給水メーターを見ることは有りません。

コンセッション契約では水道料金が直接民間企業の収入となるため、メーターの設置/整備が良好に保たれます。これはコンセッション導入のメリットのひとつで、水道事業の財務安定性に寄与します。

写真:近所の給水メーター(左・中・右)


3.課題の残る下水管整備・更新

職場近くで、下水管・マンホールの損傷による、道路冠水箇所を見つけました。ホテルやオフィスの並ぶエリアですが、道路横断も困難で、臭いも生じていました。1週間後も工事は終わらず同じ状況でした。

上下水道事業は配管施設の占める費用が大きく、古い管の更新業務は後回しにされがちです。日本のコンセッションでも、配管整備・更新をどう管理していくかが課題となっています。

写真:下水管損傷による道路冠水(左)、補修工事用機械(右)


4.上下水道コンセッションの概要

フィリピンの首都マニラでは、1997年より地域を2分割し、別々の民間会社に上下水道の投資と運営を任せています。今回滞在したホテル・オフィスは、マニラ西側の上下水道を運営するマニラッド社の給水エリアでした。コンセッションの経緯や特徴は、以前の記事でも整理しているので、読んでみてください。

マニラウォーター社HP (マニラ東側の運営・管理)
MWSS(規制機関、市レベルで設立)

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