↑のつづき。
さてさて、話は再び『シラヒト』と『コクミ』へ。
と、いうのも、ある時サホコ邦(出雲)の副マスヒト(地方長官)を任されていたツハモノヌシから、イサワの宮のワカヒト(後のアマテル大御神)の元へ、文書が届いた。
かつて、ネ邦三邦は、全てコクミとシラヒトの統治下に置かれた。
それはとても悪政で聞くにも絶えない話。
とてもここでは書けないような。
※そのことは大祓祝詞にも記されている。
↓ シラヒトとコクミのことは下記をご参照あれ。
ツハモノヌシからワカヒトに送られた文書は、シラヒトとコクミの数々の罪に対する告発文であった。
さらに、ツハモノヌシの兄であり、マスヒト(地方長官)の『カンサヒ』は、その犯罪を知っていながらも裁こうとしないのだという。
よって、ネ邦が無法地帯になる前に、中央政権の元、『高間殿(タカマ)』で裁いて欲しい…という内容が書かれていた。
直ちにカンサヒやコクミらが高間殿に召還され、裁判長を任された『カナサキ』による尋問が開始された。
※カナサキとは、ワカ姫ヒルコの育ての親であり、ツキスミ(筑紫)を治めた者として、『スミエ(住吉)の翁』とも呼ばれていた。
住吉と言えば住吉三神を思い浮かべるが、ホツマツタヱでは住吉神とはカナサキのことを指す。
また、穂高神社などに祀られてる安曇氏の祖神『宇都志日金拆命(ウツシヒカナサクのミコト)』という神名にある「カナサク」は、『カナサキ』から受け継いだ名であろう。
宇都志日金拆命の別名『ホタカミ(穂高見命)』は、カナサクの孫だとされている。
コクミは嘘八百を並べ、なんとか罪から逃れようとしたが、カナサキが誤魔化されることは無かった。
判決は予想通りの厳しいもの。
合計三百七十座の罪。
※罪の数え方は「座(クラ)」。この時代の刑法は、「トホコ法(ノリ)」と言い、罪の重さを、天の巡りである一周360座(一周360°)を四分割するように分けた。
罪の重さの基準は大体こうなる。
●九十座=所払い
●百八十座=流刑
●二百七十座=世間との関わりを一切禁止
●三百六十座=死刑
つまり、合計三百七十座の罪を重ねたコクミが、いかに大罪を犯していたかが、この数字から見てとれる。
※この時代でも、死刑執行は慎重に行われていたようで、一旦は牢屋に繋がれることとなった。
次に裁かれたのはシラヒト。
その罪は合計四百座。
さらに重い罪である。
こうして、高間殿での裁判は閉廷され、シラヒトとコクミは獄中の人となった。
この、国中が注目した裁判が終わり、日の神ワカヒトはさらに国民から信頼され、誰からともなく、こう言われ始めたという。
『大御神(オオンカミ)』と。
さて、荒れたネ邦を再び整える為の協議が行われ、新たに一柱の神に白羽の矢がたった。
その名は『ヤソキネ』。
任された役職は「マスヒト(地方長官)」より一段高い官職『邦守(クニカミ)』。
ちなみに『ヤソキネ』とは、イサナミの兄であり、ヤソキネの妻は『シラヤマ姫(菊理姫)』。
シラヤマ姫はイサナギの姉である。
つまり、イサナギの姉とイサナミの兄という超絶信頼出来る夫婦神が、ネ邦を任されることになったのだ。
※白山比咩神社がなぜ石川県に鎮座している理由は、シラヤマ姫がネ邦に深く関わっていたからでしょうね(=゚ω゚=) なんせイサナギのお姉ちゃん。
ワタシはホツマツタヱを読んではいるが、出来る限りフラットに物事を捉えたいと思っている。
たったひとつの文献だけを信じてしまうと、編纂者の立場に寄り過ぎてしまうからだ。
つまり、ホツマツタヱで悪人とされている物達は、中央政権からみたら悪者扱いだが、角度を変えれば、実際には違う可能性もあるからだ。
まるで、出雲周辺、根国の民から悪人が出てきたような描写があるが、真実かどうかは知るよしも無い。
しかし、仮にシラヒトとコクミの悪政が本当の事であったとしたら、死罪になっても致し方ないのかもしれないとも思う。
※母にも娘にも妻にも乱暴する…そんな悪人として描かれているのである…
そして…
「これにて、ネ邦は安泰だー👍️」
…とはいかないのがこのホツマツタヱ。
ネ邦は、国の出先機関「ミヤヅの宮」の管轄であり、ミヤヅの宮ではワカヒトの妻の一人『モチコ』が采配を振るっていた。
実は、この『モチコ』。
正后の座を『セオリツ姫』に奪われ、密かに嫉妬の炎がメラメラと燃えていたのです。
モチコは、ある策略(悪巧み)を練っておりました。
ソレを実行するための第一段階としてなんと、
獄中のシラヒトとコクミを牢屋から出してしまったのだそうな…
つづく。
ではまた❗
参考資料↓
人気ブログランキング