ジャケットの下にはジレよりもカーディガン派。今季は既にムーンキャッスルのカーディガンを購入しましたが、暗めのブラウン系も揃えておきたいと思い、昨年11月末頃にもう1枚買い足しています。
選んだのは同じく国産ニットブランドで、業界でも老舗となるGIM(ジム)の30ゲージカーディガンです。
GIMも気になっていたブランドの1つでしたが、やや価格帯が高めであること、そもそも近隣では取り扱いがほとんどなかったことから、今まで縁がありませんでしたが、今回はイメージ通りの色味がネットでセール価格になっていたので、サクッと購入することにしました。
正直、期待値以上です。ハイゲージニットに関しては価格破壊・ユニクロの壁を簡単に超えられないという状況に陥りがちですが、これは明確に格上。
のっけからハードルを上げてしまった感もありますが、どうぞご覧ください。
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GIMについて
1965年に原宿にて創業したニット専業ブランド。ちょうど今年で60周年を迎える老舗です。様々なブランドのOEMだけではなく、早い時期から自社オリジナルを手掛けてきました。MOONCASTLE(月城)やCOOHEM(米冨繊維)、BATONER(奥山メリヤス)など近年台頭してきている実力派ファクトリーブランドの先駆け的な存在です。
以前は販路や価格帯別に複数の異なるブランドに分かれていましたが、2019年より現在の社名を冠した「GIM(ジム)」に一本化されて、幅広いテイストのニットをラインナップしています。また、長年メンズ専科でしたが、近年はレディース製品も販売されるようになりました。
一部でリーズナブルなアイテム(主に中国製)も取り扱っていますが、ウール素材で30,000円前後がボリュームゾーンとなっているように、日本で知名度の高いインポートブランド程ではないにしろ、価格帯はやや高めに設定されています。ただ、クオリティの高さはそれ以上。良心的な国産プレミアムニットとしても評価され、目利きの服好きからも根強い支持を集めています。
GIMの30ゲージカーディガンをレビュー
概要
GIM定番の30ゲージシリーズのカーディガン。アウトレット品として売られていた物を購入していますが、公式を見る限り今季はクルーネックとモックネックのみで、残念ながら同素材のカーディガンの展開はないようです。まぁ、生地の質感や縫製の具合は変わらないはずなので、ご参考までにご覧ください。
一般的に12ゲージ以上がハイゲージに分類されますが、その中でも30ゲージとなればかなり高い数値となります。ゲージ数が高くなるほど編み目は緻密になり、表面は滑らかで美しい光沢を纏いますが、その反面生地の厚みは薄くなり、耐久性には劣るというのが普通です。
しかしこちらのニット生地、私がこれまで見てきた30ゲージと比べると明らかにがっしりとしており、それでいて光沢感や手触りの滑らかさは同等かそれ以上。こうも相反する要素が成立するのなのかと驚かされました。違いを判別しにくいハイゲージニットにおいて、明確に違いの分かる生地かと思います。
また、一見するとなんてことのない中庸なシルエットやディテールもよく考え抜かれてられており、実際に袖を通すと完成度の高さを実感できるはずです。
ちなみに色は黒っぽく見えますが、非常に色味が深いダークブラウンとなっています。屋外だともう少し茶色に見えるんですけど、室内だとあまり正確に映らないですね。
ディテール
素材の正式名称はウルトラスーパーファインウール。「ウルトラ」で「スーパー」、しかも「ファイン」とは一体なんぞやという話ですが、要するに物凄く細くて長い繊維(原毛)を使っているということです。具体的に数値で言うと16.5ミクロンとのことのなのでカシミヤ(14~16ミクロン程度)と同等になります。
そしてその細い繊維を48番双糸に仕上げます。一般的に30ゲージには56-60番双糸が最適とされますが、希少な編み機を使いゆっくりと編むことで、より高密度で目の詰まったニット生地となるのです。
30ゲージにしてはしっかりと厚みがありながら、美しい光沢と非常に滑らかな手触りを実現しているのは、超繊細な原毛を敢えて太めの糸に加工して、通常よりタイトに編み上げていることに由来していると思われます。本当に良いとこ取りなんですよね。
Vネックのライン幅はやや太めに設定されているようですが、生地の質感もあってかカジュアルな印象は受けません。
ボタンはやはり天然の黒蝶貝。目立ち過ぎないけど存在感があります。
縫製に関しては細かいリンキングもさることながら、凹凸の少ない裏面処理の丁寧さにも感銘を受けました。見た目や着心地に大きく影響を与えるポイントではありませんが、こうした抜かりのない仕事が老舗の信頼に繋がるのでしょう。
袖口や裾のリブ幅は標準的。テンションの加減はややきつめ。個人的には好きな塩梅ですね。
サイズ感とシルエット
身長173cm 体重65kg 標準体型の私が購入したのはサイズ46。公式オンラインショップで今季のGIM製品を見るとSML表記に変更になっているようですが、46はMサイズ相当になるかと思います。
ジャケットの中に着る分には本当にちょうどいい塩梅のフィット感で、いつものサイズを選んでいただければ問題なさそうです。一方で着丈に関してはやや短め。このサイズで63cmとなっています。ただ、カーディガンの場合はブラウジングさせるわけではないので、これぐらいすっきりした丈感の方がバランスが良いのかもしれません。
着用例
今回購入した色味の深いダークブラウンは単体だとパッとしませんが、こんな感じで同系統の明るめのブラウンやベージュ、オフホワイトと合わせるとよく映えます。
アズーロ・エ・マローネ的にネイビーとも合うし、遠めだと黒っぽく見えるのでグレー系とも問題なく馴染みます。あまり見かけないレベルで暗い色味ですが、意外と汎用性は高そうです。
まとめ
名前はよく聞くけど、これまで未経験だったGIMの30ゲージカーディガンをご紹介しました。
「安くなってるし、色味的にもちょうどいいや」ぐらいの軽い気持ちで購入しましたが、期待を上回る大成功でした。これがあるから買い物はやめられません。
冒頭でも述べましたが、ハイゲージニットは一定以上のレベルに達するとその差を判別しづらいところがあり、ユニクロと数万円するニットの見分けがつかないなんてこともよくありますが、本品に関しては分かりやすくその違いを実感できます。こればかりは実際に手にとってもわないと伝わらないので、どこかで機会があれば是非 。
さすがに今冬の買い足しはありませんが、来季以降も優先的にチェックしていきたいブランドの1つとなりそうです。ただ、現行の同素材シリーズはクルーネックとモックネックしかないのが気になりますね。カーディガンもそうですが、せめてタートルネック(できればニットポロも)は欲しいところ。まぁ、今後に期待しておきましょう。
今回は以上です。