人間、誰でも食べるものがなければ生きていけない。キシダさんだって、トランプさんだって、すごいコンピューターをつくりだす技術者であろうが、はたまた世界の偉人と言われる人でも、例外はありません。

　

　中身については違っていたとしても、とにかく食わなきゃ生きていけないし、一歩も前に進めない。

　そんな超初歩的なことがまったくわかっていない人がいました。それも県知事という要職に就く人です。

　

　ご存知だと存知だと思います。4月はじめ、静岡県の川勝平太知事は新入職員を前に〝毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノをつくっている人と違って、皆さんは頭脳、知性の高い人、シンクタンクです〟と、のたまわりました。

　

　あれには驚きましたね。

　県知事という立場の人が、こんなことを言うか、と。

　

　あとで〝発言が誤解を与えたとしたら〟と弁解しているようです。しヵし普段からそう思っていなければ、あんな発言が飛びだすわけがないですよ。

　

　川勝氏が、モノをつくる人、野菜や動物を育てている人への敬意など、全く持ち合わせていないひとだということだけははっきりしました。

　

　正直言うと彼は、静岡県内を通過するリニアモーターカー建設問題で、国やJR東海にきちんとモノ言う人、という印象がありました。しかし土台のところでは、社会のことも、働く人たちのこともまったく理解できていない人だったんですね。

　

　今回の発言で辞職に追い込まれ、一気に建設をすすめようとする国やJR東海に口実を与えたことだけは、確かです。

　

　以前にも書きましたが、日本の食料自給率はわずか38％にすぎず、6割以上が外国頼み。スーパーの棚には世界各国の輸入食料品が日々増え続けています。政府はさらにこの海外依存を強める考えです。

　

　でも、それでいいんですかね。

　ウクライナの事態が示すように、世界の情勢がさらに緊迫し、穀物などを中心に駆け引き材料にする動きも強まっています。

　こういう時に、国内生産をさらに減らして、海外依存を強めるなんて。

　　

　川勝さんのような考え方を、さらに強めていくというのですか。

　

　正気と思えない動き。庶民もうかうかできない事態です。