阿武咲(おうのしょう=東前頭5枚目)の連勝が、5日目に途切れました。
破ったのは故郷(青森県中泊町)の先輩でもある宝富士(たからふじ=西前頭7枚目)。
立ち合いから突き、押しの応酬。阿武咲が懸命に押し込みましたが、いま一歩足が出ず、土俵際の突き落としに屈しました。
スピードあふれる相撲で勝ち続けてきたものの、これまた2日目から連勝している先輩が、一枚上手でした。
それでも、ここまでの内容は決して悪くない。立ち合いからの鋭い出足と瞬発力が、先場所までとは全然違っています。4日目の豊昇龍戦が象徴的でした。
立ち合い、両者が低い角度からガツンとあたりあい、激しい突き、押し合い。阿武咲がいなしてぐらつかせ、左で上手を引き、右も差して一気に寄り立てました。
21歳の豊昇龍はスピード、強いバネ力が幕内では1、2番ではないかと、自分は思っていますが、阿武咲のスピードや動きはそれにまさりました。
高校を中退して相撲界入り。当時の阿武松(おうのまつ)親方は「彼の持ち味はスピードと、瞬発力、全身のバネ」を評価したそうです。
スキーやスノボーなどのウインタースポーツの腕前(足前?)はかなりのものだったようで、スピードや瞬発力などの土台になっています。
それが稽古でさらに鍛えられ、2年で十両、入幕4場所目で小結と、昇進もスピード出世。その後、部屋の師匠の突然の交代騒ぎ、けがなどで踏みしてきましたが、ここにきてようやく本領を取り戻してきている印象です。
入門時に、「力士でいられるのは長くても20年、その時間を中身の濃いものにしたい」と語ったそうです。20歳前の若者が冷静に考えるものだなと、当時思ったものですが、その時間から計算してもまだ半分にも達していません。
先輩に敗れた相撲からも学び、中身の濃い相撲をつくりあげていくのは、これから。
25歳の彼に時間は十分あります。
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