26. 奥物部へ 其の二、十二所神社

いざなぎ流企画展を堪能した奥物部美術館を後にして、紅葉の名所べふ峡を楽しみつつ30分ほど更に東へ向かいます。目的地はここ、市宇の十二所神社。
人っ子ひとりいません。境内の奥では工事中なのか、工事を途中でやめたのか、森が切り倒されてただ広いだけの空き地があるばかり。15年前、ここで日月祭が行われた時は広い境内にそれは大勢ひしめきあっていたそうですが。
当時の祭りに参加したのは我らがとさみみ部部長、のどQ氏。証拠写真はこちら。

今や絶滅危惧種のアナログ写真、懐かしいですね〜。1999年3月4日となってます。
ホラー作家の京極夏彦氏もこの日来られていたそうで、一緒に写真撮ってもらったとのこと。その時の写真、こっそり見せてもらいました。京極さんが…若い……!!!

本殿の屋根の下に、雨風にさらされて下半分ほぼ消えてしまっている寄付一覧板がかかっています。この地域、日本トップの雨量を誇る高知県の中で最も雨量の多い魚梁瀬とほぼ同じ場所にありますからね…。(※マップ上は近いものの、あまりにも山深いため魚梁瀬と物部を結ぶ山越えの車道は存在しない)これを拡大して見てみましょう。
中央あたりに発見しました。「京極夏彦 埼玉県」
いざなぎ流の第一人者、小松和彦先生のご芳名は探せど見当たらず。
消えてしまった下半分に載っていたのかも。

高知の田舎がどこもそうであるように、物部も限界集落だらけです。
にも関わらず、神社が多い。祠も多い。
通り過ぎるだけでもそうとわかるほど、どこもきちんと祀られている。
これはかなり凄いことなのではなかろうか。だって、人、本当にいないんですよ。
草をひき、榊を取り替え、御社を維持する、これは数人が頑張ったところでどうしようもない。集落が昔ながらの形でちゃんと息をしているんです。
今回はちゃんと立ち寄った神社は二社だけですが、次回はもっとぎっちり調べに来よう。
そしてべふ峡温泉にも入ろう。と決意したことでした(笑)

さて、立ち寄ったもう一社、ここもまた十二所神社でした。

本殿にご挨拶したあと気づきました。社の両脇を固める狛犬ならぬ、狛鳥がいる!

鳥居の両側に狛犬もいるんですが、ここにきてまさかの狛鳥に、我々大興奮。
鷹でしょうか、素晴らしく凛々しい。眼差しは確実に外へ向いています。
羽の質感のリアルさはこれちょっと写真ではお伝えできないですね。
撫でたくなりましたが、撫でたらクチバシで突かれそうな雰囲気が拭えず、かわりにあらゆる角度から舐めるように撮りまくる我々。美しかです。いつの時代に彫られたものなんでしょうか。それとも意外と新しいのでしょうか。
日差しはうららかで気持ちの良い風が境内を駆け抜け、市宇の十二所神社とはうってかわった、爽やかで落ち着くひと時をすごせて貰いました。そしてこんないいお日和で、近所にお家もあるのに、やっぱり人っ子ひとり出てこない…。
地元の方がおいでの時に、この神社の成り立ちをぜひ窺いたいものです。

触りたい背中…。


(文・シバテン)



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