[955]

君之當きみがあたり 見乍母将居みつつもをらむ 伊駒山いこまやま 雲莫蒙くもなたなびき 雨者雖零あめはふるとも

~不詳・万葉集 12-3032

 

朝起きて、ベランダで吸いたくもない煙草を吸う。
雨が降っている。
 

[956]

久方ひさかたの 雨零来あめふりにけり 朝夕あさよひに 通之背子かよひしせこは 白芭従しらばより 由原舎左右ゆはらのやまで 将漕可こぐらむか 空悒憤そらはいぶせみ 雨霧あまぎらひ 情悒憤こころいぶせみ 雨隠あまごもり 今戀而いまもこふとて 為便無すべをなみ 物見出而ものみにいでて 煙立けぶりたて 宇山坂うやまのさかを 越将去こえゆかむ 背子形せこがすがたを 偲鶴しのひつる 此大野このおほのらに 如此許かくばかり 零敷雨ふりしくあめは 白栲しろたへの 吾衣手わがころもでの 水脈在奴みをとなりぬる

 

 

[957]

吾背子わがせこの 来通路きかよふみちの 足引あしひきの 宇山坂うやまのさかに 雨勿零祢あめなふりそね

 

[958]

白栲しろたへの 吾衣手わがころもでを 濡雨ぬらすあめは 物念益ものもひまさり 吾水脈在わがみをとなる

 

袖がわずかに濡れる…