オーウェンと『トラブル・マリッジ』の主人公デュプリーの共通点3選
『トラブル・マリッジ』の記事もテーマごとにリライトし直していたら、いつの間にか7記事めになっています。
コメディのわりに考察するところがたくさんある映画なんですよね…。
この記事はこれまでより少しだけマニアックかもしれません。と言っても、何も知らない読者も楽しめると思うのですが…。
今回のテーマは、
・オーウェン・ウィルソンとランドルフ・デュプリーの性格的な共通点
ランドルフ・デュプリーは主人公のフルネームです。
『デュプリーは子犬がモデル?』の記事でも書いたように、主人公デュプリーには演じたオーウェン・ウィルソンの個性もたくさん込められています。
具体的にどんな言動が似ているのか、ちょっと見てみましょう。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸オーウェンとデュプリーの似ているところは?🧸
これまでも何度も書いたように、デュプリーはとにかく可愛い性格。何の邪心もなく、純真で幼子のような雰囲気です。
それでいて人生に対するアプローチは意外にも真剣で、まじめ。
傍若無人で社交的な点を除けば、デュプリーはかなりオーウェンに似ています。
1.家事がとても上手
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
家事が上手なことは、オーウェンの最大の特徴の一つです。
『ズーランダー』ではパンを焼いてみんなに振る舞い、『スタスキー&ハッチ』では二日酔いのスタスキーのためにドリンクと朝食を作ってやります。『幸せの始まりは』では、落ち込むリサのためにヨーグルト風のデザートを出してやるシーンが出てきました。
デュプリーも、オーウェンの家事上手の流れを汲む役柄。むしろ台所仕事の回数は他の作品よりも多いほどです。
デュプリーの家事シーンを拾ってみると、
①モリーとカールに朝食を作る。
②カールが仲間とどんちゃん騒ぎをしている時、給仕をする。
③火事でボロボロになった居間を1人で掃除・修復する。
④仕事に疲れたカールのために豪華なディナーを料理する。
⑤台所の戸棚を綺麗に整理している。
モリーはデュプリーの家事能力を高く評価していると見え、いつも安心して任せている様子がうかがえます。
夕食を作るシーンでは、女性のモリーも顔負けにテキパキしていて、アドバイスまでするほど。
モリー:どこで料理を覚えたの?
デュプリー:『トスカーナの宝』って料理番組が6週間のシリーズで放送されてたんだ。ほとんどはそれで覚えたよ。ニンニクの切り方は『グッドフェローズ』の映画で見た。
この習得能力の速さもオーウェンの特徴です。
他にもカールが書ききれないお礼状を代筆したり、カールがすっぽかした学校の特別授業を代行したり、家事以外の雑務もいろいろ引き受けています。
この映画はオーウェンの働き者ぶりがフルに発揮されている作品とも言えますね。これも設定があべこべのせいかもしれませんが…。
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2.とても真面目な恋愛をする
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
デュプリーは恋愛をする時もとても真剣なタイプ。この性質もオーウェンによく似ています。
映画の中盤、デュプリーはモリーから紹介された学校の司書マンディー(画面に登場はなし)に恋をします。
ところが、マンディーは一夜限りの付き合いで相手を捨てるとんでもないアバズレ女。後でマンディーの性格を知ったモリーは紹介したことを深く後悔しています。
マンディーに捨てられて絶望したデュプリーが雨の中で泣いているシーンは、モリーでなくとも可哀想になります。
通りすがりの車が水を跳ねかけても動きもせず、ため息をつきながら、口から水を吹き出す有様。
モリー:デュプリー! 何してるの? 土砂降りよ!
デュプリー:もう何がどうでもかまわないよ。
かわいそうに…。でも、この場面のデュプリーは可愛くもあります。心を傷つけられた、無防備な子犬みたい。
ちなみにこの時デュプリーがヘッドフォンで聴いているのは、バリー・マニロウの《悲しみのマンディー》。
失った恋人マンディーを思って、雨の中で苦しむシチュエーションがデュプリーと重なっています。この歌に合わせて場面を作ったのだと思いますが…。
しかし、こんなに純真でいじらしい人を捨てるなんて、マンディーの気が知れませんね…。
余談ながら、オーウェンもデュプリーに似た経験をしたことがあるようです。
インタビュアー:あなたもデュプリーみたいに恋人を取り戻そうとしたことが?
オーウェン:あるよ。ほんとに必死になったこともある。お花を送ってみたり、周りにはアンティークショップに出かけると嘘をついて、彼女の後を追ってみたり…。でも、たいていこういう関係は続かないものだね。無駄にご機嫌とりするだけで、結局何にもならないんだ。
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
モリーからマンディーのアバズレぶりを聞いたデュプリーは愕然とし、自分も弄ばれただけだったことを知って、さらに絶望します。
雨のシーンと同じで、このショックの受け方もかわいそうで可愛い。苦悶しながらも通り過ぎる男たちを観察し、すがるようにモリーに目で尋ねるのが、オーウェンらしい演技ですね。不安に怯える子供のような仕草です。
3.寛容で心優しい
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
これもオーウェンの特徴。
デュプリーは、カールから不当にモリーとの仲を疑われ、夕食中に首を絞められてしまいます。
しかし、カールがそのまま家を飛び出し、翌朝になっても戻らないのを見ると、デュプリーは仲の良い子どもたちと協力して、街中を探し始めるのです。
やっとバーで飲んだくれているカールを見つけた時も、少し腹を立てても、決して相手を責めず、むしろ励ましてやります。
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
しかも、これで終わりではなく・・・。デュプリーはさらに犠牲を払ってカールを助けます。
カールが義父のトンプソン氏(マイケル・ダグラス)と話をつけに会社に行く時には囮になって大柄な警備員と戦い、ついには天井から落下してまで守り抜くほどの献身ぶり。
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これこそ、まさに仇を恩で返す行為です!
普通だったら激怒して、「カールの顔なんか見たくもない!」と言っても不思議ない状況なのに。
本当に心優しい、気高い精神だと思います。
オーウェンのこうした優しさは『ライフ・アクアティック』でも描かれていました。
でも、ひと言添えると…。オーウェンは心優しい反面、ある一定のラインを越すと今度は根深く恨むようになることも忘れてはいけません。
ですから…『ロキ』や『ブリス』や、あるいは『マリー・ミー』をでっちあげた犯人の皆様、いまから十分に覚悟しておいたほうがいいですよ。
🧸まとめ:オーウェンとデュプリーは90%似ている🧸
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
後半でデュプリーが着ているシャツ、とても可愛いと思いませんか? 小人ちゃんが描いてあって、
「僕のちいちゃなお友達にあいさつしてね!」
とメッセージが書いてあります。
性格に子供っぽいあどけなさを残すデュプリーを表すイメージです。誰でも似合うわけではないと思いますが、オーウェンが着るとよく馴染んで可愛く見えます。
ちなみに、このシャツのメッセージは『ナイト・ミュージアム』にもパロディとして出てきますよ。
さて、こうして見ると、デュプリーという役柄にはオーウェンの性格が90%ほど反映されています。
☑ 家事が上手で、料理も掃除もまめまめしくこなす。
☑ とても真面目で真剣な恋愛をする。
☑ 心優しく、仇(あだ)を恩(おん)で返す。
やはり、オーウェンはどんな役を演じる時も、彼自身の性格があちこちに散りばめられていますね。
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