pyGMTで地図を描く2
昨日の記事では、pyGMTで地図を描く準備をしました。
今日は、condaでPythonにGMTをインストールして実際に使っていきましょう。
pyGMTのインストール
仮想環境を作成して、pyGMTをインストールします。
仮想環境を作ります。
$ conda config --prepend channels conda-forge
conda create --name pygmt $ python=3.8 pip numpy pandas xarray netcdf4 packaging gmt ipython
仮想環境を有効にします。
$ conda activate pygmt
インストールします。
$ conda install pygmt
conda install pytest pytest-mpl ipython
とりあえず、インストールは何事もなく完了すると思います。
pyGMTを使ってみよう
コンソールから、Pythonを立ち上げて、
$ python3
テストプログラムを一行づつ打ち込んでいきます。
>>> import pygmt
>>> pygmt.show_versions()
>>> pygmt.test()
実行はShift+Enterだった。。。
久し振り過ぎて忘れていました。
Matlabほしい。
さて、親の仇の如くエラーメッセージが吐き出されますが、
テストプログラムに描かれたマダガスカル島の地図が描けました。
とてもかんたんですね。
日本地図を描こう
さらに、じゃんじゃん地図を書いていこうかと思います。
日本地図は、先程のテストプログラムに続けて以下のように書けば出来ます。
>>> fig = pygmt.Figure()
>>> fig.basemap(region=[120, 150, 20, 50], projection="M12", frame=["agf", "+tjapan"])
>>> fig.coast(shorelines=True)
>>> fig.savefig("japan.png")
特に、GMTをネイティブで使う環境と大差は感じることが出来なかったが、
ひとまず地図の描画は出来ました。
日本語環境にして、色々やりたいと思うのですが
あまり精通していないので断念です。
pythonのラッパーなんだけど、
pyplotってそんなに使ったことがないので、
plt.titleにどうやってpygmtのfigureを書き込んでやればいいのかわかんねえや。
とりあえず、pyGMで地図を描くという目標は達成したので、
今日はここまで。
pyGMTで地図を描く1
ジオパークと関係の薄い話題ばかり書いている気もしますが、
ブログの記事をゆっくりと書き溜めて、
有意義なものにしたいので
少し関係の薄い記事も書いていきます。
最終的にこんな感じの地図を描きます。
GMTとは?
The Generic Mapping Tools
です。
フリーのマッピングソフトです。
これ自体できれいな地図が描けるんですが、
GMTのお作法に則るのが億劫になって、
細かいところはPythonで描けばいいじゃんって事になりました。
本当は、Matlabでやりたいのですが、
貧乏なので!!
さて、動作はWindowsでやることははじめから度外視して、
UBUNTUでやることとします。
はじめに~UBUNTUの確認
UBUNTUのインストールは各自やってもらうこととして、
まずはUBUNTUのバージョン
DISTRIB_ID=Ubuntu
DISTRIB_RELEASE=20.04
DISTRIB_CODENAME=focal
DISTRIB_DESCRIPTION="Ubuntu 20.04.2 LTS"
x86_64
Python 3.8.5
Pythonのインストール
とりあえず、メクラでおまじない
$ sudo apt install build-essential libbz2-dev libdb-dev \
libreadline-dev libffi-dev libgdbm-dev liblzma-dev \
libncursesw5-dev libsqlite3-dev libssl-dev \
zlib1g-dev uuid-dev tk-dev
$ tar xJf Python-3.9.2.tar.xz
・Anaconda のパッケージ管理には conda と pip コマンドが付属している。
・基本は conda を利用して Anaconda のリポジトリを参照する。
・conda に無いものは pip で入れる。
・たまに重複していないかチェックして、重複しているなら conda を優先する。
これらを参考に、目的となる環境を構築すればよろしい。
Anaconda の Python の numpy を確認
※ バージョン番号が表示されれば OK.
まとめ
GMTのお作法が嫌なので細かいところはPythonもしくはMatlabで調整
貧乏人はPythonを使え、お金を積めばMatlabが(多分)やってくれる。
Pythonの設定は面倒くさいが頑張れ!!
以上
閑話休題:植物の分布とジオロジー
地質学と植物について、密接に関わっている。
というのは周知の事実だろう。
火山性の土壌は酸性になりやすく、
酸性土壌に繁茂する植生は限られている。
例えば、ツツジの仲間は土壌が酸性で水はけが良い土地に群生する。
それは、霧島など数百年に一度の頻度でプリニー式噴火を繰り返している
火山で顕著に現れる。
マグマ換算で1 km3もの軽石を一度に(数日で)噴出する。
すると、給源近くの地表はすべて軽石で覆われ、
植生は死滅する。
そこで、はじめに優位にたつのがツツジの仲間である。
観賞用として人気があるようだ。
そのため、自生地では乱獲される運命にあるらしい。
乱獲により希少性が上がり、価格が上昇する。
この世には、「ツツジ御殿」なるものが建てられるそうな。
その後、自称保護活動家が幅を利かせて
不自然な形で保護がなされる。
どこかで聞いたことのある話だ。
糸魚川の翡翠なんて、違法採取と密売で同じようなことになっている。
自然物は見る目がないと、破壊されつくされる。
これは、植物も地学も同じ様な現象。
保全と保護が必須だということがわかる。
哺乳類に関しては、なぜか関心が行きやすいらしく、
優先的に保全保護がなされる。
ただし、20世紀以前は哺乳類ですら保全保護の対象になっていなかった。
一歩進んで他の自然物や文化財についても保護が必要なことを知ってほしい。
ジオパークの保全対象について
はじめに
しかし、その意見も発散してしまうと元も子もない。
前回の記事では、
「保全活動を基盤にして、教育と持続可能な発展を進めていこう。」
という図を示した。
この記事では、基盤となる保全対象について解説していく。
ジオパークの保全対象について
サイトの保全はどのように行われているのだろうか?
この記事では、
について述べる事前準備として、保全対象について詳しく見てみよう。
サイトの分類について
日本ジオパークに加盟しているジオパークのホームページを見ると
(例えば、桜島・錦江湾ジオパーク, 霧島ジオパーク, ・・・)、
多くのジオパークでサイトを以下の3種類に分類している。
- 地質サイト(Geological sites)] 地球科学的価値を持つサイト
- 自然サイト(Natural sites)] 生物学的価値を持つサイト
- 文化サイト(Cultural sites)] 文化的価値を持つサイト
さらに、それらの観察・遠望ができる場所を
4. ビュースポット(View spots)、
それらの学習・情報収集ができる施設を
5. 関連施設(Facilities)
などをサイトとして位置づけている。
このような分類は、日本ジオパークネットワークの作業部会が、
ジオパークの「保全・保護」についての指針をまとめる上で作られた。
この作業部会では、
地質と地形は生物多様性や人間の文化多様性の根本であると考えて、
そのため、多くの日本ジオパークで、
保全対象が下図のような概念図を用いて分類されている。
保全対象は、地質・地形(地球科学)の多様性を基にして、
生物多様性(自然)・人類の文化多様性(歴史・伝統・文化・産業)が
ピラミッド型に積み上がっている。
まとめ
以上のように、
ジオパークの理念では、
「保全活動」から「教育活動」}と「持続可能な開発」につなげることが求められる。
次回の記事では、
「どの様にしてジオサイトを保全し、教育・持続可能な発展に活用していくか?」
について考えていこう。
今日はここまで
ジオパークの保全活動
はじめに
前回の記事までは、
ジオパークの概要について述べてきた。
地域では、住民やNPO などの関係者から様々な意見や情報が集まる。
ただし、それら全てを取り入れても発散するばかりで、
魅力的なコンテンツとして実現するのは難しい。
そこで、
地域からの意見をある程度方針を絞って意見を集約し、
保全につなげる必要がある。
今回からは特に重要となる保全活動について数回に分けて述べていく。
保全活動の概要
『ジオパークの「保全・保護」に関する方針について』で述べたように、
ジオパークプログラムを緩衝材やフィルタとして使用するのが、
地域振興を環境保全と一体となって進める1 つの方法である。
作業部会で保全のあり方について述べられている。
下図には、地域の意見をジオパークプログラムを介して集約し、
それを教育や防災・地域振興に活用していくための概念を示した。
この、図は、これらの作業部会の内容を概念的にまとめたもので、
こうした図が、保全対象について説明をする際にしばしば使用されている。
ジオパークプログラムを緩衝材として置いて精査し、
地域から意見として上がってきた活動が、長期的に持続可能な活動か否かを判断する。
次回の記事からは、「雑多な意見をどの様に分類して活用していくか?」
一連の流れについて説明する。
こうした科学・教育・経済活動の長期的な目線に立った目的があって、
初めて持続可能な発展につながっていくだろう。
今日はここまで。
地球科学と地域社会の共存共栄
はじめに
前回の記事では、大地の公園について思うところを述べた。
さて、地質学者はどういったスタンスで、
「大地の公園」と関わっていけばいいのだろうか?
この記事では、関わり合いについて述べていこう。
共存共栄
地質学者は学術的なサイトの保護と、
後輩世代を教育する場所と機会を地域に求めた。
この願いは、地域が持続可能な開発をする事によって成り立つ。
また、ジオパークの地域は持続可能な開発と教育を、地質学に求めた。
この願いは、地質遺産が保護される事によって成り立つ。
それぞれ立場は異なるが、
お互いがお互いを求めあった結果、
ジオパークは成り立っている。
ジオパークの活動を行うためには、
地質学の専門家と地域の協力が不可欠である。
どちらが優先される目的であるというわけではない。
互いに協力してそれぞれの目的を達成していけばよい。
このように、関係者の立場によってジオパークのプロジェクトを行う目的は異なる。
しかし、軸になるのは
- 学術的な地質サイトの保護
- 教育
- 持続可能な開発
の相互補完である。
ジオパークに関わる全ての団体が、
永続的にこれら3 つの活動を補完することで、
それぞれの目的を達成することができる。
ジオパークはこのような思惑の上で地域全体が共存共栄ができる活動を目指している。
ジオパークではそれぞれの立場を理解し合って、
共存共栄の道を探していこう。
今日は、ここまで。
大地の公園とは?
はじめに
前回の記事では、ジオパークの「保全・保護」に関する方針をまとめた。
地域の意見や行政・NPO・研究機関など、
様々な立場から意見が出ている。
それを包括する言葉が「大地の公園」であると私は考えている。
「 大地の公園」と言う言葉が生まれた背景と、現状についてまとめよう。
大地の公園とは?
前回の記事では、
求めるものが明確に異なることを解説した。
日本ジオパーク委員会の求めるものは、
学術的に重要な地質サイトの保護と教育である。
では、日本ジオパークネットワークを構成する団体が求めるものとは何だろうか?
UNESCO のプログラムが発足する前後で付け加えられたものこそが、
彼らの求めるものだろう。
そして、それこそが「大地の公園」と言われるものである。
では、大地の公園とは何だろうか?
日本ジオパークネットワークの説明文を見ると、
冒頭のGeo の説明の後に、教育と持続可能な開発の説明がある。
これこそが公園に込められた思いではないだろうか。
公園は絶好の教育の機会となる場である。
我々の生まれ育った風景に、どういった人類史的・地球科学的背景を持つか?
を知る事は、彼らの誇りとなり、地域に愛着を持つ事につながるだろう。
公園は地域の住民が集まる憩いの場でもある。
地域の住民が集まれば、そこは文化的発展の場にもなる。
地域が主体的になって教育の機会を用意し、
それによって地域は文化的に発展していく。
その発展は地域への愛着からもたらされるものであり、
還元のために地域文化の保護と次の世代への教育に再投資されていくだろう。
これこそが「大地の公園」に求められる、教育と持続可能な開発であるといえる。
しかし、大地の公園と言う表現では、
具体的に何を表しているのかが見当がつかないという問題がある。
結局は誰もが参加できる様な、教育と持続可能な開発の場が重要であり、
それをジオパークに求めただけのようだ。
大地の公園と言う表現を、対外的に使う理由はないように思われる。
次回の記事では、
大地の公園に隠されてしまった、
ジオパークにおける共存共栄について考えていこう。
今日はここまで