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山陰自動車道を走るオレ達が松江に着けるのは18時頃だ。
オレ達は基本的に車での煮炊きはしないので、昼間は旅先の店で土地の
名物などを食い漁り、夜は市場や道の駅で仕入れた弁当や惣菜、刺身など
を肴に風呂上がりに車内で一杯やる事を無上の楽しみとしている。
しかし今日はそれらの確保が難しそうなので、食べログで調べた松江の
鮨屋に車から電話を入れ、折詰を作っておいて貰う事にした。
松江は中海と宍道湖ふたつの汽水湖に挟まれた城下町だ。
折詰をお願いした呉竹鮨さんは駅裏のいい感じの飲み屋街にあった。
GWだけにカンターはすでにお客さんで一杯だ。本当ならここに座って
えへへ大将、旅の者なんで地魚のいい所をおまかせでお願いね！
なんて言って、地酒で一杯と言いたい所だが、そうも行かない。
特上折り詰め二人前税込み7120円也を支払い品物を受取り車に戻る。
何しろ今夜の停泊地に行く前に温泉に寄らなければならないのだ。
幸い玉造温泉は松江の市外から20分ほどと近かった。
規模は案外大きく、温泉街の中心を流れる玉湯川に沿って立派な旅館や
ホテルが建ち並んでいる。
※ 画像はネットより拝借
玉造温泉ゆ～ゆはかけ流しの日帰り温泉施設だ。
風呂は建物の4階にあり、サウナや食事処など設備も中々充実している。
※ 画像はネットより拝借
勾玉形の内湯の中心からは源泉が湧き出し、湯口には析出物が石灰状に
白く固まっている。湯加減も熱過ぎずちょうどいい。
オレ好みの鄙びた感じでは無いが料金も500円とリーズナブルだった。
ちなみに玉造温泉の名は古来この辺りで産出されるメノウを使って勾玉を
作っていた玉作部の里だった事から付いた名前だそうだ。
高速に乗って出雲大社近くの道の駅まで行こうと思ったが、少し疲れたので
今夜は山陰自動車道の宍道湖SAで休ませて貰う事にした。
プハァ～！やはり風呂上がりの一杯はビールだ。
今夜の肴は城崎温泉で仕入れた甲羅入りのカニ味噌に
ホタルイカの佃煮
ハタハタの南蛮漬け
そして今日一の贅沢特上にぎりだ。
太巻きが入ってる特上寿司は生まれて初めてだが、松江は海が近いだけに
どれも美味かった。
今夜も先に寝たセツ子のイビキを聞きながらウィスキーを飲もう。
三十数年前、セツ子は細く華奢な女だったが、いつからイビキをかくタヌキに
変身してしまったのだろう？
オレはウィスキーのグラスを眺めながらぼんやりとそんな事を考えた。
明日は出雲大社で元の姿に戻してくれるように神様に頼んでみよう。
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