今回の記事のテーマはずばり、性教育!
近年、幼児向けの性教育を取り扱った絵本や、親向けの性教育をテーマにした本への注目度が上がっていまして、ちょっとしたブームになっているのをご存じですか?
初めて聞いた方は「性教育を幼児に!?」と驚かれるかもしれませんね、私も最初はギョッとしました。
でも、男女の身体の仕組みや性行為について説明するだけが、性教育ではありません。
子供が正しい知識を得る事で、自分の身を守り、他者を尊重し、自分が今ここに生きている必然性を知って自己肯定感を育む為の教え、としての性教育が、最近は重要視されているんですよ。
これを一時的な流行として終わらせるには、もったいない!
我が家でも、息子達(8歳&6歳)へ性教育絵本を何冊か読み聞かせておりまして、その内の2冊については、既に当ブログでもご紹介しています。
今回は、性教育絵本を直接取り上げるのではなく、性教育を我が家に取り入れようと思った経緯、そして、参考にしている親向けの性教育関連の書籍3冊をご紹介します。
絵本ブログにしては随分生々しい話題だな、と感じる方もいらっしゃるでしょう。
けれど、性教育絵本について取り上げる以上、その性教育絵本をどのような考えで選んでいるのか、を明確にしておきたいと思った次第です。
抵抗感を持つ方がいらっしゃるのは重々承知の上ですが、「うちにはまだ関係ないから……」と心のシャッターを閉めず、騙されたと思って、目を通してみて下さい。
「やっぱりイヤ」となれば、それはそれでOK、個人の自由で決めて良い事です。
ただ、もしかしたら、私と同じように、「うちでもやってみようかな?」という気持ちに変わるかもしれませんよ~~。
幼児期の性教育を取り入れようと考えた個人的経緯
従来の性教育へ湧いた疑問
性教育と聞くと、できれば避けて通りたいと思う方も多いでしょう。
それを家庭で自分が施す側ともなれば、戸惑うのも当然!
親子でそんな話をするのは恥ずかしい、学校の保健体育でお任せしたい、大きくなれば自然と本やテレビや友達から見聞きするでしょ……。
少なくとも、私自身はその程度の認識で育てられた1人です。
子供の頃はそれで違和感を感じる事もなく、性教育と言う言葉にはどちらかというと眉をしかめるタイプでした。
しかし、ここで皆様に思い出して頂きたいのですが……保健体育の授業、実際に役立ちましたか??
正直、私の場合は何の役にも立ちませんでしたよ。
教わったのは、「雌しべと雄しべの仕組み」的な、本当に最低限の知識のみ。
その仕組みがあるから、何が起こるのか、どう考えればいいのか、どのように対処していけば良いのか……実生活で役に立つ知識は、授業では何ひとつ出てきませんでした。
日本の保健体育では、性の悩みについても、避妊についても、性犯罪から身を守る方法についても、具体的な指導はしないんですよ。
子供の頃はそれが当たり前だと思っていました。
でも、成長した後は違和感が段々と込み上げるように……。
みんなで遊んでいる公園に「変な人」が出没しても、何が変なのかわかっていなかったので、危機感ゼロで遊んでいた事へ、後になってから背筋がヒヤリ。
漫画やドラマ、小説などの創作物を見れば、誤った性知識がちらほら。
社会人になった後は、友人が婦人科検診や婦人科系の病への偏見、避妊に対する無知を口にする姿に唖然とした事もあります。
実際に出産を経験してみれば、自らの身体と精神の変化に戸惑い、どうしてこれをもっと早く知らなかったのかと思う事ばかり……。
性教育は自分の身を守り大切にする為の知識を学ぶ為のものなのに、どうして日本では医学的かつ実際的な知識として、教育の途上でレクチャーしてもらえないのか?と疑問が湧いてきたんですよね。
よくもまあ、あんな低レベルの性教育だけで子供を社会へ放り出せるものだ、と妊娠・出産を経験して母親となった今は呆れるばかりです。
特に、女性は身体の仕組みからして、妊娠・出産のほぼ全てのプロセスと負担を引き受ける側だというのに、日本における避妊は受け身の場合が多く、自分の身体にについても知らない事が多いなんて、おかしいとは思いませんか?
男性だって、知らないが故に苦しい状況に立たされる事もありますし、パートナーとの関係を円滑にできる可能性があるならば、学びたいと思う方も多いでしょう。
防犯面を考えても、老若男女関係なく、性被害に遭う可能性があるのに、身を守る術も知識もろくにないなんて、ありえません。
性指向についても、今は「LGBTQ」が言葉として流通していても、その定義をどこまで理解しているでしょうか。
無知は本人の責任もあるかもしれませんが、学ぶべき子供時代に知るきっかけを提供しないのは、大人としてどうなのかと……。
何年か前には「産後クライシス」という言葉が脚光を浴びましたが、性知識について、男女ともに無知である弊害が要因のひとつなのでは、と考えたのが、私にとってはダメ押し。
息子達には、偏見や誤解のない性知識を身につけさせないといけない……とはっきり考えるようになったんですよ。
ちなみに、実際にはどう教えれば良いかな、と悩んでいたところに、昨今の性教育本の出版ブーム到来!
いやー、私と息子達にとっては、タイミングが非常に良かったです。
お陰様で、性教育本を何冊か読んで、自分の中で漠然と考えていた内容がはっきり形になりました。
性教育絵本を読む際の親としての姿勢をきちんと決められたのも、事前に考えをまとめられたおかげです。
子供の性教育を学校にだけ任せるのは不安……!
家庭での性教育が脚光を浴びている理由のひとつは、学校の保健体育による性教育だけには任せられない、と同じように限界を感じている方が多いからではないでしょうか。
今の時代、小学生や幼稚園児でもスマホやタブレットを使いこなす時代。
何が危険なのかの判断基準を持たないのに、いくらでも手軽に情報を入手でき、多くの人とネット上で繋がれる現状では、子供が危険に晒される可能性も、間違った情報にを信じてしまう可能性も、右肩上がり。
複雑化するネット社会の今、この数十年変わっていない従来通りの性教育では、いかにも不安です。
私は、息子達に、男性の夢と幻想が詰まったポルノ動画から初めての性知識を吸収してほしくないし、将来のパートナーを大事にしてほしいし、性犯罪の加害者にも被害者にもなってほしくありません。
自分自身と未来のパートナーを含む他者を尊重し、妊娠・出産・育児に直接関わる機会があれば、当事者として正面から向き合えるようになってほしいんですよね。
命の誕生、個人の尊厳とアイデンティティに密接に関わる「性」を安易にエロコンテンツ扱いしたり、臭いものには蓋をせよ的な扱いもしてほしくないんですよ。
その為には、やっぱり正しい「性」への理解と知識が必要!
学校で全部やってくれれば、こちらとしては楽ですし、肩の荷もおりますけれど、日本の教育観が変わらない以上、おそらくは無理な話。
時代の変化へ学校がついていけない以上、家庭でやるしかないですよね。
恐らく、同じ考えの方は相当数いるはず……それが、今の性教育本の活況を招いているのだと思います。
我が家が購入した親向け性教育本3冊の紹介
さて、性教育をやると決めたものの、どうしたらよいのか、わからなかった私は、とりあえずその時点で出版されている性教育本について、調べまくりました。
夫が読む事も想定して、文章タイプ・漫画タイプ・Q&Aタイプを各1冊、著者の立場の偏りもないように選んだのが以下の3冊です。
母親目線で性教育を語りまくる文章タイプ
日本の性教育の現状・水着ゾーンの考え方・成長に伴う生理現象・妊娠の仕組み・不妊治療や避妊・LGBTに至るまで、文章で広く浅く解説してあります。
著者ののじまなみさんは元看護士の性教育アドバイザー。
ご自身が性教育にオープンな家庭で育った事も影響してか、非常に開けっぴろげなスタンスで、「子供へ生理を見せる」など私個人としては考えが合わない部分もありますが、「性を隠すべきものにしない」という姿勢を徹底しているのは尊敬します。
性教育に対する子供の年齢別反応の違いを説明するくだりを読むと、低年齢時からの性教育をするメリットが実感できますよ。
ちなみに、海外のハウツー本によくあるように、著者が読者へ向かって話しかけるタイプの文体。
時にジョークを交えながらの、陽気なぶっちゃけトーク的語り口ですので、読みやすいです。
女性、というより母親目線が強過ぎる傾向があるのは気になりますが、似た立場の方ならば、共感はしやすいでしょうね。
ただし、漫画チックな挿絵が時々入るとは言え、延々文章が続くので、集中して読む時間が確保できない方には向かないかも?
初心者におすすめ、読みやすさ抜群の漫画タイプ
約9割のページがほんわか系イラストで描かれているので、片手間でも、細切れにでも、読みやすいです。
著者の村瀬幸浩さんは元高校教師、その後に大学講師として、「人間と性」を専門としてきた方だけあり、内容的にわかりやすくまとまっています。
本書は父親と母親、両方の立場で、「性教育って本当に必要?」という疑問からスタート。
多くの親が感じるであろう子供の性への戸惑いや不安に寄り添って、一緒に考えていくスタイルを取っているので、性教育へ抵抗感のある方でも手に取りやすいですよ。
男女の体の仕組み・性的成熟に対する具体的な対処方法・避妊・LGBTを含む性別のあり方などの非常に幅広い内容を、「子どもに聞かれたら親はどう答えるか」という現実に即したスタンスで取り扱っていて、実際的。
入門編の漫画という体裁を取ってはいますが、生理用品の種類や男の子の局部の洗い方など、具体的な内容にも踏み込んで図解しながら書いてあり、参考になります。
知識のみならず、子供への対応の具体例も盛り込んであるので、個人的に3冊の中で最も役に立っているのが、この本ですね。
医師夫婦によるワークショップ経験が元になったQ&Aタイプ
著者の「アクロストン」は、小学生のお子さんを持つ医師夫婦によるユニット。
「性」の子供向けワークショップを各地で開催している経験が反映されており、子供や親からの質問へ答える形で、性知識を真面目に・明るく・客観的にまとめてあります。
特徴的なのは、性を科学的事実に基づいてのみ伝えるという姿勢。
耳触りの良い言葉で胡麻化したり、大人側の価値観を押し付けたりせず、まずは正確な情報を包み隠さず子供へ伝える、というスタンスが一貫しています。
性別や立場を問わないフラットな視点にも立っていますので、男性・女性共にオススメですよ。
基本は文章ですが、絵本を連想させる抽象的なイラストを差しはさみ、お洒落なイメージを演出する事で、手に取りやすくしてあるのは、最近の性教育本ならでは。
ひとつひとつのQ&Aが独立していて軽く読めるので、一部抜粋しながら、子供に読んであげても良いかもしれません。
ただし、これ1冊だけだと、ちょっと内容的に物足りないかも?
読んでいると、大人でも「もっと知りたい」とうい好奇心が刺激されるので、ある意味、著者の思惑通りかもしれませんが……。
メインの本は別に購入して、こちらは質問想定用のサブとして読むのが良いかな、と感じます。
購入した3冊の共通点は?
これら3冊の性教育本に一貫している要素は、おおまかに以下の通りです。
- 性に関して、子供へ嘘はつかない(年齢に応じた対応のコントロールはOK)。
- 性知識は医学的事実に基づいた内容を教える。
- 性教育は自分と心と体を大事にし、他者を尊重する教えである事。
- 性教育は子供の自己肯定感を育む。
- 反抗期に差し掛かる思春期からではなく、幼児期から性教育を始めた方が、親も教えやすく、子供も素直に受け止めやすいメリットがある。
私は、性教育が自己肯定感を育む、というのが、目から鱗でしたね。
性教育は単に体の仕組みや妊娠の原理を知るだけではありません。
命の尊さ、命が連綿と繋がって今ここにいる自分の存在、について考える事も性教育。
性の多様性を知れば、命の多様性を知り、社会の中で生きる自分自身を受け入れるきっかけにもなります。
防犯としての知識を身につけ、加害者にも被害者にもならず、自分の人生を守るのも、教えの一環。
正しい知識を身につければ、自分自身のコントロールをできるようになり、自信もついてくる……!
あー、なるほど、これは確かに、自己肯定感を持つきっかけをもらえるかも、と納得しました。
性教育、奥が深くて面白いですね!!
まとめ
実は、これだけ延々と書いておきながら、私自身も息子達に対する性教育は現在進行形で手探りです。
なにしろ、自分自身が保健体育の授業レベルの性教育しか受けてきた覚えがないので、何が正解なのかはがありません。
「これでいいのかなー、大丈夫かなー」と迷う事もしばしばで、読んだ本の内容が全て正しいとも思っていないんですよ。
息子達に対する性教育がどんな結果になるかなんて、10年20年後にならないと答えは出ないんですからね~。
ただ、自分自身が抱いてきた疑問や違和感を振り返った上で、それらを教訓として生かした性教育をしていきたいというのが、現時点での考え。
その為には、親の言葉が素直に耳に届く幼児期から、少しずつ性教育していくのが良いだろうと判断し、性教育絵本の読み聞かせをスタートしています。
紹介した3冊の本からは、我が家の教育方針に合った部分のみを取り入れています。
教育方針は各家庭それぞれ違って当たり前、無理をする必要はありません。
親も子も一緒に無理なく出来る範囲で取り入れられれば、それがその家庭でのベストなのだと私は考えています。
興味をお持ちでしたら、とりあえず本屋さんでチェックしてみてはいかがでしょうか?
最近は、様々なタイプの親向け性教育本が出版ラッシュとなっていますので、それらの中から自分が読みやすいものを選んでみてくださいね。
もしかしたら、その選択が将来のお子さんの身を守る為の役に立つかもしれません。