31歳軟弱獣医師の考察 〜うちの子下痢です。どう考える?〜 その5  | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

今回も検査ですが

 

前回の問診→身体検査→糞便検査→血液検査→レントゲン→エコー検査

 

というあまり体に負担のかからない検査を飛び越えて

 

内視鏡や試験開腹についてお話しします。

 

上記の流れで消化管疾患であることが疑われるけれど

 

まだ確定診断が得られていない場合には

 

内視鏡検査や試験開腹で確定診断に近づくことが推奨されます。

 

ここでは西洋医学のセオリーに従ってお話しします。

 

少し寄り道。

 

「やるorやらない」は僕ら獣医師の決定することではなく

 

飼い主さんが決めることです。

 

僕らはメリットデメリットやリスクを明確に簡潔にお伝えするのが仕事です。

 

僕は割と負担のかかることは「やりたくない派」の獣医師です。

 

しかしながら、医学的には確定診断に近づくことで有意に延命できる子も多いです。

 

実際に、大山院長が当院に来てからこういうことは多数です。

 

「やってよかったね」ということの方が多いです。

 

むしろ「やらなかった後悔」の方が多い気がします。

 

あと、獣医師的にはやらない方が楽なんです。

 

リスク回避になりますし、適当な薬である程度ごまかせるので。

 

だけどそれは僕らの「逃げ」でしかないのでは?とも思います。

 

一応、参考までに書いておきます。

 

さあ、本筋に戻りましょう。

 

消化管の疾患だ

 

と思ったなら内視鏡は有効です。

 

胃や小腸なら口からのアプローチ。

 

大腸ならお尻からのアプローチ。

 

ただし、内視鏡にも長さがあります。

 

回腸という小腸の最後の部分に異常がありそうなら

 

口からだけじゃなくて、お尻からも内視鏡を入れていく必要があります。

 

下からも上からも届きにくい遠位回腸なんかだと厄介ですね。

 

じゃあお腹を開けて生検を行う。

 

つまり試験開腹はどういう場合にやるの?

 

ということですが、前提として内視鏡は消化管の内部構造しかわかりません。

 

例えば、腸管の外側に腫瘍が張り付いてるなら

 

お腹を開けてアプローチしていく必要がありますよね。

 

また、病変が筋層や漿膜に及ぶ場合にも選択します。

 

腸は輪切りにすると、こういう層構造があるんですね。

 

外側に近い層に病変がありそうなら、試験開腹というわけです。

 

今回は侵襲性のある検査について書いてみましたが

 

消化管疾患の基本はやっぱり内視鏡や試験開腹を含めての診断だと思います。

 

では。