オークションでのやらかし―寄付の神髄とは

スイス

皆さんは寄付ってしたことありますか。

歳末助け合いとか、赤い羽根募金とか、誰しも一度は何かしらの寄付をしたことがあると思うのですが、日常的に寄付している人っていますかね?ましてや高額寄付するとなると、二の足踏む人も多いのではないでしょうか。

欧米での「寄付」って、日本のそれとは全然違います。もっともっと深く、日々の生活の中に根付いています。

では寄付って、どのように行われ、どのような意識でするものなのでしょうか。

クリスマス・シューボックス

これは是非日本にも取り入れて欲しいと私が切望している寄付の集め方です。

靴の空き箱に色々な物を詰め、困っている国の子ども達へプレゼントするというもの。

結構いっぱい入ります

なるべく日常で使う物を入れると良いと聞いたので、私とケビンはノートや鉛筆、歯ブラシ、石鹸、靴下などをぎっしりと詰めてみました。どこか遠い空の下で、この箱を開けて喜んでくれる子がいるのかと思うとこちらも気合が入ります。

あの時は本当に、ケビンとあれこれ考えながらプレゼントを詰めました。非常に勉強になりましたし、贈る側にも喜びがありました。

オークション・ナイト

ああ文化が違うんだなあと思ったのはこれ。そもそも「寄付する」という行為自体を、私が理解していないことが露呈したイベントでした。

当時、ケビンの学校では年に一度オークション・ナイトが開催されていました。

父母からの寄付物品をオークションにかけ、その売上も寄付になるというシステム。校舎入口には寄付箱が設けられ、そこに各家庭から寄付物品が次々と入れられていきました。

私は、ほほうなるほど、日本の小学校のバザーと同じねと思いました。だとすると、新品未使用で子どもが喜ぶ物はなんだろう?

その頃は、結構子ども達の間で日本のパワーレンジャーが人気があったので(もちろんスターウオーズほどではないけど)、これだ!とばかり私はパワ―レンジャーのグッズ&CDを寄付ボックスに入れたのでした。

そしてオークション当日、なんかワクワクすっぜとばかり、私は胸を高鳴らし意気揚々と会場に向かったのでした。

さて皆さん、ここで想像してみてください。オークションが開かれる会場って、どんなふうだと思います?

私は「体育館に集まる米国のビンゴ大会」を想像していたんです。そう、こんなふうな簡易テーブルが並べられているような。

でも、その日の会場はまるで3星レストラン。

座っている保護者達もいつものゆるゆるスタイルではなく、がっつりドレスアップしていました。ここでまず一回目のヤバッと(・_・;)。あれドレスコード違ったなと。

なんか違う我々(夫もいます)は雰囲気にのまれながら、声をかけてくれた仲良し夫妻エリカ&エディと同じテーブルに座りました。

オークションが始まってすぐに、嫌な予感がしてきました。

そう、そうなんです。

オークションで出品されている物は、決して、全然、日本の小学校バザーで出されるような家に余っている物ではなかったんです。この夜のために準備されたとても素敵な物だったんです。

例えば、1番目の品物はバスケット。

こんなふう

バスケットの中には、ワイン、チーズ、オリーブオイル、ハーブ等がプレゼント用に梱包されています。

「さあ、皆さま、これらはフランスのプロバンスで購入された物ですよ~はいっ」みたいな感じで司会の先生が紹介していきます。

2番目の品物はベネチアグラスのランプ。

イタリア人夫妻からのドネーション。珍しくてとても綺麗!!素敵です。

それらを「買ったであろう以上の金額で競り落としてあげる」というのが、このオークションのスタイル。高度な金持ちの寄付システム(もちろん全てが善意です)だったのでした。

そんなところに大貧民代表のワレワレが、ビンゴ大会のノリで参加してしまったのですから、場違いなことこの上ない。

サアーッと血の気が引いてきたまさにその時、あっ!
ああ、パワーレンジャーセットが前に並べられている!!

100円ショップで買った戦隊モノのプラスチック食器や、パワーレンジャーの絆創膏などがずらりと。

落としても割れない素晴らしい商品です

「これは日本からですねえ・・・。はいっ」と。

颯のごとくすべてを回収し、霧の中へ消えてしまいたかったのですが、もうどうすることもできません。誰も手をあげず、しーんとしていたところに、隣に座っていた優しいエディとエリカがさっと手をあげてくれました。とてもとても高い額を提示して。

よく外国人は空気読めないとか、恥の文化じゃないとかいうけど…そうですかね?

少なくともエリカとエディは私の心を読んで買ってくれたと思うし、そもそも空気読んでないのは誰かって、私ですよっ!!

寄付ってなんだろう

寄付って、私は偽善者が売名行為のためにするのではないかと思ってたんですね。でも違いました。

いま冨を持っている者が、持たざる者に分け与える」という感覚なのだと思います。分け与えるというより、もしかするとシェアの方が近いかも。

オークション・ナイトにおいては、良い品を安く手に入れるとか、お買い得を見つけるのが目的ではなく、子ども達のために親として今できることをしよう、そして大人もこの時間を楽しみましょう、という成熟した目的だったと思います。

まあ根本的に、裕福なのは神様のご加護という考えがあるのかもしれないですが、心の出発点はどこでも良いと思うんですよね。たとえ寄付が節税目的だったとしても。

皆がハッピーになれるもの、それが寄付なのかもしれません。

ちなみに・・エリカとエディのお子様、日本が大好き。成人した今でもパワーレンジャーのCDを大切にしてくれています。

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