たそがれ晴明、徒然なるままに...

たそがれ晴明、徒然なるままに...

日々起こる出来事を気の向くままに書いたブログです

直腸がんステージ4! 結構大変...

胆嚢結石で腹腔鏡による胆嚢全摘手術を受けた翌年、直腸がんステージⅣと診断され、今日までの約1年間に4回の全身麻酔による手術を受けました。周りの目には「壮絶な戦い!」のように映るようですが、本人はいたって冷静であり、ひと段落したので胆嚢手術の時に習い、備忘録的に書いてみました。これからがんと向かい合う多くの方に、少しでも参考になれば幸いです。
bangai.jade-seimei.com 

兆候

胆嚢結石の術後暫くの間は絶食状態であり、当然排便量も少なくなります。そんな中、入院中便に薄く赤い物が混じっている(2回)事に気が付きました。痔か大腸憩室からの出血ではないかと勝手に思い込み、その後症状も何もなく経過したため、入院中にも関わらず誰にも告げず退院しました。おそらくそれが最初の警告ではなかったのか…

大量下血

胆嚢手術から半年が経過し、何事もなく順調に経過していたある日の夕方、トイレで大量下血!便器が真っ赤になり、まさに血液...

びっくりして胆嚢の手術でお世話になった救急病院に連絡をして、受診をお願いできるか聞いてみました。

f:id:Jade-Seimei:20210524083458j:plain:w200:left対応して下さった看護師さんからは「めまいやふらつきはありませんか?今すぐ電話を切って救急車を呼び、救急隊員の指示に従ってください。」と言われ再度びっくり!

事の重大さに気が付きました。

*結局同じ救急病院に搬送されました。

入院そして直腸がんの宣告

病院で診察を待っている際にもずっと大量下血は続いていましたが、本人はまだ大腸憩室からの出血を疑っていませんでした。

病院でトイレに行った回数は3回で毎回血液。

「これはすごいですね!」 看護師さんも絶句…
www.coloproctology.gr.jp

急遽造影CTを行い、憩室からの出血ではなく、別に病変がありそうだとの診断で緊急入院することに。

4時間ほど経過していましたが、そのころには下血は治まっていました。

大腸ファイバ、造影MRI、血液検査等、様々な検査を行い、2日後に家内と二人で呼ばれて先生からの病状説明です。

「直腸がんですね。直腸内の3分の2程を覆っており、周囲のリンパ節と肝臓にも転移しています。ステージⅣです。」「肝臓への転移は1か所。肺、その他に転移は見られず、腹膜播種は無いと思われます。手術は可能です。」

独り言…

比較的に冷静に受け止められました。ネットでの体験談などに書かれているような「目の前が真っ暗になった。」「冷静に話が聞けなかった。」「涙が止まらなかった。」
年齢が60歳を超えているのが理由かもしれませんが「癌なのか…」程度の感想しかありませんでした。

検査結果の丁寧な説明を伺い、今度は治療方法を選択する事に
1. 直ぐに手術
2. 抗がん剤治療を行ってから手術

先生からは抗がん剤治療の先行を提案されましたが、抗がん剤を使用すると制御できないほどの大量下血が起こる事があり、その際には重大な結果になる事があるリスク説明もありました。

家内と相談し、その場で抗がん剤での先行治療をお願いしました。

チョット情報

初めて直腸がんと診断された際にステージⅣと分類されるのは約17%、そのうち遠隔転移巣の手術が可能な症例は約20%だそうです。手術を受けられるだけラッキーなのかも知れません。

www.ncc.go.jp

抗がん剤治療と手術(入院歴)

がん診療ガイドライン│大腸がん│治療ガイドライン

(1回目)
令和2年2月(9日間)
理由:下血(直腸がんによる)

(2回目)
令和2年3月(8日間)
理由:抗がん剤治療(化学療法)導入の為
*入院2日目、右腕前腕部にポート埋め込み手術施行

(3回目)
令和2年5月(4日間)
理由:大腸EMR(内視鏡的粘膜切除術)

(4回目)
令和2年6月(16日間)
理由:直腸がんに対するロボット支援直腸低位前方切除術 + 人工肛門(回腸)造設術
手術時間:10時間

(5回目)
令和2年8月(14日間)
理由:転移性肝臓がん切除術(腹腔鏡)+ 人工肛門(回腸)閉鎖術
手術時間:6時間

(6回目)
令和2年10月(8日間)
理由:転移性肝臓がん切除術(腹腔鏡)
手術時間:5時間

(7回目)
*令和2年12月には転移が判明していましたが、再発間隔が短すぎるため、手術前に再度抗がん剤治療が行われました。
令和3年5月(9日間)
理由:転移性肝臓がん切除術(腹腔鏡)
手術時間:4時間
ganjoho.jp

抗がん剤治療の経過

(1回目)
令和2年3月~5月 *6クール
抗がん剤 + 分子標的薬(抗EGFR抗体)
5-FU + ロイコボリン + オキサリプラチン + パニツムマブ
*第3クールの点滴中のどの違和感があり、その後オキサリプラチン中止

(2回目)
令和2年12月~令和3年4月 *6クール
抗がん剤 + 分子標的薬(抗VEGF抗体)
カペシタビン + オキサリプラチン + ベバシズバブ
*カペシタビンの内服では下痢症状が強く、度々休薬。オキサリプラチンは完走。

治療期間中気になった事

抗がん剤の副作用

よく言われる「吐き気」を感じることはあまりありませんでした。多少のむかつきはありますが、薬で制御できるレベルでこれには助かりました。点滴中や終了後に強い吐き気止めが用意され、ずいぶんと良くなっているそうです。

2回ともオキサリプラチンが使われていますが、指先のしびれ(抹消神経障害)がだんだん強くなります。冷たい飲み物、ドアノブ、冷気などに触れると強い痛み?を感じます。特に冬の冷気(風)に当たると目が開けられなく、瞼が痙攣することもあるためゴーグルを使用しました。(冷蔵庫で良く冷えた飲み物のアルミ缶等は今でも素手で持てません。)

1回目の分子標的薬(パニツムマブ)は皮膚の乾燥が強く、脱毛もあります。皮膚の乾燥には全身に保湿剤を塗って対応しますが、それでも皮膚はいつも白い粉を吹いた様でカサカサします。顔は全体にどす黒くなり、シミも目立つようになります。脱毛は洗髪する度にびっくり!男性なので髪は短めですが、それでも毎回驚くほどの抜け毛があり、女性は大変だと思いました。薬が終了すると問題なく生えてきますので、ご心配なく。皮膚の乾燥は1か月程は続いた後改善しました。

2回目のカペシタビンは下痢の副作用が強く、始まるとトイレから出ることができません。酷い時は夜も眠れないほどでした。苦しさに耐えられずしばしば休薬しましたが、その都度先生に励まされ、下痢止めで何とかコントロールするように指導されました。また、「手足症候群」という症状があり、手足の指先の皮が角化してどんどん剝けて痛みが出ます。(服薬終了1か月経っても症状は変わりません)

f:id:Jade-Seimei:20210524084147j:plain:w200:right私の場合普段使う右手指先(中指、人差し指、親指)に症状が特に強く表れ、洋服のボタン止めや飲み物のキャップ開けがうまくできず、手袋をしているためパソコンなどの文字入力にも問題が生じています。ネットで調べると私の障害の程度はグレード1程度だと思いますが、指先はオキサリプラチンによるしびれもあり、日常生活に支障があります。

1回目は点滴終了後2日間程は比較的元気ですが、3日目から倦怠感が出始め5日目ほどがピークで動けなくなりその後回復。そのパターンに合わせて仕事を調整し、休んだ日には自宅療養するしか出来ることはありません。

2回目は第3クール以降点滴終了初日から強い症状があり、帰宅時タクシーの降車後もしっかりと歩けない程でした。足がつったような症状がありしびれも強くありました。

薬の蓄積が原因と思いますが、季節が冬で気温が低かったのが一番の理由ではないかと思います。
冬の抗がん剤治療は注意が必要です。(本当に辛かったです)

チョット情報

抗がん剤治療を受ける化学療法室には看護師さん達がゴーグルをして手袋をしている理由が書いてあります。また、トイレを使用した際には2回流すように勧められています。
理由は… 抗がん剤に発がん性が有るからだそうです。  何だかなあ?????

手術と全身麻酔

手術室は結構物々しく、初めてだとチョット緊張。看護師さん達は緊張をほぐそうと、皆さん大変優しく、安心させて下さいます。硬膜外麻酔は入れると痛みが少なくなりますが、入れている間は尿道カテーテルを抜くことができないのが欠点です。

痛みは軽減されるので私はいつも希望しますが、全身状態によって、出血傾向や血栓の存在が疑われる場合には対応してくださいません。最終結果は手術室で麻酔科の先生に告げられるのですが、私の場合は2勝2敗でした。
無理して使用した際のリスクを聞いていると、どうしても入れてくださいとは言えなくなります。麻酔科の先生の判断にお任せです。

全身麻酔は口からの吸気で行うのではなく血管からの薬剤投入で行われます。

f:id:Jade-Seimei:20210524084327j:plain:w300:right「薬が入ります。」と聞いた直後に肩をたたかれ「終わりましたよ!」の感覚がいつものパターン。何時間経過していても、その間に何が行われていても全く記憶にありません。(当然です)ところが今回初めて夢を見た記憶があります。ほんの数秒間のとても楽しい夢でしたが、直ぐに現実に引き戻されました。

術後は強い吐き気があり、毎回閉口します。何も出るものは無いのですが、数回えづきます。

初回の手術終了時には真っ直ぐ病室に戻りましたが、2回目以降、肝切除を行った際にはICUで一泊しました。当日は寝ているだけですから良いのですが、病室に戻った翌日には朝から体重測定があります。初回の手術には10時間掛かっており、病室に戻ったのは夜の8時過ぎでした。次の日の朝、7時に起こされ体重測定を求められた時には看護師さんを「鬼!」「悪魔!」と呼びたくなりました。(看護師さんごめんなさい)

それでも硬膜外麻酔が入っていたおかげか、さほど強い痛みはなく、無事に任務が遂行できました。(人工肛門が設置された自分の右下腹部には少し違和感を覚えました)

3日目にはリハビリの先生が病室に来てくださり、いろいろと指導を受けます。
f:id:Jade-Seimei:20210524095817j:plain:w200:left尿道カテーテルだけではなく、人工肛門設置、お尻にも管が入って肛門に縫い付けられています。痛くてベッドに座ることも困難です(持参した円座が大変役に立ちました)が、先生の指導でだんだん動けるようになり、翌日には一人で病棟内を歩くことができるようになります。最終日にはリハビリメニューを作成してくださいました。
リハビリは重要です。3回程の指導でしたが、体を動かすことで呼吸がずいぶん楽になりました。

手術後は一日一日回復するのを実感しますが、
「何時退院できるようになりますか?」

「人工肛門の処理が一人でできるようになったらいいよ。」

独り言…

令和2年度は6月、8月、10月と2ヶ月置きに3回全身麻酔を行いました。麻酔科の先生に「こんなに短期間で繰り返し全身麻酔を行っても問題はないのですか?」と伺ったら「昔と比べて麻酔の技術も随分進歩しているから大丈夫ですよ。」と言われました。

人工肛門(ストーマ)造設

直腸がんの手術を受けるにあたり、精神的にショックを受ける事の一つに「人工肛門造設」が有るのではないでしょうか。
www.jfcr.or.jp

今は手術の技術が進歩し、そのリスクも随分と軽減されたようです。私も永久的な人工肛門(ストーマ)を覚悟していましたが、一時的な造設だけで、2度目の手術の際には閉鎖することが告げられました。直腸がんの手術後の重大な後遺症の一つである、縫合不全を回避するための一時的な処置だそうです。
ストーマには二つの種類があり、今回選択されたストーマは回腸ストーマで、結腸ストーマよりは管理が容易といわれています。
cancer.qlife.jp

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f:id:Jade-Seimei:20210524083819j:plain:w250:right入院中には1日おきにパウチの交換を行いますが、看護師さんがやってくださったのは2回。3回目からは自分でやります。出来なければ退院できませんので必死です。自宅に帰って家族に迷惑を掛けないためにも、社会復帰した際に困らないためにも、ここはしっかりと習得します。

人工肛門の生活は面倒ですが、さほど不便ではなく、回腸ストーマだとにおいもあまり問題ありません。携帯しているバックが溢れないように注意しておけば食事制限もなく、アルコールも少量であれば大丈夫です。調べると人工肛門閉鎖後にも様々なトラブルがあるようで、皮膚障害が無く、後10歳年を取っていれば永久的人工肛門でも良いかなと思ってしまいました。

*閉鎖後普通の生活に戻ると、ヤッパリ閉鎖して良かったと思います...
ganjoho.jp

独り言…

人工肛門閉鎖の手術後が一番大変です。排便コントロールが旨くいかず、ずいぶんと苦労しました。(現在も苦労しています)長い期間をかけて改善してくるとの報告もあれば、半年たって症状が良くならなければその後の改善は期待できないとの報告もあります。時間という最高の薬に期待するしかありません。

インフォームドコンセント(IC)

造影剤を使う検査や輸血、抗がん剤治療、手術の前には必ず主治医からの説明(インフォームドコンセント)があります。
f:id:Jade-Seimei:20210524084035j:plain:w200:left「私、失敗しないので!」「大丈夫です、お任せください。」「必ず治りますよ。」等など…
テレビドラマのセリフでよく聞くフレーズですが、現実の医師は絶対にこのような言葉は発しません。ただひたすらリスクの説明をします。患者は説明を聞くたびに同意書にサインを求められます。副作用や後遺症は数%以下しか起こりえない事象に対しても説明があり、だんだん不安が大きくなります。

f:id:Jade-Seimei:20210524084442j:plain:w250:right「先生、嘘でも良いですから前向きなことを言っていただけませんか?」

「すみません、規則ですから。」

*仕方が無いないですね、日本も欧米並みに訴訟社会になってきましたから…

入院生活

コロナ渦の中での入院でしたから、病棟からの出歩き、家族の面会は一切禁止、買い物に行けなければ、気晴らしの散歩もできません。テレビを見るか、動くようになった体を持て余すかの様に病棟内を徘徊、歩き回ります。唯一の楽しみは食事…..なのですが???

時間を持て余すことは学習しましたので、後半の入院時には色々と工夫して準備しました。
Amazonプライム・ビデオから気に入った映画やドラマをノートパソコンにダウンロードして持ち込みます。スマートフォンのデザリングを利用して、病室内でもインターネットができるように準備もしました。ラインを使っての家族とのやり取りだけでなく、通常のパソコンメールも利用できるようになりました。

暇つぶしに良い事だけのように思われますが、重大な失敗があります。病室でリモートで仕事ができるようになるのです。体が動くようになった後ならまだ良いのですが、手術後当日や翌日の連絡はご勘弁願いたいです。贅沢な悩みですけどね。

f:id:Jade-Seimei:20210524090049j:plain:w200:leftわが愛猫(ロシアンブルーの晴明)に会いたくなったら防犯カメラ映像に接続して顔を見ることができ、音声も繋がります。相変わらずの可愛い姿を見るだけでも心の癒しになりました。

病院では天使のような看護師さん達。本当にお世話になっています。

f:id:Jade-Seimei:20210524084600j:plain:w200:right日々掛けて下さる言葉がとても励みになるのですが、注意することが一つ。冗談で言った一言も記録されていると思ってください。患者との会話は今後の看護に役立ち、看護師間での情報共有の一つなので理解できますが、注意してください。くれぐれもセクハラ発言などして困らせないように協力しましょう。

ステージⅣ

直腸がんステージⅣについて調べていると、ステージⅢまでに比べて情報が少ないことに気が付きます。免疫療法の紹介などの情報が多く、もはや末期がん扱いなのでしょうか。

cancer.qlife.jp

確かに他のステージと比べて5年生存率が極端に低く、全体では20%以下のようです。

www.daichougan.info

最近新たにステージⅣに対する治療方針の一つが更新されました。

gemmed.ghc-j.com

大腸がんのステージというのは遠隔転移のないⅢまでは細かく分類され、治療方針もある程度決定しているようですが、それ以上に進行した際にはすべてⅣで表現されています。個人的にはステージⅣの中だけでも10段階くらいに分類されていても良い気がします。完治が期待できるⅣから緩和ケアを考えなくてはいけないⅣまでがんの進行状況には差があるのですから…
転移のパターンは多種多様で分類するのは困難なのでしょうか?それともⅣになったら既に期待することは無駄なのでしょうか?5年生存率20%以下という現実は、発見時の状況がどうであれ、遠隔転移が存在すると差がないという事なのかも知れません。

傷跡

毎回手術前のインフォームドコンセントでは「安全第一で行うから腹腔鏡で無理はしません 。危ないと思ったら開腹に切り替えますので了承してください。」といわれます。

幸いにも今の所、手術は全て腹腔鏡で行われています。腹腔鏡は手術時間は長めですが、傷跡は小さく、術後の回復も早いと言われています。私自身最短で術後1週間で退院できる程でした。

4回も手術を受けると、昔なら「私の体は傷だらけ」との表現を使うのでしょうが、腹腔鏡の場合は、「私の体は穴だらけ」の表現が正しいのかも知れません。家内に穴の数を数えてもらうと全部で15個(お臍含む)ありました。重複して使用されている個所もあれば、ほとんどわからなくなっている傷跡もあります。

医療費

私の場合、手術を4回受けた令和2年度の医療費(診療報酬点数)は100万点を超えていました。金額にすると1,000万円です。もちろん、保険適応ですし健康保険に加入していますので3割負担です。また、国には高額療養費支給制度があり、月額で一定額を超えた部分については補助されることになっており、確定申告時時に医療費控除を申請すると戻ってきます。
f:id:Jade-Seimei:20210524084646j:plain:w200:left会社員で健康保険に加入していれば事前申請が可能で、【健康保険限度額適用認定証】を健康組合から発行していただいていれば、病院の窓口会計で処理され、面倒な確定申告は不要になります。

hoken.kakaku.com

チョット情報

初めて化学療法を受けた帰りに病院会計窓口で清算しようとすると、現金が足りず、思わずカード払いに変更しました。請求内訳を確認すると診療報酬点数で50,000点以上。化学療法1回の費用は50万円を超えている事になります。国の医療費を圧迫している原因の一つになり、恐縮です。

がん保険

がん保険の必要性は痛感しました。私は生命保険に加入していますが、その内容については無頓着で死亡保険金の金額ぐらいしか頭になく、子供たちが成人して独立したのをきっかけに数年前に書き換えを行っていました。内容はすべて保険外交の担当者にお任せでしたが、がんについては特約を付けてそこそこ手厚い内容にしてくださっていました。

f:id:Jade-Seimei:20210530094722j:plain:w300:leftおかげで国の補償と生命保険のがん特約でほとんどの医療費を賄うことができ、安心して治療を受ける事ができました。中々、健康な時に生命保険の内容を詳しく把握して将来に備えることなどできませんが、今回は保険会社の担当者に感謝です。職場にも迷惑を掛けますし、療養期間が長くなった時のことを考えると、「休業補償」の特約もついていればなお良かったと思います。

家族

家族には心から感謝しています。自分達でインターネットを使っていろいろと調べて、いろいろな思いはあると思いますが、病気になって話をしても冷静に受け止めており、何ら普段と変わることなく接してくれます。入院する際にも「行ってらっしゃ~い。」と軽く送り出してくれ、退院しても「おかえりなさい。」と仕事から帰った時の様な態度です。

f:id:Jade-Seimei:20210530093816j:plain:w300:leftこれが私にとって一番うれしく、普段の生活の流れの中に、がん治療が自然に溶け込んでいるような気がして安心します。あまり構えると疲れてしまいますからね。入院中は体調が良くなってくると一日でも早く退院したく、病棟内を歩き回って全身から「退院させて下さい!」オーラを出しています。
家内からは「もう少し入院していなさい!」と言われますが、私の体を気遣っての言葉と信じています。

仕事の事

約1年間に68日間(7回)入院し、退院後は1~2週間自宅療養をしています。また、抗がん剤治療は2回(6クール×2回)行っており、体調の悪くなりそうな日ができるだけ土日、祭日に当たるように、治療開始日を調整していただいていますが、それでもその都度3~5日間休みを頂いています。年度をまたがっていますが、結局合計100日を超える休暇となっています。当然有給休暇だけで対応できるはずもなく、職場の「病気休暇制度]を利用させて頂きました。
work-holiday.mhlw.go.jp

一緒に業務をしている同僚には大きな負荷が掛かることになり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
f:id:Jade-Seimei:20210530093928j:plain:w250:right自分の出来ることは、無理をせず、なるべく早く職場復帰する事ですが、幸いにも肝臓の転移巣の摘出は毎回腹腔鏡で手術をしていただいており、直近の手術では術後1週間で退院、1週間の自宅療養後に職場復帰ができました。


独り言…

最短の退院は術後6日です。ただただ、先生と医学の技術進歩に感謝です。このような状況だから2か月毎に3回、全身麻酔での手術なんて事ができるのでしょうね。
自宅療養中は足の筋力を少しでも回復させるため、体調の良い日は公園を散歩し、病院で頂いたリハビリメニューをこなします。出勤した際には「元気そうだね!」と同僚から声をかけてもらう事が目標です。休んでいるだけで迷惑を掛けているのに、あまり心配させたくありませんからね。

これからの事

がんとの闘いは終わったわけではなく、これからも続きます。1か月後には術後の抗がん剤治療が検討されています。また、再発のリスクもあり、手術の回数も増えるかもしれません。家族や職場の同僚、病院の医師や看護師さん達にもまだまだお世話になる事になるかもしれません。これからもよろしく!

最後に

このブログを読んでくださる方は、ほとんどが既に大腸がんと闘っている本人か家族の方々だと思います。今、健康な方にはがんと闘う大変さを伝えることはできませんが、このような経験をしないためにも事前に「がん検診」などを受けて、健康に気を付けて頂きたいと思います。自己判断をしないことも重要です。
もし、不幸にもがんになってしまったら、あまり、あれこれ調べすぎず、頭でっかちにはならないほうが良いと思います。一番重要なことは、信頼できる先生に出会えることだと思います。結局患者は先生に全てお任せするしかないのですから。

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急性胆嚢炎から腹腔鏡による胆嚢摘出手術まで

 急性胆嚢炎発作による緊急入院から、腹腔鏡による胆嚢摘出手術まで、約4か月間を備忘録的に書いてみました。
 腹腔鏡手術は確かに「回復が早く、傷口が小さい!」優秀な術式だと思いますが、手術としては決して簡単ではなく、危険もあり、術後には苦しい事も多くあります。 

初めての発作

西暦2019年、平成が終わり、令和を迎えようとする4月の土曜日未明、午前3時頃、みぞおちのあたりの激しい痛みで目を覚ましました。

f:id:Jade-Seimei:20190815124528j:plain:w300:left

右向いても左を向いても、「痛い!」寝ていられない。

起き上がってソファーに腰掛け、枕をお腹に入れて抱えていると、何となく安定。

「急性胃炎?」


胃薬(ガスター10)を飲んで様子を見るが、痛みは一向に治まらず、眠る事が出来ない。
さすがに尋常ではないと思い、寝ている家内を起こし、状況を伝えると…

「救急車呼ぼうか?」

自力で動けるのに救急車は呼ぶべきではないというのが私の考え。
結局タクシーを呼び、近くの救急病院へ。
(事前にネットで救急病院を調べて電話連絡。受診可を確認しています。)

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暫く待って、診察。

「ここ? ここ? ここは?

お腹を押さえられるのですが、全体的に痛く、場所が特定できません。

「う~ん、一体どこが痛いの?」

そんなこと言われても、この辺りとしか言えない。

申告通り、「急性胃炎」との診断でとりあえず点滴する事に。
看護師さんに「痛み止めですか?」と聞くと、違います、「胃薬です!」

胃薬の点滴? 
約1時間の点滴終了後に帰宅。
点滴の効果? 痛みも落ち着いたので、安静にする事でこの日は終了。

前日に食べたメンチカツの油が原因ではないかと、勝手に決めつけていました。
(有名なメンチカツですが、少々脂っぽく、気になっていました。美味しかったですけどね。)

2回目の発作

救急病院を受診した翌週の金曜日。

同じく午前3時頃、痛くて目を覚ましました。

状況は同じ!

ここ1週間は食べ物にも気を付け、特に思い当たる節は無し。

1時間ほど様子を見ても変化は無く、

「前回より痛い!」

同じ救急病院に行く事に不安を感じ、少し遠いが大きな総合病院の救急外来を受診する事に決定。

「タクシー呼ぼうか?」

家内の提案を無視して始発電車で行くことに決めたが、これが大失敗。
とりあえず座れましたが、猛烈に痛い。

拭いても拭いても脂汗が止まらず、腰を屈めたまま、目的の駅一つ手前で降りてタクシーで病院に行く事になりました。

救急外来での 診察

6時ごろ病院に到着。比較的早く呼ばれて診察開始。当日は早朝会議が有ったので、何とか痛みを抑えてくれるようにお願いしましたが、

「原因が判らないのに痛みを止める事は出来ません!」

確かに… 

会議出席は無理かもしれない(意外と仕事熱心)

とりあえず検査!

まず心電図と採血。
私に不整脈治療の既往が有った為、どうやら心臓疾患(心筋梗塞)を疑っている様子。

心電図には明らかな異常なし。1時間後に結果の出た血液検査も異常なし。
トロポニンTは正常)
その頃は腹部全体、背中の方まで痛みが有りました。

腹部エコーも実施しましが、小生皮下脂肪が厚く、画像不鮮明のため診断不良。

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原因判らず!

独り言…

私は胃痛を訴えていたのに、胃に関しては話題にもなりませんでした。私の状況を見て胃が問題では無いと早々に判断されたのでしょうか?

痛みは一向に治まらないが、看護師さんから何度も聞かれたのが、

「来院時の痛みを10としたら、今はいくつ位?」

聞きたいことは分かるけど、答えようがない。
痛みが半分位になれば答えられるけど、10と8に違いはあるのだろうか?

受診して2時間もたつ頃には最初の痛みの程度なんか忘れている。
多少慣れて来るし…

仕方がないから10、8、11、7、10… 適当に答えていると、

「また痛みがぶり返したんだね。」

う~ん 何か違う気がする...

3時間ほど経過して、

「原因が良く判らない。造影CTやってみる?」

先生から提案されて快諾!

f:id:Jade-Seimei:20190815131546j:plain:w300:right

実は一度造影CT検査を受けてみたかった。
会社の健康診断も満足に受けていなかったが、何となく体力に自信が無くなってきており、この際「全身チェックでがんが見つかるのもアリかな?」との思いもあった。

造影剤で体が熱くなることを感じながら、CT終了。

「大きな所見は無いけど、胆嚢壁が肥厚しているみたいだから胆嚢炎かもしれない。放射線科の先生に読影をお願いしているからもう少し待って。」

胆嚢炎?
これ、個人的に少し疑っていました。
家内にも「白目、黄色くない?」なんて確認していました。
(急性胆嚢炎だと黄疸が出ると思っていた。)

1時間ほど待って結果判明!
「急性胆嚢炎だね!消化器科の先生にも連絡しておいたから入院してください。」
やっと原因が判明したのは嬉しかったのですが、
medicalnote.jp

緊急入院かぁ…

家内に連絡すると驚いた様子もなく、既に入院の準備をしていた。(さすがです)

痛み止めの点滴開始、時刻は午前11時。

痛みで目が覚めてから、結局約8時間苦しみました。

消化器内科の病棟に入院

入院する頃には、痛みは殆どなく、何となく違和感が有るだけでした。
(押すと痛いですけどね…)

入院初日に
「石が有るみたいだけど、CTでは良く解からないのでMRI依頼しておいたから。」

消化器外科の先生に言われて、MRI(MRCP)の検査を行いました。
www.jges.net
翌日…
先生:「石が一杯在ったよ。ヤッパリ石による急性胆嚢炎だね。」
私:「手術の適応ですか?」
先生:「希望するなら手術するけど、痛みが無いのなら今すぐではなく、炎症が落ち着いてからの方が良いよ。2ヶ月位先かなあ。手術は腹腔鏡でやるから。」
私:「爆弾抱えて生活するのは嫌なので、是非手術をお願いします。」
先生:「わかった。必要な検査は入院中に出来るように手配しておくから。」

こんな会話が有り、入院生活の開始。

入院中、やる事がありません...
絶食で許されているのは水分のみ。毎日、抗生物質と栄養分の点滴、たま~に採血。これだけです。

何も食べていなくても、栄養分が点滴されていると、不思議とお腹がすきません。
体重は毎日2~300g減りましたけど。

独り言…

輸液されていたのは「ビーフリード輸液」
f:id:Jade-Seimei:20190815192353j:plain:w150

娘に写真を送ったら、「美味しそうじゃない!」の返信。
ビーフ(Beef)じゃないっちゅうの!

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点滴は毎日連続で実施、途切れません。シャワーを浴びる時だけ外してもらいます。血液検査の結果で問題が無くなった9日目まで続きました。

感謝!

看護師さん、忙しいのに「シャワー行きます」と声を掛けると、点滴を外し、留置部位をビニールで覆ってくれます。終わると消毒して元に戻してくれます。打ち合わせの最中なのに、本当にすみません。笑顔で対応して下さるのですが、本当に恐縮します。

入院中に心電図、呼吸機能検査、胸部レントゲン、血液検査の他、歯科受診と麻酔科受診を行いました。

歯科受診?

全身麻酔のため、挿管しての呼吸管理が必要となるそうです。その際感染予防のためには口腔ケアが必要で、手術までには済ませておくように言われました。

やりたくない検査!

胆嚢を摘出する前の検査として、やりたくなかった検査が、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)です。辛くて感染の危険性もある事を知人から聞いていましたので、できれば避けたいと思っていました。

「必要ないよ!」

先生のお言葉に安堵です。

回復

1週間の完全絶食の後、重湯、3分粥、5分粥、7分粥、と少しずつ固形成分が増えて、腹部の違和感も5日目頃に解消、普通食は1食のみで11日目に無事退院しました。
(本当は後2~3日居た方が良いと言われたのですが、泣きを入れて退院させて頂きました。)

令和へ

平成から令和への元号変更は、病院のベッドの中で迎えました。

退院1か月後に消化器外科の外来受診を予約しています。

退院後の注意

退院後は脂肪分を出来るだけ避けるように指導されました。

これが中々大変。

まず、卵、揚げ物(天ぷら)、マヨネーズ、生クリームは禁!
当然アルコールも禁です。(胆嚢が収縮するらしい)

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本を買い込んで、家内に食事メニューを考えてもらいます。
私も一緒にスーパーに行って、成分表を見ながら買い物をしましたが、脂肪分は本当に多くの食材含まれているのが良く解かりました。
勝手に目標を定め、1回の食事では10g以下、1日20g以下を目指します。
肉は鶏ささみか豚ひれ肉、魚もまぐろのトロはダメで赤身、もともとダイエット目的で糖質も制限していましたので、本当に食べるものが無く、随分と苦労を掛けました。
ビール、焼酎はダメですが、ノンアルコールならOK!

アサヒドライゼロ!


このノンアルコールビール?美味しいです。個人的な好みですが、本当にお勧めです。
(手術までの約2ヶ月、毎日お世話になりました。良い時代ですね。)

おまけに、
生クリームのケーキは食べられませんが、あんこは良いんですよ!
脂肪分が少なくお勧めです。

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餡子が一杯のお饅頭
炭水化物は59.7gですが、脂質は0.5gです。

いつの間にやら饅頭党に変身です。(糖質制限はどこに行った?)

早く手術をして、天玉そばを食べたい!

腹腔鏡での手術に向けて

1ヶ月後の消化器外科受診で20日後の手術が決定し、それまでに近所の歯科医で虫歯治療、全体的な口腔ケアを行いました。

先生からは
「手術まで発作が起きない事を祈ってるよ!」

おい、おい他人事かよ... (心の声です)

いよいよです。

入院初日

午前中に入院する様に指示があり、10時に病院到着。入院手続きの後、少し経って主治医から手術についての説明が有りました。
腹腔鏡手術の事はネットで調べていましたので、説明を聞いていて解らない事はあまりありません。

ただし、私の場合、石が多く、前回の炎症がどこまで収束しているのかは見てみないと判らないとの事でした。

石が胆管に落ちていたり、炎症が強いようだと早めに腹腔鏡から開腹手術に切り替える事を言われました。全身麻酔のリスクに加えて、開腹時に必要になるかもしれない、輸血のリスクや、術後管理についても詳しく説明されました。

*今回の入院先とは関係ありません
www.ai-hosp.or.jp

胆管に石が落ちていると、後から内視鏡で取る事になるかもしれないとも言われ、不安が頭をよぎります。(やりたくないなぁ~)

翌日に手術、退院は術後4日目を予定、Total6日間の入院生活の始まりです。

独り言…

「絶対に大丈夫!」「任せて下さい!」テレビでよく聞くセリフですが、最近の医師はこんな事絶対に言いません。ひたすらリスクについて説明されます。訴訟社会だから仕方がないのかもしれませんが、少し寂しいですね。嘘でもいいから前向きな言葉が欲しい…

夕方には看護師さんが来ておへその掃除。温めたオリーブオイルで丁寧に汚れを取ってくれます。ここから胆嚢を外へ出すそうです。

「子供の頃から、おへそを触るとお腹が痛くなるんですけど...」

看護師さんに訴えると
「優しくしますね」と、微笑みながらのお言葉!

いい年したおっさんがお恥ずかしい…

本日の検査は心電図、胸腹部レントゲン、MRIが行われました。

夕食も頂いて初日が終了。なかなか眠れないけど、少し睡眠不足の方が明日眠られるから良いのかも。勝手な言い分です。

手術当日

8時50分にエレベータ前に来るように指示が有りました。15分前には弾性ソックスを装着です。
弾性ソックスは膝下で、術後の深部静脈血栓の予防のために装着します。併せて、術後は一晩中器具を付けて足をマッサージするそうです。

手術室へ

手術室へは歩いて入室、担当看護師さんや麻酔科の先生、手術助手の先生の紹介があり、簡単な説明の後手術台へ。

もう「まな板の上の鯉」いや、「手術台の上のトド」

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手術台の上は暖かく、チョットイメージと違いました。

少しでも快適になる様に温めているそうです。

マスクをかぶせられ、
「3回深呼吸してください」
「薬が入ります」の声は覚えていますが、次に声が聞こえたのは「手術終わりましたよ」でした。

チョット情報

手術終了後は1時間ほどかけて麻酔を覚ますそうです。「覚めた時には挿管チューブが入っているから驚くかもしれないけど、落ち着いて深呼吸してください。」と言われていましたが、私の場合挿管チューブは外されていたのか気が付きませんでした。

術後0日(当日)

術直後に話をする元気はありませんでしたが、
「腹腔鏡ですか?開腹ですか?」は聞いた記憶が有ります。
先生の返事は「腹腔鏡で無事に終わりました。」でした。

チョット情報

手術時間は手術室への入室から病室への帰室まで、約4時間と聞いていました。手術自体は1~1時間30分程度だそうですが、全身麻酔のため前後で時間が必要なのだそうです。家内は11時頃手術室に呼ばれて説明を受け、その際、摘出した胆嚢を見せて頂いたそうです。結局、病室に戻ったのは午後12時30頃で家内と再会したのは午後1時30分、手術室入室から病室帰室までは約3時間30分後でした。また、私の場合、硬膜外麻酔は行わず、術野への局所麻酔による浸潤麻酔で術後の痛みを和らげているようでした。

独り言…

「手術でとれた結石が大きければ数珠にしよう。もし小さくて数が多い様ならネックレスかな。」手術前に家内に冗談で話していました。実際には5~10mm程の石が余りにも多く(200個以上)、家内も驚いたそうです。決して誇張した表現ではなく、ホールコーンの缶詰をimageしたそうで、ハーフサイズ分程の石が有ったそうです。
「良く胆嚢が破裂しなかった!」が家内の感想でした。取り出す際におへその切開部を拡げた処置に納得です。

*下の写真は Wikipedia からの引用ですが、本当にこのような状態だったらしい。

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Wikipedia 胆石 より引用
その後は意識がだんだんはっきりとしてきましたが、ストレッチャーに乗って手術室から出され、病室まで運ばれた際の移動中の天井の景色と、エレベータの中の様子はしっかりと記憶に有ります。

そのまま病室に運ばれ、午後12時30分頃に病室到着。

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いろいろと処置を施され、足にマッサージポンプが取り付けられました。

病室に入った時には酸素マスクが付けられていましたが、全身麻酔の副作用なのか、強烈な吐き気が襲ってきて、自分でマスクを外しました。

結局吐くものは無く、ガスだけが出たような気がします。

吐き気はこの1回だけでした。

唇が渇くので家内に湿ったガーゼで拭いてもらいました。
飲水は明日までお預けです。

夜は一人でこれをやるのか。

一番つらい、術後の長い夜の始まりです。

気になる事

1. 尿道カテーテル
歩けない、トイレに行けないのですから仕方が有りません。しかし、夜中に管が折れ曲がったのか、膀胱から尿が流れ出ず、本当に苦しい思いをしました。尿バックが一杯なのかと思い、看護師さんを呼んで確認してもらい、流れていない事が分かりました。
2. 酸素マスク
暑いし苦しいです。こんな物付けて眠れません。帰室後2時間ほど経過したときにお願いして、取ってもらいました。(呼吸は安定していたようです)
3. 弾性ソックス・足マッサージ器
ソックスを履いて眠る習慣はありませんから、とにかく不快、暑いんです。足のマッサージ機は邪魔ですがさほど気にはなりませんでした。とにかく、足の指先やふくらはぎに力を入れて、足を動かしていました。(翌日に解除)
4. 点滴ライン
急性胆嚢炎での入院の際連日点滴していましたので、これには慣れていました。腕を動かしにくい不自由感は有りますが、ほとんど問題ありませんでした。(翌日に解除)

ベッドは頭の方を少し持ち上げてもらいました。平らな状態では苦しくてとても我慢できません。
熱は微熱程度でほとんど上がりませんでしたが、暑い事を訴えると冷却枕を用意して下さり、本当に助かりました。看護師さんに感謝です。

夕方、先生が様子を見に来てくださり、胆管内には石が無かった事を伝えられました。

「これから胆管の中で育ったら知らないよ!」

チョット不安な一言...

夜はほとんど眠る事が出来ず、ただひたすら時の経つのを待っていました。

malg7.com
人によっては術後眠くてそのまま翌日まで寝てしまう人も居るみたい。うらやましい限りです。

術後1日目

尿道カテーテルは本当に不快です。
朝9時ごろ看護師さんが来て「体重量ってください。手伝いますから。」

チョット待って!

体重計はナースステーションの前!歩いていくの?

翌日から歩くように言われていたけど…

体を起こし、看護師さんの肩を借りながら体は九の字のままお腹を抱えて移動。何とか体重計にたどり着き計測。全然変わっていない。少しは痩せたかと思ったけど…

「頑張って歩いてくださいね」

判っているんですけど、今は虐められているとしか思えません。

トイレに行かないから、歩く意欲が無ければベッドから降りる事はない。ここは頑張るしかありません。点滴棒に尿バックをぶら下げて、病室内を歩きます。足はしっかりしているので問題はありませんが、やっぱり尿道カテーテルは不快すぎます。

自力でトイレに行ける事をアピールして抜いてもらうしかない!

午前11時、先生が様子を見に来てくださいました。お腹に空いた4か所の穴(おへそを含む)。3か所は塞がっていますが、1か所はカテーテルが入っているらしい。
「カテーテルは取ってしまいましょう。歩けるなら尿道のカテーテルも取っていいよ。」

涙が出るほど嬉しいお言葉!

腹部のカテーテルはしばらくガーゼを当てていないと濾出液が漏れ出て来るらしい。厚めにガーゼを貼って抜去。

チョット情報

貼るガーゼは最初10枚程で、時々何枚目まで滲みているか確認します。その滲みた枚数でどの位出ているのかを判断するみたいです。

尿道カテーテルは看護師さんが抜きに来てくれました。

朝起きた時の状態ではご飯なんてとんでもないと思っていましたが、お昼頃には空腹感有り。五分粥でしたが美味しく完食させて頂きました。
(今回入院中全ての食事を完食。美味しいとか不味いとか言ってられません。体力回復を目指すのみです。)

とにかく尿道カテーテルが取れると歩く意欲も湧きますし、移動も簡単にできます。ここから急速に元気になった気がします。

午後には看護師さんに体を拭いていただきました。(ありがとうございます)

独り言…

尿道カテーテルは抜去後も暫く排尿時痛が有ります。いっぱい水分を取って、オシッコを出すしかありません。抜去後初めてのトイレでの排尿量は200mlでした。

痛みは有りますが、歩くことに問題はありません。先生からレントゲンを撮る様に指示があり、車いすを断って一人でレントゲン室へ。

本当に辛かった

おへそを切って胆嚢を摘出していますので、ヤッパリ痛い。背中を伸ばすことができません。やっとの思いで立位での撮影が終了。

次は横になっての撮影です。

お腹に力が入りません。仰向けに寝たとたん息が出来ず、横を向くことも起き上がる事も出来ず、本当に死んでしまうかと思いました。ビックリです。身動きが取れず、声も出せずにもがいている私に気が付き、放射線技師さんが飛んできて体を起こしてくれました。
その後、再度少しずつ体を倒し、何とか撮影する事が出来ました。
息を吸い込んだり、吐いたり、止める何て指示に従う事は出来ませんでしたので、どんな写真が取れたのでしょうか?

独り言…

心臓や肺に異常が有るのではないかと思ってしまいました。炭酸ガスでお腹を膨らまして手術が行われますので、心臓や肺にも負担がかかり通常とは異なる副作用が現れる事が有るようですね。大きな副作用の事は良く記載されていますが、あまり問題にならないような小さな?トラブルは色々とあるのではないでしょうか。

入院中、術後で二番目に辛かった出来事です。
(一番は手術当日夜、尿道カテーテル屈曲で膀胱が一杯になった件)

術後1日目にはもう一つ辛い事が有りました。病室の中は少し乾燥しているのか喉が渇きます。水を飲む事はできますが、痰が絡みます。いつもと同じように出そうとすると、腹部に激痛、本当に激痛です。傷口が開いたのかと思いました。
痰を出すには腹筋を使うのですね。初めて気付きました。看護師さんに訴えたところ(吸引してくれないかな?)、暫くして枕を渡されました。

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「この枕をお腹に抱えて体を丸め、頑張って自分で出して下さい。」

なるほど、自分で頑張るしかないのか..

試してみると多少は軽減しますが、ヤッパリ激痛は走ります。

お判りになると思いますが、咳としゃっくりも同じです。とにかく喉が乾燥していると思ったら水を飲んで喉を潤し、咳が出ないように心掛けます。しゃっくりは地獄ですね。1回や2回で止まりませから。痰は一度に出すのではなく、少しずつ出すコツを覚えました。

しかし、こんな状態だとうんちをするのも激痛かも?
怖くてうんちが出来ません(腹筋を使いたくない)。結局、病院では一度もうんちをする事なく、全て自宅に持ち帰り、退院当日に自宅で無事済ますことが出来ました。

チョット情報

咳をした時の痛みは退院後も続きましたが、ほとんど痛みを感じなくなったのは術後1週間を過ぎた頃からでした。

点滴も終了しましたが、
また、長い夜が始まります。

あれ?肩が痛い…

1日目の夜右肩の痛みに気付きました。肩甲骨の裏側、鈍痛です。
(筋を違えたような鈍い痛み)

昼頃から違和感はあったのですが、この痛み、体の置き場所が無い様な痛みです。どのような姿勢をとっても痛みます。腕を上げたり下ろしたり、少しでも痛みが軽減されるポジションを見つけて対応します。

www.chubuh.johas.go.jp

副作用として記載されている記事を家内が見つけました。記事通り3日程で改善しました。
tojun.hatenablog.com

他の方の経験談でも肩痛はあるみたいです。

術後二日目

夜はあまり眠れませんでしたが、体力は少しずつ回復しています。相変わらずベッドをフラットにすると息苦しさが有り、右肩の痛みも有りますが、動かなければいけません。食事を完食し、お腹を抱えた姿勢で病室の中を歩きます。外の廊下や待合室など、うろうろします。
午後には売店まで歩いていき、外もうろうろ…
確かに腹腔鏡手術は回復が早いかもしれません。開腹手術の経験がないので比較する事は出来ませんけどね。

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尿道カテーテル抜去後の違和感は有りますので、水分も積極的に取り、オシッコも頻繁に行きます。

1日で1.5~1.8リットル程の尿が出ていました。

昼過ぎには先生が傷口のチェック!

「濾出液も無い様だから、ガーゼも取るよ。シャワーも大丈夫だから。」

確かにシャワーを浴びたいけど、正直チョット不安。
着替えだけしてシャワーは明日にしよう。

これで夜さえ眠る事が出来れば…

薬の話

手術当日は点滴の中に痛み止めの薬が入っていたのか、服薬指導はありませんでした。
翌日からは痛み止めが処方されています。ロキソニンです。
「6時間以上空けて、できれば1日3回までの服用にして下さい。どうしても我慢できなければ別に頓服を用意します。」
頓服はカロナール(アセトアミノフェン)なんですね。作用機序を替えなければいけないのは分かるけど、カロナールかぁ~
チョットだけ効果に疑問を感じましたが、結局服用する事はありませんでした。
ロキソニンは1日3回、8時間空けて術後3日目の午前中まで服用しました。合計8回ですね。

術後三日目

昨晩も余り眠れなかった。急性胆嚢炎で入院した時には特に問題の無かった睡眠。ヤッパリ本調子ではないみたい。肩の鈍痛は相変わらずで、ベッドもフラットに出来ない。
忘れたころに咳が出て激痛。お腹を抱えて、暫くうずくまります。
朝食前に最後?の血液検査。看護師さんと冗談を言いながら採血終了。

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朝食を済ませて早めにシャワーの予約。
久しぶりです、本当に気持ちよかった。(何となく元気になります)

日中は暇です。本を読んだり散歩(病棟内)をしたり..
明日の退院に向けて片付けでもしようかな。

病室でWifiが使えるとPC持ち込むんだけど、
結局、本を読みながらず~っと音楽を聴いていました。

おへそ周りの違和感は相変わらずですが、肩の痛みは少し軽減してきました。

血液検査に問題も無く、明日の退院が正式に決定。

この頃には痛み止めもほとんど服用していなかったのですが、退院後2週間分の痛み止めを処方して下さいました。

今夜は眠りたい..

術後四日目(本日退院)

昨晩は少しだけ熟睡。何となくさわやかにお目覚め。
朝食を食べた後は退院の準備。荷物を詰めていつでもOK。
先生から薬を渡され、退院後の注意についても文書で説明されました。

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特に気を付ける事は無く、食事制限なし!

会計を済ませて
午前11時に無事退院。6日間お世話になりました。

事前に高額療養費の手続きをしていたので、支払金額は約17万円でした。

傷口は医療用ボンドで塞がれているため、当然抜糸はありません。3週間後に外来受診して全て終了です。摘出した胆嚢を念のため病理検査に出すそうで、その結果を聞きに来ます。

入院の感想

腹腔鏡による胆嚢摘出手術は回復も早く、比較的簡便かもしれません。しかし、手術には高度な技術が必要で、全身麻酔下で行われる手術ですから、危険も伴います。術後は辛い時期も有りますし、それなりの覚悟は必要だと感じました。二日間ほどの辛抱ですけどね。

感謝!!

それにしても、入院患者にとってやはり看護師さんは天使ですね。いろいろとご苦労もあると思いますが、いつも笑顔で接して下さり、安心します。急性胆嚢炎での入院期間を含めると17日間お世話になりました。本当にありがとうございました。

でも、看護師さんがどんなに優しくても、2度と入院したくないのが本音です。

追加

退院後の外来受診終了。病理検査に問題は無く、傷口もきれいに塞がっていました。医療用ボンドもほとんどとれています。
「何かあったら連絡して下さい。」

とても信頼できる先生ですが、
「また、よろしくお願いします。」とは言えませんでした。