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30歳から始める自分磨きblog

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小説「新世界より」が神がかっている その1(ネタバレなし紹介など)

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この世で一番面白い小説を見つけてしまいました。

興奮そのままにこの神小説の感想と考察をしていきます。
ぜひ、ネタバレを見る前に本作を読んでください。

あと読んでてこの用語がよくわからなかったからとwikiを調べてはなりません。
物語最終盤のネタバレが思いっきり乗っていますので…。

なるべくネタバレをしないようこの記事で紹介できたらなと思っています。
よろしくお願いします。

 

新世界より」 ©貴志祐介 講談社 2008

目次

あらすじ

第29回日本SF大賞受賞 第1位!

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。

周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。

「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。

念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

引用-講談社

紹介と魅力(なるべくネタバレなし)

あらすじだけを読むと

「あー…SF…。1000年後ときて超能力ですかぁ…。」

と人を選ぶジャンルの本であることは間違いない本作ですが、

そこで読むのを躊躇してしまっては勿体ない!

SF小説の多くは造語や横文字が並ぶことで「イメージ」ができないと読むのが非常に苦痛です。

しかし、日本を舞台にしており、1000年後とはいえワープやAIなど、技術革新の起こった世界ではなく、どこか懐かしい田園風景を舞台にしており、とっつきにくさはかなり薄いと思われます。

ただ、よくレビューで上巻は退屈だった、と見ますが、話の節々に
「あれ?なにかおかしくない?」と不気味さを感じ、徐々に世界観にハマっていくための準備期間なので、決して投げずに読み込むことをオススメします。

 

・呪力とは

また「呪力」についても説明しておきます。
この世界の人間たちは全員「呪力」といわれる超能力を生まれつき備えています。

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映画「AKIRA」©大友克洋 東宝

これはサイコキネシスのようなものをイメージしてもらえればよいです。
ただし、単純にものを動かすだけではなく、できることに上限はないとされています

(実際は人によって得手不得手があり、使用にも体力・精神力が必要なため、誰でもなんでもできるという訳ではないです。)

ちなみに作中最強の使い手・鏑木 肆星「地球を真っ二つにすることすらできると噂される」とあるように、一瞬で地面を陥没させる、数百人を宙に浮かせる、空に文字を描く、と呪力の持つ可能性を存分に発揮します。

そんな強力な呪力を持つ人類がどのように暮らしているか、そしてどのように社会を構築しているか…
長閑な田舎を思わせるのにどこか不気味な世界観をグロ・ホラー描写がこれでもかと盛り立てます。

 

・人間とバケネズミ

この世界では、移動手段は水路を使った船がメインとなり、通信手段も伝書鳩や手紙が使われるなど、文明レベルは現代よりも衰退しています。

しかし、人々は無償でお互いを助け合うことを当然としており、貨幣も存在しません。
無償の愛で社会を構築しています。
素晴らしい!

また人間以外にも「バケネズミ」と呼ばれる、人に近い知能と体格を持ち、2足方向するネズミを祖先とした種族も共存しています。

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アニメ「新世界より」新生物カード名鑑
https://www.tv-asahi.co.jp/shinsekaiyori/seibutsumeikan/

人間は呪力で大概のことはやれてしまうわけですが、呪力を使うまでもない、単純な労働力としてこの「バケネズミ」を使っています。

街に住んでいるわけではなく、山里にそれぞれの女王を主君としたコロニーが複数存在し、人への従属度合いや文化も違い、コロニーによって数百匹から1万匹近く住んでいます。
そしてたまにコロニー同士で戦争もおきます。

(役所に書類を提出して…笑)

そんなバケネズミたちは人間を「神様」として崇めています。
「神様」と崇めているだけあって、人間に会っては平身低頭、子供が迷子になっては手厚く保護するなど献身的な働きをみせます。

しかし、上で人間との共存と書きましたが、実際は完全な従属関係です。
人間は呪力を持っていますから…。
人間に従順なコロニーは、労務をこなす、貢ぎ物を納める、といったことでその生存を許されています。

・ここに注目

この小説では上記の

「強大な呪力をもった人間たちがどのようにして社会を構築しているか」

を練りに練った世界観で魅せてくれます。
おかげさまで新世界ロスになってしまいました_(┐「ε:)_

話を読み進めていくと、あれ?何かおかしくない?という疑問がいくつかわいてきます。
しかし、作者である貴志先生はしっかりと回答を用意してくれています。
思考を先回りされている感覚が心地よく、小憎らしいです。

ネタバレを恐れるあまり、内容はすかすかですが、
まだ読んだことない人はもちろん、すでに読んだ人でもまた読んでみようかな、という気持ちにさせれたらいいなと思います。
一人でも多くこの神小説が読まれますように祈って〆とさせていただきます( -_-)人