何かのスキルを持っている場合、「人に教える」のはとても楽しいことだと思う。
車の運転。
スキーの滑り方。
ピアノの弾き方。
エトセトラ、エトセトラ。
以前も書いたが、東大生はたいてい「教えたがり」である・笑。
いや、東大生に限らない。
「学問のスキル」がある人は教えるのが好きだ。
ここに大きな落とし穴、そして塾講師や家庭教師が虚無感をおぼえるポイントがある。
たとえば、ピアノ教室。
たとえば、リトルリーグ。
たとえば、バレエ教室。
これらに通う子で「本人にまったくやる気がない」ケースは少ないんじゃないかな。
ない、とは言わない。
親だけが夢を見てしまって本人が嫌がっているのにレッスンに連れて行くケースもないわけではないだろう。
でも、ほとんどの場合は「本人」がやりたがってのことだろう。
ひるがえって、受験勉強はどうだろうか。
集団塾についていけず個人コーチを必要とする場合、多くが「子供本人は勉強が嫌い」
私の場合は、私と出会ったことで「勉強が好き!」になるケースも多い。「ある師匠との出会いがきっかけでやる気になる」ケースは否定できない。
でも。
いかなるメソッドを繰り出そうが「勉強が嫌い」な子は一定数いる。
受験勉強以外の「コーチ業」の方は「〇〇が好き」な子に教えればいいのに比べ、
受験ギョーカイの「コーチ」は「勉強が嫌い」な子にも教えなければいけない
さらにモンペからは「ウチの子がやる気にならないのはコーチのせい」と言われる
うん、受験ギョーカイって全然ラクじゃないんで「問題の解説ができる」くらいで踏み込むと病むかもしれないね。
だって、「生徒は『やりたがってない』という非常に特殊な世界」なので。
スキー教室とかピアノ教室とかサッカー教室だったら少なくとも本人にやる気はあるので。
自分の大好きなジャンル(野球、フィギュア、水泳、絵画などなど)を愛してくれている生徒に教えるのは楽しいだろう。
でも、学問を嫌いな子に(学問を好きなコーチが)教えるのはしんどいぞ。
逆に、学問を好きな子・楽しんでいる子に教えるならヘンサチがどうだろうと楽しい。
たぶん塾ギョーカイは、学問が好きだった人が講師になるんだろう。
結構しんどいぞ、というのは先達として書いておきたい。
ちなみに、私自身はもう再来年から「本人に向上心がない場合は断る」方針。
だってさ。
本人にやる気がなくて親だけが必死な子に教えても砂漠に水を撒くようなものだからさ。
ほんとヘンなんですよ、このギョーカイ。
たとえば、ピアノを習いに行かせるときに「この子はピアノが嫌いなので先生がやる気にさせてください」と言いますかね? それはあり得ないんじゃない?
でも、なぜか勉強だけは「やる気を起こさせるのもセンセイの仕事」になってます。
おかしいわ(笑)。
私は割とそういう子に「やる気」を出させるのがうまいというのは自負しているけど、そもそも私は保育士ではないし(笑)。親に勉強させられているだけの向上心のない子に教えるのって、結構こっちが病みかねないんだよね。なので、今、塾講師とか家庭教師とか目指している人たちには、「金になるからとなんでも仕事を受けるな」と言いたい。勉強に限らず、やる気ない人間に自分の専門スキルを教えるのってマジで病みますよ。