無償版G suite終了に伴うメールホスティング引越し先検討

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既に年初にアナウンスされていたのを忘れ、4月に入りGoogleからの移行案内メールで、 無償版 G suite 終了を知りました。後継であるWorkspaceに用意される無償版にはメール機能が無いとのことなので、すっぱり諦めて 代替 となる安価なメールホスティングサービスを品定めしてみます。

いきさつと利用状況

カスタムドメインでGMailを始めとするサービスを無料で使うことが出来ると言う触れ込みで、確かGoogle Appsと言う名称で始まったこのサービス。

私はその当初よりプライベート用のメインメールアドレスとして利用していて、途中、何度かサービス名称が変わる度に有料化してしまうのではないかとヒヤヒヤさせられましたが、遂に先日Googleから届いた最後通告のようなメールで、その事実上の無料サービス終了を知りました。

図01.無償版G Suite終了告知メール

図01.無償版G Suite終了告知メール

実際には後継サービスであるGoogle Workspaceにも無料版は存在するものの、そのサービス内容にGMailは含まれていません。

そこで、メールホスティングとしては信頼性の高ったGMailに代わる、安価なメールホスティング先が無いか探してみます。

 

海外勢

先ずは日本の10%消費税を嫌って、欧米のホスティング会社のメールホスティングの相場を調べてみました。

 

■Hostinger

欧州北東部に位置するバルト三国の一つ、リトアニアにあるホスティング会社で、安価なホスティング会社を探しているとよく見掛けるのですが、その中のメールプランは次の2つ。

Business Email
ストレージ : 10GB
価格 : US$0.99/月(48ヶ月分先払い時)

Enterprise Email
ストレージ : 30GB
価格 : US$2.49/月(48ヶ月分先払い時)

そのいずれも、エイリアス無制限とあるものの、作れるメールアドレス数には明記しておらず、おそらく1つしか作れそうにありません。

SPFやDKIMと言ったメールの信頼性向上に必要な機能については、わかりやすい解説ページが公開されていました。

 

■DreamHost

米国カリフォルニア州にあるこちらのホスティング会社でも、様々なサービスプランの中にメールホスティングのプランが用意されています。

Email Plan
ストレージ : 25GB
価格 : US$1.67/月(12ヶ月分先払い時)

気になる作成可能なメールアドレス数については、FAQページの中に有った次の意味深な回答から察するにこちらも1つだけでしょう(欲しいメールアドレスの分だけ申込みなさいとの文脈)。

“If you have a paid email-only plan, you can create as many email addresses as you’ve signed up for.”

こちらもDKIMについてはKBにきちんと明記されている他、EasyDMARCではDreamHost向けを例にしたガイド記事があるなど、充実しています。

 

■Scala Hosting

米国に本社があり、米国内や欧州にある自社のデータセンタのほかに、世界各地のDigitalOceanのデータセンタをホスティング先に選ぶことも出来るもようです。そのいくつかあるメールホスティングのプランから一番安いのをピックアップすると、

StartUp
ストレージ : 50GB
メールボックス : 10個(ドメインは1つ)
価格 : US$2.95/月(36ヶ月分先払い時)

ここへ来てようやくメールアドレス数(メールボックス数)を明示する業者に巡り会えました。

そしてSPFからDKIM、DMARCの解説から実際の設定方法まで、こちらも詳細なKBが用意されています。

 

他、激安Webホスティングを探していると必ず目にするHostingerでは、プランの中に「Free Email」と記載されているのみ。調べるほどに底なしの沼に沈んてゆく思いから、この程度にしておきますがまとめると次の通りです。

  • 複数メールアドレスを作れないところが多い。
  • 安さの秘密は複数年先払い契約。
  • SPFのみならず、DKIMやDMARCにも対応。

 

日本勢

対する日本勢は、レンタルサーバでお馴染みの数社を調べてみました(料金は全て消費税込み表記)。

 

■さくらインターネット

レンタルサーバの他、私もVPSを以前、利用したこともあるさくらでは、メールホスティング用に安価なプランが用意されています。

さくらのメールボックス
ストレージ : 20GB
メールアドレス : 無制限(アドレス当たり容量2GB迄)
マルチドメイン : 20個
価格 : JPY87/月(年払い)

さくらでのマルチドメイン 運用で気をつけなければならないのが、次の注意書きでしょう。infoやenquiryといったお決まりのメールアカウントをそれぞれのドメイン毎に設定してしまうと、メールサーバは判別出来ずにどちらにも配達されてしまうのだそうです。

“※1 同じメールアカウント名で異なるドメイン毎のメールアドレスの運用は利用できません。
   (例:「info@◯◯◯.com」と「info@△△△.net」の場合、同じ「info」のメールボックスに配信されます)”

 

また、この後も日本の各社をチェックしているとよく出て来る、「メールアドレス当たりの容量2GB上限」は、現在このサイトを運用しているロリポップのライトプランにもありました。

図02.ロリポップのメールボックス使用量の上限も2GB

仕事で香港ローカルのホスティングサービスを使ったことがありますが、そのような制限は見たことが無く、日本の独自慣習なのでしょうか。

 

■[GMO系] お名前.com

ロリポップと同じGMOグループのお名前.comにも、メールホスティング専用プランがありました。

お名前メール
ストレージ : 20GB
メールアドレス : 無制限
マルチドメイン : 20個
価格 : JPY105/月(年払い時)

こちらにはどうやらメールアドレス単位の容量上限は無いようです(共用サーバSDでのFAQ

 

■[GMO系] ムームードメイン

同じGMO傘下のムームードメインでは、自社のドメイン移管しているユーザ向けに、ムームーメールというメール特化プランを用意しています。

ムームーメール
ストレージ : 30GB
メールアドレス : 無制限(アドレス当たり容量2GB迄)
マルチドメイン : 20個
価格 : JPY110/月(年払い)

ドメインとネームサーバをムームードメインに置いている必要があるので、ドメイン取得後の附帯プランとして用意しているのでしょう。ちなみに管理画面は、ロリポップのそれと色違いで類似している印象です。

 

■[GMO系] ロリポップ(マルチドメイン)

メール専用プランではないのですが、比較対象として現在利用しているロリポップのライトプランの仕様を、以下に抜粋しておきます。

ライトプラン
ストレージ : 200GB
メールアドレス : 無制限(アドレス当たり容量2GB迄)
マルチドメイン : 100個
価格 : JPY220/月(半年毎〜)

 

ここまで日本国内における安価なメールホスティングサービスを調べてみましたが、セキュリティではSPFへは対応しているものの、この価格帯でDKIM対応するところは皆無でした。その他、特徴をまとめると次の通りです。

  • 消費税を鑑みても海外各社よりも安く、長くても単年契約。
  • 複数アドレスを作れるがアドレス当たり容量2GBまでのところが多い。
  • 各社SPF対応もDKIMなどに対応するところはとても少なくて高い。
  • 自社へのDNSやドメイン移管を条件とするところが多い。
    (ドメインホスティングの附帯サービス的な意味合いか)

 

次のページでは、現在利用しているロリポップのライトプランに遊休中のドメインをマルチドメインとして登録し、そのメール機能を実際に試してみます。

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