不動産の相続税評価額
父が亡くなった時、相続財産として残されたのは預金と不動産(大半は農地)でした。
相続財産があれば、その合計額を計算し、基礎控除を超えるようであれば相続税が発生するため、死去した時点から10か月以内に相続税の申告をしなければなりません。
相続税の計算は下記の通りです。
父が逝去した際は、相続人は母と私を含め子供が3人ですから、相続税の基礎控除額は
3,000万円+4人×600万円=5,400万円となります。
相続財産の評価額がこの範囲にあれば、相続税はかからず、申告も不要となります。
預金は残高が相続税評価額ですが、不動産の評価は簡単ではありません。
父の相続財産は大半が不動産で、かつ面積は広いが処分は困難な農地が主なので評価が大変です。
相続時の不動産の評価方法が下記国税庁のサイトに掲載されています。
建物(賃貸しているものを除く)は固定資産税評価額が相続税評価額となります。
固定資産税は納税通知書か市町村役場で出してもらえる固定資産課税台帳に記載されています。
アパート等貸家の評価はこちらにでています。
No.4602 土地家屋の評価|国税庁 (nta.go.jp)
土地は路線価方式が基本
土地については路線価方式と倍率方式があります。
路線価が定められている地域は路線価方式で評価します。
路線価に奥行価格補正率表等を掛けて相続税評価額を算出します。
令和3年分の路線価等について|国税庁 (nta.go.jp)
路線価図はこちらから検索できます。
該当の都道府県をクリックし、左上の路線価図をクリックします。次に該当の地域をクリックすると路線価がでてきます。
路線価図の見方はこちらをご覧ください。
215Eとあるのが㎡当たり215,000円で借地権割合が50%であることを示しています。
奥行価格補正率表は次のサイトに掲載されています。
奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁 (nta.go.jp)
路線価がなければ倍率方式で
私が相続した土地は、田舎なので路線価がありません。
相続評価については倍率方式によることになります。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
倍率は先ほどの国税庁のサイト「財産評価基準書」をクリックし、県名をクリックした後、路線価図の下に評価倍率表があります。
一般の土地等用⇒地域名をクリックすると倍率表がでてきます。
上記の井伊谷の例だと、市街化区域の宅地は1.1倍、市街化調整区域の宅地は1.0倍とでています。市街化区域の宅地であれば固定資産税評価額に1.1倍を掛けて相続税評価額を算出します。
なお、相続不動産の地目、都市計画区域(市街化調整区分)は固定資産課税台帳に記載されています。
問題は農地で、農地独特の評価があります。
農地は純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地に分けて評価します。
中3.0とあるのは中間農地で3.0倍、純2.2とあるのは純農地で2.2倍で倍率方式で評価するということです。
市比準とあるのは市街化区域の宅地比準方式で評価します。
宅地比準方式の算式は下記の通りです。
市街地農地の評価額=(その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価格-1平方メートル当たりの造成費の金額)×地積
造成費の金額は上記国税庁財産評価基準の宅地造成費の金額表をクリックするとでてきます。
下は静岡県の例です。
相続税が発生しそうな場合は税理士に依頼を
私が父から相続した土地は、市街化区域の宅地と農地(宅地比準方式評価)、市街化調整区域の農地で、上記にしたがって相続税評価額を計算しました。
その結果、相続税の基礎控除額には遠く及ばず、相続税は課せられないことが判明しました。
昔は路線価一つ調べるのも大変だったのですが、今は国税庁のサイトで必要な情報を検索できます。不動産の相続が発生した際は、このサイトを使って手軽に相続税評価額を推定できます。
なお相続税が課せられそうな場合は、正確な計算が必要になりのでお金はかかりますが、税理士に相談されることをお勧めします。
とはいえ、相続税が課せられないケースの方が圧倒的に多いので、まずはご自分で相続税評価額を計算するのがよいと思います。お金もかかりません。