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2021年12月21日火曜日

12月第3週:①会社株主が「返済説明」に署名したら?、②登録商標を示す「○R」表示、③市場参入許可ネガティブリストに違反している事例

①会社株主が「返済説明」に署名したら?

株主有限責任の原則は、日本でも中国でも共通です。そして、中国では日本とは異なり、会社の債務について代表者やオーナーが個人保証を提供する商慣習は存在せず、会社の負債について個人保証を見かけることは極めて稀です。したがって、会社の実質的オーナーとの間で売掛金の回収について何度も話し合いをしたのに、結局、最後には「会社の負債は個人と関係ない」ということで回収が得られないままになってしまう事例も生じやすいことになります。
会社の負債について株主から返済意向が示されたとしても、それはあくまで会社としての負債の承認であると考える。それは法的には正しいのですが、しかしながら、実際の訴訟の場面では、個人が個人として責任を負担する意思を示したと解釈できる場合もあります。
今回はそのような事例を取り上げました。資料のp.4です。
債権回収のための交渉過程で、後日のために有利な材料を一つでも積んでおいていただきたく、この「返済説明」を代表者やオーナーに差し入れてもらうという手法は、覚えておいていただければと思います。

②登録商標を示す「○R」表示

商標一般違法行為についての新しい通知が出ています。
中国で商標の問題と言えば、いわゆるニセモノ、つまり権利がない第三者が登録商標を勝手に使ってしまう、少しだけ文字や図柄をアレンジして似たような表示をする、そういった問題がすぐに思い当たります。
しかし、実は、「権利者であったとしても」登録商標の表示を勝手にアレンジして使っていると、行政処罰を受けることがあります。例えば、漢字と英語で構成されている商標で勝手にその位置を入れ替えてしまう、図形と文字で構成される商標の図形を一部変更する、といったような場合に、そのまま「登録商標です」と記載している場合には、《商標法》第49条第1項違反として是正要求を受け、是正しない場合は商標の登録が取り消されることになります。商標について「●●は当社の登録商標です。」と書いてあれば分かりやすいのですがそうではなく、登録商標の表示の横に付される「○R」マークのみが付されている場合でも、これはRegistered(登録済み)を示す記号ですから、やはり登録商標として表示しているのと同じです。
非常にマニアックなお話ではありますが、商標登録をした表示をアレンジする場合には改めての登録が必要になること、ご留意ください。

③市場参入許可ネガティブリストに違反している事例

発展改革委員会から、市場参入許可ネガティブリストに違反している事例を収集する旨の通知が出ています。
いわゆるネガティブリストは、《ビジネス環境最適化条例》でも規定されている内外資問わず適用される中国の規制改革の重要な要素ですが、地方政府がこれを無視して独自の審査を行っているとか、逆に企業がネガティブリストで制限・禁止されている事業に違法に参入しているといった状況があるようで、今回の通知では、別紙で18個の事例が挙げられており、地方政府や業界団体主導で他省の業者を排除していた事例なども紹介されています。
このような事例について各地方、各部門が定期的な調査を行って国家発展改革委員会に報告するように求めるという内容ですので、今後はさらにさまざまな事例についての情報が集積されていき、予見可能性も高まっていくものと期待されます。
少し脱線しますが、補助金の申請もコネが無いと受理してもらえない、政府機関から紹介されたコンサルティング会社に依頼しないと申請しても通らない、といったようなことは外資系企業に限らず中国国内ではありふれた光景のようです。中国の政府機関は、日本と違って申請要件などを懇切丁寧に説明してくれたりはしないですので、このうちには、相当数、実際に申請要件を満たせていない、申請書類に不備・不足があるといったケースが含まれているはずであって、決して「コネ」の問題が全てではないと思いますが、一部そういった疑いを招くケースもあるのでしょう。
どのような申請の場面でも、窓口での指導を期待するのではなくて、きちんと根拠となる法令等を見て、申請要件を満たすかどうか確認いただければと思います。

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