A.それは出版業界側の都合であり、読む側には関係ありません。しかし、シリーズもので今後も続いてほしいと思うものであればそうするべきです。


「本は古本ではなく新品で、ネット書店ではなく本屋で、しかも発売後なるべく早く」?


近年、以下のようなことがネット上で言われるようになっています。

  • 古本屋で古本を買うのではなく新品で買うべき
  • ネット書店ではなく本屋に行って買うべき
  • 本屋に置いていなくてもネットで注文するのではなく本屋に取り寄せてもらうべき
  • 本は発売後すぐに買ったほうがいい

特に小説ジャンルの本や漫画本ではこれがよく言われ、SNSではあたかもそうしないといけないかのような空気が漂っています。


単なる出版側の事情


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、このような事情があります。


>古本屋で古本を買うのではなく新品で買うべき

これは古本で何冊購入されようが出版社や著者には1円も入らないためです。


>ネット書店ではなく本屋に行って買うべき

店舗の書店で本が売れれば、書店が「この本は売れるのか?」と判断して取次に多めに発注が行き、より目立つところに平積みされ、通りすがりの人にも手に取ってもらえるように……という可能性があるためです。


>本屋に置いていなくてもネットで注文するのではなく本屋に取り寄せてもらうべき

取り寄せ希望が多くあれば本屋も多めに取次に発注し、結果として目立つところに平積みされる可能性が高まるためです。


>本は発売後すぐに買ったほうがいい

本は次々に新刊が出るため、1~2週間で本屋の新刊コーナーからは撤去されることがあります。そのあとは棚差しされてまず手に取られることはなくなり、そのうち返本されて消えていくそうです。


古本で買っても問題はない


以上のとおり、「本は本屋で、発売後なるべく早く」というのは完全に出版側の理由であって、読者にはほぼ関係のない話です。

「読む側がそうしたほうが良い」のではなく「書く側・刷る側が『頼むからそうしてください』」というお願いであるということですね。


よって、基本的には読者の側の都合で選んでよいはずです。

懐事情が厳しいかたは古本屋を回って目当ての本を見つけてもよいでしょうし、立ち読みされていない綺麗な本が良いというかたはAmazonや楽天ブックスなどで注文して届けてもらうのもよいでしょう。


「古い本を読んでそもそもためになるのか」と言われれば、ためになります。

そもそも情報の鮮度については、本よりも雑誌やネットニュースの記事、個人ブログなどのほうが優れています。

出版年月が古いものについて”これはXXXX年に書かれた本と”いう前提をしっかり頭の中に入れて読むことは大切ですが、それさえできていれば全く問題はないでしょう。


例外は”続刊モノ”


ただし、続刊前提の本であれば少々事情は変わってきます。

なぜなら続刊予定の本(特に小説や漫画)は、出版してから1~2週間の売り上げが奮わないと、出版社の判断によって当初の予定が撤回され、打ち切りとなってしまうためです。


この本は続いてほしい・最後まで読みたいという場合は、読者がみんな「今度買おう」「古本で買おう」という姿勢だと続刊されなくなってしまう可能性があるため、「本屋で、発売後なるべく早く」買って応援するようにしたほうが良いでしょう。