地名由来の単語から見える貿易と交流

2021年7月16日金曜日

雑記

t f B! P L

ここ1週間ぐらい忙しくて中々更新ができませんでした。すみません。

いくつか言語を勉強していると、「この単語、なんでこういう呼び方になったんだろう」<と思うことがあります。
単語の成り立ちについて考えたり調べたりしているうちに、その国の文化や他の国との交流について色々と妄想が掻き立てられることも結構あります。

今回は、色々な言語で国名が付いている単語を3つピックアップしてみます。

七面鳥


Image by taminwi from Pixabay

英語では七面鳥は"turkey"と言います。トルコ(国)と同じ単語なので、ジョークで使われることも結構あります。
国の名前が先なのか、それともたまたま同じ単語になったのか、たまに疑問に思いつつあまり深く考えていませんでした。

最近、たまたまトルコ語を勉強していて、七面鳥という単語が出てきました。
トルコ語で七面鳥は"hindi"。
あれ...?インドじゃん。

他の言語では更に他の国の名前が「七面鳥」として使われているのでは、と思い調べてみたところ、こんな「語源地図」を発見しました。


英語の七面鳥、"turkey"はやっぱりトルコが語源のようでした。
元々トルコの商人から輸入していたホロホロ鳥を"turkey"と呼んでいて、それがいつの間にか七面鳥の意味で定着したみたいです。

他のヨーロッパの言語(上の地図で黄色系の部分)は、むしろ七面鳥のことを「インド(の鳥)」と呼んでいます。
(フランス語の"dinde"がインドだと、この地図を見るまで気が付きませんでした...。)
七面鳥は元々アメリカ大陸原産ですが、最初にコロンブスがアメリカに到着した時にインドだと思っていたからだとか、実際にインドから七面鳥が輸入されることが多かったからとか、諸説あるようです。

スペインと共に最初にアメリカ大陸に到達したポルトガルでは、七面鳥は"peru"と、実際に新大陸の地名から取っていますね。

このような語源地図おもしろいな、と思い、気になっていたほかの単語も調べてみました。

トウモロコシ


Photo by Theme Inn on Unsplash

トウモロコシは、西ヨーロッパの言語では大体は"maize"や"mais"と呼ばれています。
これは、実際に中南米の現地の言葉(タイノ語)からの借用語と言われています。
しかし、イタリア語では"granoturco"、「トルコの穀物」と言われることもあって、これも七面鳥の状況と似ているな、と思っていました。


七面鳥ほどではないですが、トウモロコシも国名由来の単語を使っている言語があります。

イタリア語を含む南欧~中欧の言語(上の地図で茶色の斑点)では、トルコが付く単語が使われており、トウモロコシがトルコを経由してもたらされていたと思われます。

そのトルコではというと、トウモロコシは "mısır"、「エジプト」と呼ばれています。きっとエジプト経由で入手していた時期があったのでしょう。
(エジプトアラビア語では特に地名由来の単語ではないようです。)

日本でも「唐」モロコシで、外国名を付けてますよね。

オレンジ


Photo by Theme Inn on Unsplash

実はオレンジも、国名由来の単語を使っている言語があります。
代表はアラビア語で、トウモロコシは"burtuqal" (ポルトガル)と呼ばれています。
オレンジに関しても、ヨーロッパの語源地図を確認してみましょう。


中東~バルカン半島にかけて、"portokali" や "burtuqal" など、ポルトガルから取ってそうな単語が並びます。
実はこれは元々ベネチア語由来らしく、
ポルトガル → ベネチア → ギリシャ → 周辺国
という方向にオレンジが流通していたため、「ポルトガル(の果物)」と名付けられたようです。

あと、この地図を見るまで僕は気付かなかったのですが、ロシア語など東欧の言語(紫の部分)で使われている "apelsin" も国名由来です。
これは「中国のリンゴ」という意味のオランダ語から来ているらしいです。

ちなみに、オレンジはインドのアッサム地方原産らしいです。
実際に、"orange" は、元を辿ればサンスクリット語の "naranga" から来ているようですね。

ポルトガルはインドのゴアとかに領土があったわけですし、ポルトガル商人経由でヨーロッパに運ばれていたんじゃないか、って気がしますね。
ロシア語の「中国のリンゴ」はよくわかりませんが、何となく東の方の国から輸入されている、というイメージでつけられたのか、実際に中国から輸入されていたのかもしれません。

おわりに

色々な単語の語源を、色々な言語に渡って調べてみるのは結構好きなのですが、今回は地名由来の単語に注目して例を出してみました。
色々調べると昔の貿易や文化の交流が垣間見えて面白いと思います。

ちなみに、今回出したような地図は、"etymology map" と検索すると色々出てくるので、興味を持っていただいた方は調べてみてください。

 

応援よろしくお願いします!↓↓↓

にほんブログ村 外国語ブログ 多言語学習者(学習中)へ にほんブログ村 外国語ブログ 語学学習法へ

QooQ