
2025年2月19日・20日の2日間にわたって、通販通信ECMO、ECタイムズ、ネットショップ担当者フォーラム、日本ネット経済新聞、ECのミカタ、そしてコマースピックの6メディアで「ECカンファレンス2025 – Winter-」を開催。2日間で、1,300人以上の方に参加いただきました。
本レポートでは、そのうち5つのセッションをピックアップしてご紹介します。
この記事の目次
売上を伸ばすための副業・フリーランスを活用したEC人材戦略

テーマ:2025年度、最短で成果を出すためのEC人材戦略
登壇者:株式会社WUUZY マーケティンググループ マネージャー 吉田 拓未さん
吉田さんには、ECの「人材戦略」についてお話いただきました。以前に比べ、ECサイトを構築することに対するハードルは下がってきており、ECへ参入しやすくなりました。しかし一方で、マーケティングの難易度は依然として高く、顧客からの相談として「ECサイトを作ったがどのように売上を伸ばせば良いかという相談が多い」と言います。
吉田さんはECビジネスのありがちな失敗として以下を挙げています。
- 商品力の不足
- 集客の困難さ
- 使いづらいサイト設計
- 組織体制の不備
中でも「組織体制の不備」について、人手不足や部署間・担当者間での連携不足が課題となる場合が多く、組織作りが重要であると指摘。EC業務は多岐に渡る専門性が必要であることから、自社採用だけでなく副業やフリーランス人材の活用が有効な解決策になると述べました。
スマホ時代に適応したスワイプ型LPでCVRアップ

テーマ:CVR200%アップは当たり前!?今話題の『スワイプ型LP』で最強LPO戦略を実現!
登壇者:株式会社エフカフェ EC戦略Div.マネージャー LPcatsプロダクトマネージャー 島川 将さん
島川さんからは、1画面ずつスワイプして閲覧するスワイプ型LPについてお話いただきました。スワイプ型LPの導入事例ではCTAボタンクリック率が277%、CVR(コンバージョン率)が248%アップするなど成果が上がっているそうです。
島川さんは、従来の縦長LPの問題点として以下を挙げています。
- ユーザーがコンテンツを読み飛ばしてしまう傾向がある
- スマホ時代にPC時代の設計をそのまま持ち込んでいる
- コンテンツを読んでもらうために動画、UGC、アニメーション、有名人などさまざまな工夫が必要
一方でスワイプ型LPの特徴と利点として以下があるとのことです。
- InstagramやTikTokのようにユーザーが既に慣れたUIを採用
- 平均滞在時間が15秒長くなり、最終ステップ到達率が38%と高い
- 「次に何が出てくるか」という好奇心で最後まで閲覧される傾向
- 前のステップに戻る率が1%未満と非常に低い
その他、スワイプ型LPは分析がしやすい点もメリットとして話されていました。
ゼロから年商200億円に!措置命令やガバナンス問題を乗り越えたIPOの軌跡

テーマ:ECのスタートアップから年商200億円、 準備期間3年、さらに4年連続の申請期から執念の株式上場まで
登壇者:ジェイフロンティア株式会社 代表取締役 中村 篤弘さん
中村さんには、D2C企業であるジェイフロンティア社のIPOについてお話いただきました。2014年から上場準備を開始したものの、消費者庁から措置命令を受け、2.5億円の課徴金を支払い、社外取締役の経歴問題、ガバナンス体制の改善などさまざまな問題で上場延期を経験したといいます。紆余曲折を経て2021年に上場を果たしました。
中村さんは企業上場のメリットとして以下を挙げています。
- 資金調達がしやすくなり、時間を買える
- 知名度向上による新規取引拡大
- 人材採用の質の向上
中村さんは、上場を果たした今、先人の努力への恩返しとして1兆円企業を目指していると語っています。
インフルエンサーマーケティングで成果を出す3つのポイント

テーマ:〜ROAS300%成功事例に学ぶ〜【2025最新】インフルエンサーマーケで成果を出す3つのポイント
登壇者:株式会社A(エース) SNSマーケティング事業部 事業部長 白潟 愛さん
白潟さんからは、インフルエンサーマーケティングで成果につなげる3つのポイントをお話いただきました。まずインフルエンサーマーケティングの効果として「認知獲得」「好意度・信頼度の向上 」「購入意向の向上」を挙げ、美容スキンケア商材やファッション、不動産商材での成功事例が紹介されました。
また成功につながるポイントとして以下の3点を挙げています。
- 施策設計
- 効果的なインフルエンサーを選定する
- 勝ちパターンの明確化
「施策設計」については目的や予算、ターゲットを明確にし、「誰に何をどのように伝えるか」まで緻密に設計することが重要だと語りました。また、「効果的なインフルエンサーを選定する」については「無駄撃ちを省いた」+「影響力のある」インフルエンサーを選定し、PR感が強すぎないコンテンツ作りをすること、「勝ちパターンの明確化」については1度で成功するとは限らないため、PDCAを回して再現性のある施策にすることの重要性を解いています。
「母の日戦略」は対策急務!データで見る売れ筋商品と販売戦略

テーマ:売れ筋商品から読み解く、商品開発と販売戦略のポイント
登壇者:株式会社Nint マーケティング・セールスディビジョン データアナリスト 山本 真大さん
山本さんの講演では、EC市場・商品ジャンルの分析から、データに基づく具体的な売れ筋商品や販売戦略に関する解説がありました。
まずEC市場全体については、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの三大ECモールがEC市場全体の約68%を占め、EC業界全体の成長を牽引していること。2024年の三大ECモールの売上は前年比+1.3%、平均単価は+1.4%であったことが説明されました(Nint推計データによる)
その上で、商品ジャンル別にみると、「食品・飲料・酒類」の成長率がもっとも高く、その中でも「ラベルレス商品」、「プロテイン」、「無塩・骨取り」などの加工食品の売上が伸びたとのことです。ついで、成長率が高かった商品ジャンルとして「衣類・服飾雑貨」があげられ、「疲労回復アイテム」、「イージーワイドパンツ」、「ナイトブラ」などの成長率が高くなっています。
また今の時期から注目すべきこととして、春(1〜5月)のギフト商戦において最も規模が大きい「母の日」に関するタグは4〜5月に構成比が大きく上昇するものの、2〜3月から徐々に上昇しているため早めの対策が重要であることが述べられました。
さいごに:ECカンファレンスは今後も開催
次回は2025年夏頃の開催予定です。イベント情報は詳細が決定次第、メルマガにてお知らせいたします。最新のEC・物販に関する情報から実務に活かせるノウハウなど、幅広い情報を日々配信しているので、ぜひご登録いただけますと幸いです。
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