
株式会社NTTドコモの新規事業型子会社である株式会社DearOne(以下:DearOne)が、一般消費者を対象に実施したショッピングアプリの使用状況に関する調査を行い、その結果を発表しました。本調査では、消費者から低評価を受けているUI/UXのアンチパターンが明らかになりました。
※アンチパターンとは、よくある課題への対策や解決策で避けるべき典型的な例を指します。
この記事の目次
調査結果の概要
- 初回ログイン時、消費者の50%を超える人々がネガティブな体験を経験している
- 20代はアプリの動作や表示速度に対するストレスを、他の年齢層の約5倍も感じている
- 日常的な利用時のストレス要因は「広告の頻出」と「検索機能の精度の低さ」である
- 特に20-30代は「サポート体制」に、40代は「ログイン後の認証」で強いストレスを感じる傾向がある
- プッシュ通知は20代にはあまり重要視されないが、50代は頻繁に確認する傾向がある
調査の背景
DearOneは、200以上のアプリ開発実績を基に、多くのリテール企業のアプリ担当者からUI/UXに関する悩みや課題を収集しています。良好なUI/UX施策が顧客ロイヤリティの向上に貢献する一方で、ユーザー体験を損なう「アンチパターン」の影響にも気づいていました。これがユーザーの離脱を招く要因であり、企業にとっての重大な課題です。
そのため、法人が今後のアプリマーケティング戦略を策定する上で消費者の動向を正確に把握することが重要です。この視点から、アンチパターンについての調査を詳細に実施しました。
初回インストールや設定時に、50%の消費者が操作をやめたくなる経験をしている
調査によれば、ショッピングアプリの利用者の50%以上が初回ログインや設定時にネガティブな体験をしたと回答しています。特典やポイントカードなどの利点があっても、この段階で感じる強いストレスが離脱の要因となることが示されています。

20代はアプリの動作や表示速度に対するストレスが他の年代の約5倍に達する
初回インストールや設定時に操作を中断する理由を年代別に分析したところ、「個人情報の登録や入力作業が多い」といった共通の傾向が見られました。
30代から50代には特有の傾向が見られなかった一方、20代は「アプリの動作や表示スピード」に関するストレスを他の世代に比べて約5倍高く感じる傾向にあり、UI/UXの整備が不十分な場合には影響を受けやすいことがわかります。

日常利用時にストレスの原因は「広告の頻出」と「検索機能の精度の不足」
日常的な利用時にどのような事がストレスになるかを質問したところ、「広告の頻出」「検索機能の精度不足」「ログイン要求の頻度」等のアンチパターンが露見しました。
アプリの更新情報についてはそれほどストレスを感じていない様子が見え、「ユーザーが行いたいことを妨げる行為」がUXを低下させる要因として指摘されています。

特にストレスを感じる点として、20-30代は「サポート体制」、40代は「ログイン後の認証」などを挙げる
日常的に利用する中で特にストレスを感じる要因を年代ごとに詳しく見ると、20-30代は「サポート体制」に対する不満があり、40代は「アカウント情報更新時の作業」や「ログイン後の認証」にもストレスを感じていることがわかりました。50代は「文字サイズの小ささ」にも不満を持っているという結果が出ています。
このように、ストレスの要因は年代によって異なるため、ターゲット層の年代に特有のアンチパターンを把握することが非常に重要です。

プッシュ通知は20代が重視せず、50代は閲覧率が高い傾向
全体の傾向として、「ユーザーに利益がある、興味を引く内容」に関しては高い注目を集める一方、「アプリ提供者の都合による通知」にはほとんど関心を示さず、解除したいと考える人が多数を占めています。
年齢層別に見ると、20代は他の世代で好まれている「ポイント数や有効期限の通知」や「定期的なタイムセールのお知らせ」にあまり関心を持たないことが明らかになりました。一方、50代は「メンテナンス復旧」や「定期的なアンケート依頼」といった通知に目を通す傾向が強く、これらを自分にとって有益な情報と捉えていることがわかります。

出典元:株式会社DearOne プレスリリース