こんにちは!呼吸器内科医のシンノスケです!
この度、日本不整脈心電学会が主催する「第9回 心電図検定1級」を受験し合格しました🎉
この記事では、心電図検定1級の出題範囲や効率良く勉強する方法などについて皆様にシェアしたいと思います。
それでは参ります!
心電図検定とは?
日本不整脈心電学会が主催する心電図の判読能力を問う検定試験です。
年1回行われており、第9回が2023年12月9日・10日に開催されました。
近年注目度が上がっている資格試験で、「日本の資格・検定AWARDS 2020」の「注目の資格・検定ランキング部門」で1位を受賞しています。
今回の検定試験では約16000人の方が受験されており、年々受験者数が増加傾向にあります。
受験した理由、受験するメリットは?
私が受験した理由は単純に「循環器診療が苦手だったから」です。
とくに循環器診療は、心電図の判読能力や心エコーの技量など、医療者の個々のスキルの差が如実に表れる領域であると思っています。私自身は循環器専門医ではありませんが、心電図判読は医師として必須の能力であり、自己研鑽の意味も兼ねて受験をしました。
心電図の検定を受検したメリットとしては、
① 集中して心電図の勉強をできたこと
② 心電図を読む時の抵抗感がなくなったこと
③ 学会の資格試験であり履歴書にも記載できる
などが挙げられると思います。
心電図検定の難易度は?
心電図検定の公式HPには以下のように記載されています。
- 4級:心電図の基礎的な判読力を有するもの
循環器勤務数年のメディカルプロフェッショナル、心電図に興味のある医学生など
- 3級:心電図の基礎~中等度の判読力を有するもの
一般臨床医、循環器勤務メディカルプロフェッショナル
- 2級:心電図の中等度~高度な判読力を有するもの
一般循環器医、循環器勤務ベテランメディカルプロフェッショナル
- 1級:心電図の高度な判読力を有するもの
循環器専門医、心電図に深く精通したメディカルプロフェッショナル
実際の難易度感は?
一般臨床医であれば、2級相当の知識はあった方が望ましいと思います。
しっかりと臨床経験を積んだ臨床医であれば、比較的短期間の勉強で2級合格に辿り着けると思います。
心電図検定の合格点、合格率は?
心電図検定の合格点は公表されておりません。
毎年合格率を一定に保つため、合格点を適宜変動させているのではないかと思います。
合格の目安としては7割以上(50点中35点以上)との噂があります。
第9回心電図検定の合格率を以下に記載します。
1級については、今回の合格率が過去最低だったようです。
今後受験者数が増加するに従って合格率が下がる可能性もあるので、受けたい方は早めに受けた方が無難かもしれません (;゚ロ゚)
受験資格は?申し込みの注意点は?
心電図検定は受検資格に制限はありません。
どなたでも受験可能です。
学会への入会も必要ありません。
2級・3級は受験者数が多く、毎年早めに締め切られてしまいます。申し込みが始まったら早めに申し込むようにしましょう。
また複数の級を併願することはできません。
現時点では神戸会場は2級と3級しか受験できないため注意が必要です。
出題形式は?試験時間は?
心電図検定の出題形式はマークシート方式です。(5択)
50問出題され、試験時間は1~3級は90分、4級は70分です。
当日に1問1分のペースで解答できるように練習しておきましょう!
心電図検定1級の出題範囲は?
心電図検定1級の出題範囲ですが、簡単にいうと「心電図の読み方パーフェクトマニュアル」の全てのページが出題範囲と考えると分かりやすいかと思います。
治療方法等の臨床的な問題は出題されません。(心電図の波形を答えさせる問題だけなので、臨床については別途勉強しましょう!)
因みに1級の出題範囲ですが・・・
✅基本的な波形が4~5割程度(個人的な印象です)
✅心筋梗塞の責任病変の推定問題
✅SVTの鑑別(AVNRT、AVRT、AT)
✅心房粗動のtypeの鑑別
✅VTの起源
✅Wide QRSの鑑別
✅PACの起源
✅WPWのケント側の位置の推定
✅ペーシングリードの位置
✅電解質異常
✅ARVC
✅先天性心疾患
✅小児心電図
などが出題される傾向にあります。
また参考に第9回で出題された問題内容はYoutubeの「心電図マイスターチャンネル」様で解説されております。
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心電図検定1級の勉強時間は?
私個人の勉強時間ですが、試験1ヶ月半前から勉強を開始しました。
もちろん毎日勉強できる訳ではなかったため、正直ギリギリだったと思います。
もともと心電図の知識は多少ありましたので、このくらいの勉強時間で済みましたが、基本的には3ヶ月くらい(初心者から始める場合は半年くらい)の勉強時間は必要かと考えます。
心電図検定1級合格へのルート
以下に私の勉強方法について記載します。
注)心電図の知識が多少あることが前提となっております。心電図を全く勉強したことがない方は「病気が見える」などの基礎的な参考書から勉強を始めることをオススメします。
ステップ1:ER心電図の超速診断を読む
まずは心電図検定の勉強でオススメされている「ER心電図の超速診断」を読みました。
この本は絶版で買えないため、大学図書館で借りて勉強しました。
しかしこの本を読み進めても理解が難しい箇所が沢山あり、この本だけで勉強するのは早々に諦めました(笑)。同時併行で「心電図マイスターチャンネル」を見ることにしました。
また、合格したあとに購入したのですが、EP大学の「3ステップで学ぶ心電図」が非常にオススメです。(より効率良く勉強できると思います。)
リンク
ER心電図の超速診断の目次に沿って、心電図マイスターチャンネルを見ていくことにしました。ハッキリ言って、1級に合格したのはこのチャンネルのお陰といっても過言ではありません。非常に分かりやすく心電図を解説してくださっており、ここで解説されている内容をノートに書いて、試験直前まで繰り返し復習しました。本当に素晴らしいチャンネルです。
www.youtube.com
ステップ3:心電図検定公式問題集を解く
ある程度勉強が進んで来たら、2級・3級の公式問題集を解き始めました。
残念ながら、心電図検定1級の公式問題集は存在しません。
ですので、あくまで基本問題が解けるか?の確認になります。
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ステップ4:心電図マイスターを目指す 基礎力grade up講座を解く
心電図検定1級専用の問題集は現時点ではこの書籍しかありません。
こちらの本は前半が心電図の講義、後半が問題集(100問)という構成になっており、検定対策だけでなく、心電図の教科書としても非常に有用な書籍となっています。
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ステップ5:Discordの2級想定問題集&解答/解説を読む
試験直前にボイスチャットアプリ Discordの「心電図を楽しく学ぶ会」に参加させていただきました。
ここで配布されている「2級想定問題集」および「解答/解説」が非常に良くできており、まとめてくださった方々には本当に感謝の気持ちです。
おわりに
心電図検定の受験は、個人的には非常にためになりました。
心電図を集中して勉強できる機会もなかなかないと思いますので、心電図検定に興味のある方、心電図を本気で勉強したい方は是非受験してみてください。
結果の如何に関わらず、きっと成長につながると思いますよ!
ではまた!!
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