とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

輸血療法

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RBC(赤血球)

基本単位

1単位=140ml、2単位から使用

2単位を1~2時間で投与を行う。(心不全の場合は3~4時間で投与)

 

適応

★基本はHb≦7.0mg/dlで輸血と考える。

 

◆急性出血

出血量に応じて輸血を行う(Hb値を輸血の参考にはしない)。Hb≦6.0g/dLでほぼ必須。

◆慢性貧血

Hb<7.0の場合に輸血を考慮。

◆心疾患

Hb8~10g/dLを目標に輸血を行う。

◆大量輸血時(1500ml以上の出血、24時間以内に10単位以上のRBCが必要)

RBC:PC:FFP=1:1:1で投与を行う。

(少なくともRBC:PC:FFP=2:1:1で投与を行う)

 

予測上昇Hb値

予測上昇Hb ≒ RBC2単位投与した場合は70÷体重(kg)と覚える。

 

PC(血小板)

基本単位

1単位=20ml、5単位から使用

10単位を約1時間で投与を行う。

 

適応

◆活動性出血

血小板5万以上になるように輸血。外傷性頭蓋内出血の場合は10万以上を目標に輸血を行う。

◆侵襲的処置の前

外科手術は5万以上、開頭術は10万以上、腰椎穿刺は5万以上、CV留置術は2万以上。

◆DIC

Plt5万未満で出血症状のある場合に考慮する

(ただし実臨床では5万以上になるように輸血することが多いか。。。)

◆その他

「2万未満」もしくは「5万未満かつ出血傾向あり」の場合に輸血する場合が多い。

 

禁忌

TTPには投与禁忌

 

予測上昇値

10単位で500×体重(kg)程度の上昇を認める(60kgで約3万の上昇)

10単位投与後24時間後に1万以上増えない場合は輸血不応を考える

 

補正血小板増加数(CCI

CCI=血小板増加数×BSA(m²)÷輸血した血小板数[10^11]

CCI-1(1時間後)<7500、CCI-24(24時間後)<4500は輸血不応を考える。

 

FFP(新鮮凍結血漿

基本単位

1単位=120ml、1単位から使用

1単位を30分で投与する。

FFPは凝固因子活性が失活するので、融解後3時間以内に輸血する。

 

適応
  • フィブリノーゲン:100mg/dl未満、150mg/dl以下で出血予防を行いたい場合、200mg/dl以下で出血が持続している場合。
  • PT-INR 2.0以上、PT 30%以下
  • APTTが基準値の2倍以上、APTT 25%以下

基本的にはフィブリノーゲンの値を見て補充を行う!

✅単純にPT、APTTを補正するための補充は行わないが、下記の病態の場合には補充を行う。

 

投与対象の病態:肝障害、緊急止血時、ワーファリンの緊急補正、大量輸血時の希釈性凝固異常、凝固因子欠乏症、DIC、L-アスパラギナーゼ投与時の凝固障害など

 

投与目標値
  • 出血予防:フィブリノーゲン値≧150mg/dl
  • 止血目的:フィブリノーゲン値≧200~250mg/dl

 

予測上昇値
  • 10ml/kg(8~12ml/kg程度。50kgの人であれば約4~5単位)を投与すると凝固因子の血中レベルが20~30%上昇する。(20~30%活性が上がれば概ね止血は可能なレベルになる。あとはPT、APTTを見ながら輸血量を調整する)
  • FFP10単位でフィブリノーゲンが約50mg/dl上昇する。(大量に補充したい場合には濃縮フィブリノゲン製剤やクリオプレシピテートの投与を検討する)
  • 出血が持続している場合:Fib100~180mg/dlでFFP10単位、Fib100mg/dl以下でFFP15単位を経験的に投与する。

 

製剤別輸血量早見表

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(引用:https://www.jrc.or.jp/mr/relate/info/pdf/yuketsuj_0706-107.pdf

 

輸血合併症

急性溶血反応、非溶血性発熱反応、アレルギー反応、TRALI(輸血後6時間以内に起こる非心原性肺水腫。ARDSに準じた管理を)、輸血後GVHD(輸血後7~14日後。全身管理)、TACO(輸血後の心不全。心原性肺水腫に準じた治療)、高カリウム血症(カリウム除去フィルター)、低カルシウム血症(クエン酸中毒。カルチコール投与)、希釈性凝固異常・血小板減少、ウイルス感染症、細菌感染症、鉄過剰

 

 

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