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吉田ゆうこ【大人倶楽部】|ネタバレ感想:叙情的な青春物語

吉田ゆうこ

あらすじ

良家の子息が多く通う学園に転校してきたはるか。
その目的は“大人倶楽部”でおもちゃとして男に抱かれ、実家への援助を得ること。
しかし大人倶楽部は存在するが、その慣習は既に廃れていた。
困ったはるかが挑発的な態度をとると、部員のひとりである永良に奥の小部屋へ連れ込まれ体を暴かれてしまう。
その上永良とは同室だということが判明し、戸惑う中での学園寮生活が始まり――

全273p(表紙、カバー裏、本編、描き下ろし10p、電子限定4p)
刻み海苔

カップリング

ゲイ、良家の子、クーデレ
健気、黒髪、不憫
◆個人的萌えポイント
永良と岬の第一印象からの変化
時間の進み方、見せ方がとてもいい!
秘密の場所や秘密の関係、バラ園など世界観萌え
表紙、カラーのイラストが世界観を表していてたまらん

ネタバレ感想

タイトル、表紙、あらすじ全てに惹かれて即購入!
電子で読んで最高すぎて紙でも購入(((^-^)))それくらいとにかくツボな作品でした(((^-^)))

吉田先生の細い線と華奢な体や絵柄が話とマッチしているし、話の流れや構成が秀逸で物語に入り込めてとても良かった!ひと作品として綺麗に纏まっていると思いました。

高校三年生という珍しい時期にある学園へ転入したした岬はるかは同じクラスの学級委員長の嶺岸正一から校内を案内してもらうことに。

制服は青いシャツに白のネクタイと白いブレザー。嶺岸の髪型や喋り方、それから目と眉毛の間が狭いから?平行気味の凛々しい眉など、見た目からかなり賢そうな雰囲気がめちゃくちゃツボ!
それに変なタイミングでの編入、何かを見定めるような、試しているような目をした岬。最初っからなんだかヒリヒリしていて普通じゃない空気感が今後なにか起こりそうでドキドキします。

嶺岸の親は政治家らしく、それを知った岬は嶺岸へ「大人倶楽部」について探りを入れます。
大人倶楽部と聞いた嶺岸がニッコリと笑い知らないと誤魔化す中、岬は半分脅しのような形で大人倶楽部のことを聞き出します。
自分が次の“おもちゃ”だと伝える岬。
岬の事情を知った嶺岸の顔から笑顔が消えるシーンがとてもいい!人前での対応と、いわゆる知っている側への対応の切り替えが只者じゃない感…!

放課後岬を迎えに来た六本木昴は嶺岸のお使いで、大人倶楽部へ案内してくれるとのこと。
そこで大人倶楽部とは、100年以上続く倶楽部で生徒、先生など部員以外誰も知らない特別で秘密の倶楽部であることがわかります。
選ばれた人間しか入れない大人倶楽部。
集合場所は旧校舎で部屋へ入ると嶺岸ともう一人、永良亮介が。現在の部員はこの3人。
ちなみに昴だけ2年生!可愛い…。

しかし迎え入れてくれたと思いきや、岬が言った“おもちゃ”としての入部は無理だと嶺岸から言われます。

“おもちゃ”とは、大人倶楽部のメンバーに身体を許し、その代わりに金銭的援助をしてもらう存在。要するに岬はパトロンを見つけるために入部したいわけです。
しかし嶺岸曰く、それは昔の話で今部にいる三人は誰もそれを望んでいないので“おもちゃ”としての入部はできないと言います。
昔のそういった文化が現在でもひっそりと残っているのがアングラ感があって好き、、。

父から会社のためにも、おもちゃとして入部するよう伝えられていた岬はそれを聞き一瞬困惑しますが次の瞬間には、俺の身体が悪くないといっても抱けないのかと挑発的な発言。
それを聞いた部員の一人、永良が岬を買うと立候補しそのまま奥の部屋へ。
このままだと埒が明かなそうだったしちょうど
イライラしていたからという永良。
自分を抱けば満足できると大見栄を切った岬でしたが、何も出来ずに永良に冷たく抱かれるのでした。
思わず永良の腕を掴む岬に突き放す言葉を吐く永良が冷たくて印象的です。

その後永良と同室ということがわかり、岬は授業に出ない永良の身の回りが気になり心配しますが、永良は気に入られようとているならそういうのはいらないからと一蹴り。
嫌な奴と思う岬でしたが、昼休みに部の部屋で昴から永良の話を聞き、永良への印象が少し変わります。岬の抱く印象とは違い、昴は永良のことを優しいと言うのです。

岬は永良があまり食事をとっていない事が気になり夜食を用意するのですがそれを拒否する永良。
こういう関係になった以上いい関係でいたいから用意したと岬は伝えますが、永良は立場が違うことを教えてやると言い岬に目の前で後ろの準備をさせます。
夜食のサンドイッチを食べながらそれを見る永良。強い。笑
最初にした時も今回も永良は冷たいのに、読んでいて実は優しいのかもしれないと思えるのは何故なんだろう…。(昴のセリフからか…)
実際は永良が岬に自分は優しくないとわからせるためのこの行為。しかし優しくないことをわからせることが既に優しい気が…(◜ᴗ◝ )

翌朝永良が寮の部屋へ戻るとそこには岬はるかの双子の兄が。永良曰く、「顔は」似ている双子の兄。
永良と兄は挨拶程度の絡みでしたが、それだけでも永良は兄がどういう人物かなんとなく察せたところがさすがです( ˘ω˘ )
岬兄は、大人倶楽部の三人がとても有名で優秀で、それから永良が家と上手くいっていないことを弟はるかに伝えます。
永良をもっと誘惑して気に入られて出資させろという兄の言葉にパニックになる岬。
そういう情報を吹き込み、それを純粋に受け止めるはるかとは確かに顔は同じでも性格は違うのかも。

永良に優しくないことを身体で覚えさせられたばかりの岬が怯えながら好きになってと言う姿はとても痛々しい…。
この作品は視線や表情で感情の表現がすごく伝わってとてもいい!

怯える岬に今度は永良が夜食を持ってきて岬に食べさせます。岬もろくに食事をとっていなかったこと、永良もちゃんと見てたんですね…。尊い…。そしてサンドイッチを食べながら思わず涙が零れる岬(;;)
やっぱり永良優しいじゃん!!!
翌朝から永良は岬と一緒に食事をするようになります。自分のためだと理解した岬は、永良に対してやっぱり優しいと思う反面よくわからなくなります。

放課後、今度は岬兄が直接永良と接触し出資の催促をするのですが、そこではるかを“おもちゃ”として大人倶楽部に差し出しのが岬父ではなくこの兄だったことがわかります。
永良は兄を責めますが、たまたまそれを目撃したはるかはショックこそ受けますが、兄を許してあげます。
岬と一緒にいた嶺岸は、それを見て岬がどういう人間か気付いたと永良と話すシーンがあるのですがそこがとにかく萌える!
嶺岸と永良のコンビがいいのです!嶺岸が気付いたはるかの人間性は実はもっと前から永良は気付いてたんですよね。
永良が気付いてたこと、嶺岸もなんとなくわかってそうだなと思いました。嶺岸、永良、岬は同級生ですがここの2人は大人の会話感があります( ˘ω˘ )
その後の岬がお見送りしてる1p使った絵が最高なのです…コマの流れが最高…。

季節は流れ夏。岬は図書館で小説を書く永良に会います。永良の表情が柔らかくなっているので大分仲良くなってそうな雰囲気です。
何があったとかの描写はないにしろ、季節が夏に変わって長袖を着ていた頃より仲良くなっているところがいい…。

嶺岸の手伝いをする岬は、嶺岸に永良が小説を書いていたことを話しますが、永良はいずれ小説と縁を切らないといけないと嶺岸は言います。
まるで永良の将来は自由がないような不穏な感じです。

それにしても永良が優しいというエピソードや将来のこと、家の事など永良からじゃなく間接的に教えてもらってるのが、言わない・直接聞かない永良と岬の性格がわかっていい描写だなと思います。
ただその日の夜、岬は永良から家の話や永良自身の気持ちを直接聞くことになります。
ここのシーン本当に本当にいい〜。(いいしか言ってない)
岬の許しと受け入れる力強すぎる…。岬ありがとな〜(;;)って気持ちになる。笑
それから永良の心情の変化が初めて言葉として出てきますが、急に!?とも思わず。時間が経って色んな気持ちの変化があったんだろうなというのが直接描かれてなくてもわかるのがすごい。
未来がなくて、別れる前提だけど今はそれでも幸せという2人が切なくて尊くてたまらない(;;)抱かれる岬のモノローグで終わる四話。
そしてそこから時は経ち社会人となった岬から始まる五話…!25歳なので7年後くらい?
ここのバッサリとした切り替え方が好き!!

出版社で働く岬は同窓会があるといい、仕事終わりにホテルのカフェへ。そこに来たのは嶺岸と昴。昴とは1ヶ月ぶり、嶺岸とは1年ぶりとのことで割と定期的に会ってそうな雰囲気。
しかし永良とは卒業以来会っておらず、その事に業を煮やした2人の粋な計らいで約7年ぶりの再会を果たします。

岬のことは昴に聞いていた永良。それから永良のことは嶺岸や昴が教えてくれる岬。7年経ってもお互い第三者からしか情報を得られない不器用な2人が愛おしい…。
そこからまた徐々に距離が縮まっていく2人。岬が出版社に入った理由もいいんですよ。永良が遠くを見てあの時〜と話すシーンは本当につい最近のような遠い昔のような高校生活を思い浮かべているんだろうなと思える表情でとにかく切ないし、ホテルで永良が岬に言うセリフで泣きました(;;)
永良にとって岬と過ごしたあの期間は本当に大切な思い出だったんだなと…。

もうめちゃくちゃいい雰囲気なのですが岬は、出資してもらっていた恩や“おもちゃ”だったこと、それから7年連絡を取らずここまで来てしまったことで、この先永良とどうにかなるには難しいのではと考えます。
ここまで来てすれ違いは嫌だよ〜〜!思いましたが、ギリギリ大丈夫でした…(((^-^)))
永良はきっと色々と準備をして来ただろうけど想定外の告白になったのでは(◜ᴗ◝ )
そして渡すはずの指輪を忘れてくる永良\(^o^)/
思えば永良は優しいけど、学生の頃から岬がずっと頑張って永良を引き上げてたなと告白シーンを見て思いました。頑張ってというか、岬の人間性で素なんだろうけど。

永良の家まで指輪を取りにいく2人が雪の中を歩く場面が尊すぎて…。そこで学生時代の回想が入るのもすごくいいんですよ。
部室から出てくる岬を待ってた永良。岬にマフラーを巻いてあげて手を繋いで寮まで帰るという…。マフラーを巻くくらいだから卒業する時期の冬なのがまたいい。
本当に7年も経っちゃったけどまた2人で手を繋いで帰れることができて良かった(;;)
最後のシーンも泣いた(;;)(;;)エモ〜〜〜尊〜〜(;;)

描き下ろしもまたね…。この大人になってからの高校時代の回想の入り方かすごくいいんです。
7年後に繋がってるのがいい。それほどあの時の思い出が大切だったんだなって伝わってきます。
電子限定おまけまんがは高校生活最後の一日の話です。
本当に本当に本当に再会できて良かった(;;)嶺岸と昴に感謝してもしきれない!笑
それでも高校卒業から岬と再会するまで永良がどんな気持ちで過ごしていたのかと思うと…。岬においてもそうですが。
だからこそこのハピエンが嬉しい〜〜よかった〜〜!

 

好きなシーン

1話のバラ園で泣いてる姿を見たというシーン

何時間も泣き続けていた岬とそれを見ていた永良…。岬は初めから強気で挑発的な事を言っているにも関わらず、時折見せる戸惑いや不安そうな表情が読んでいてすごく気になっていたんですが、このシーンを見て気丈に振舞っていただけなんだとわかります。
家のために身体を売らないといけないその覚悟を決めるためにとても辛い思いをしているんだなと…。
岬の揺れる感情や表情、とくに目や視線ににすごく現れてるんですよ。それがとにかくいい!
それからバラ園で泣いている岬と、それを見ていた永良のシーンのイラスト、カットが全部良い!実の所2人の出会いのシーンであり、始まりのシーンでもあり…バラ園で始まるBL最高すぎる…。

岬が嶺岸に頑張ってというシーン

岬からしたら思わず出た頑張ってですが、頑張るのは当たり前だと言う嶺岸の住んでる世界が想像出来るこのシーンがとてもいい!メインカプの2人はもちろん好きですが、私は嶺岸を推したい!笑
最初は入部を快く思っていなかった嶺岸も他の部員とは毛色の違う岬にほだされ気味でほっこりします(*´`)
その後部屋の外で待ってた永良がムスッとしてるのもめちゃかわでした(((^-^)))永良はだいたいムスッとしてますがw

永良が岬のことを計りかねているというシーン

永良は岬のことを、自分を騙そうとしているのか、それともただの馬鹿なのか計りかねていると言います。
確かに一話の冒頭の強気で挑戦的な岬とそうじゃない顔の岬がいて、しかもそのふたつの顔にギャップがあるのではじめの印象と大分違うんですよね。
永良は岬がどっちなのかは自分で判断するしかないと言う辺り、やっぱり永良の育った環境やこれから進む道を考えさせられて少し切ないです( ˘ω˘ )
実は部の部屋で嶺岸も、真面目な発言をした岬に対して自分の身体が悪くないと言った岬とどちらが本物なのかと茶化すシーンがあります。
変な時期に転入してきてしかも秘密の倶楽部を知っている岬は不思議な存在だよなと思いました。
一方岬も永良に対して怖かったり優しかったりと、永良がどんな人間なのか知りたいと思う流れがいい!構成が好き!!

嶺岸と永良の関係

昴もまあそうですが、大人倶楽部に入れるような境遇で育ったこの3人ですからしっとりと仲良しなんですよね。騒いで遊ぶようなイメージはないのでしっとりと…。笑

そこでとくに同級生の嶺岸と永良!嶺岸は永良のことなら何でもお見通し!という感じがしてとてもいいw
岬が兄をお見送りしている最中の2人の会話がグッときました。
それから最後のプロポーズのところ!永良が嶺岸とプロポーズについて電話で話してるんですよね。どっちからかけたんだろう!?と。笑
でも元はきっと永良が嶺岸にプロポーズすることを伝えていたんだろうなと。それで心配して電話がかかって来たのか、永良が不安で電話をかけたのか…。
お前の話はいつも正論だっていうのたまらん!嶺岸正論突き刺してきそうすぎてたまらん!でも永良と岬には第三者のそれが必要だったと思うので本当に嶺岸ありがとう(◜ᴗ◝ )
半分保護者が入ってそうな嶺岸と永良の関係が良かったです。

まとめ

話はもちろん絵も線もコマ割りも話の流れも単話ごとの終わり方も全部いい!全部綺麗でまとまっててめちゃくちゃ物語に入り込めます。永良と岬の関係がとても尊い…。

堅物の嶺岸、柔軟性の昴、そしてぶきっちょの永良がいてそこへ真面目な岬はが入った大人倶楽部のこの一年はきっと元の三人、特に永良にとってはかけがえのない思い出だろうなと思うとたまんないです( ˘ω˘ )
しかも昴だけ2年生で、3人がいなくなったあと一人でどうしてたんだろうとちょっと考えました。自立してそうだから平気ではありそうですが。笑

全部良かったんですけど攻めが救われるのが好みで良かったです!
個人的にはそこと、大人倶楽部というハイソな人達の秘密の倶楽部だったり、嶺岸がちゃんと政治家の道を歩んでたりという階級描写萌え(?)だったり…。
永良とはるかが出会えて良かったなって思います( ˘ω˘ ) 巡り合わせに感謝…( ˘ω˘ )

吉田先生の商業漫画は初めて読みましたが表情や視線の見せ方がすごいなと思いました。他の作品も気になる…。
カラッとした明るさでは無いですが、じんわりと滲むような青春ものを読みたい方は是非!

 

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この記事を書いた人
hibino

BLが好きで備忘録も兼ねてブログをはじめました。
エモいと思うシチュエーションが大好物
苦悩してる姿に萌えを感じる夜明けの腐女子

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