金次郎、【アフター4読書】3周年の感慨に浸る

早いもので2019年12月3日のアフター4読書最初の投稿から間もなく満3年が過ぎようとしております。記念すべき初投稿を読み返してみてなかなか簡潔にまとめているなと感心しましたが(笑)、ブログを続けるにあたり、3年目に入ると、マンネリ化したり、ネタ切れを起こしたり、書くことに飽きてしまったり、気の緩みからの不用意発言で炎上してしまったりと様々な理由により継続の危機を迎える時期だと言われております。友人に書きなよと勧められ、読書時間が削られることを気にしつつも読書インプットの質向上のためのアウトプットと割り切って、軽い気持ちで始めたこのアフター4読書は、おかげさまで、どうにかそんな〈3年目の危機〉を乗り越え4年目に入っていくわけですが、振り返ってみると結構書き続けるのを悩んだ時期も有りました。先ずはとにかく(今もそうなのですが)ITリテラシーが低すぎて、ブログの見た目が読者フレンドリーでなくご迷惑をお掛けしているのもさることながら、当初はページビュー(PV)数を把握するやり方が分からず反応が見えないためにモチベーションを維持するのに苦労したのを思い出します。最初は当然ながら2とか3だったPV数が、まだまだ弱小ブログの域を出ませんが、それでも一番読まれている記事は1100PVを越え、トップ20でも500PVを上回っていて毎週最低でも100PVを越える程度には読者が増え、自分の書いた文章がそれだけの数の方の眼に触れているかと思うと特にアフィリエイト収入を得ているわけではないですが断然張り合いを感じます。地味にTwitterのフォロワー数を増やす努力などのSNS活動もある程度奏功しているとはいえ、やはり口コミでの読者増が大きいと思いますので、読者の皆さんに知り合いの方に宣伝してもらえるよう引き続き面白い記事を頑張って書いていこうと思います。ブログ開始当初はなんだかんだと書き溜めていた読書感想が結構手元に有ったのでネタ切れにはならないだろうと高を括っていたのですが、あっという間にストックは底を尽き、充分な数の紹介したい本に出会えなかった週には、一度のお休みからなし崩しになりかねないありがちな継続の危機に何度も瀕しました。読書関連ということで、文学女子への本紹介企画や本屋大賞予想対決企画でしのぎつつも、もうどうにもネタが無いというピンチで捻りだしたのが、自分史にかこつけたプライベートの切り売りや、その時々の雑感を記した前半の〈よもやま話〉の導入で、読書ブログ色がかなり希薄化することを心配していたのですが、意外とこれが評判となり、寧ろ後半の読書感想は全然読まないというような読者の方もたくさん現れ複雑な思いを抱えつつそれもモチベーションにしながら書き続けております。ポリコレに弱い昭和生まれの金次郎にとって、人生の前半を支えてきたやや斜に構えた発言で話を面白くする手法では最早勝負できなくなってしまった難しさを日々感じつつも(苦笑)、逆にこのブログを書く中で、不適切な表現を含まない文章でそれなりに内容を充実させる努力ができたことは、公私問わずコミュニケーションのスタイルを現代風に修正する上でとても助けになったと思っています。意外とお客様との会話のきっかけとして仕事でも活用できるという嬉しい誤算も有り、当たり前ですが、どんなことでも真面目にやっているとプラスの効果として自分に跳ね返ってくるものだと改めて認識し、人生後半戦のこれからも投げ出さずに努力を継続できればいいなと感じた3周年でした。流石につまらなさ過ぎる内容となりすみません(涙)。

さて本の話です。「君の膵臓を食べたい」で鮮烈なデビューを飾った住野よる先生の「腹を割ったら血が出るだけさ」(双葉社)は、他人に愛されることを欲するあまり、作り上げられた自分と内なる衝動のギャップに苦しむ女子高生の茜寧(あかね)が、これまで誰にも理解されることの無かったそんな自分が表現されていると思える小説「少女のマーチ」と出会い、結末で描写される救済の現実社会での再現を願って主人公の行動を実生活でなぞり始めるというお話です。もう一人、自ら描いたファンが望むであろうストーリーに自縄自縛になるアイドルの樹里亜(じゅりあ)も主要人物として登場するのですが、こちらはそのストーリーにファンが盲従してくれるわけもなく、アイドルとして自分が思うファンが望む姿、同じくファンが実際に好きな姿、自分自身の本来の姿、の間で葛藤が生まれ苦悩しており、茜寧より更に一段こじらせているなと感じました(笑)。いずれにせよ、腹を割ってしまったら傷つき血を流す結果になると怖れ、忖度を重ね社会の中のあるべき自分像を演じ続けなければならないと信じる現代の若者は本当に大変だなと辛くなりました。作品中に登場する、忖度しない、裏読みしない、自分にも他人にも嘘をつかない女装の麗人である逢(あい)は物差し的な存在として物語の軸にはなっているのですが、いかにも現実感が薄いと感じつつ、そんな風に生きられたら楽になるのかも、など考えさせられもしました。この作品には、小説にはお腹を満たす力や誰かを救う力は無いけれど、読者が経験する掛け替えの無い、他の誰の物でもない世界の一部にはなり得ると信じたい、との住野先生の小説への思いが込められております。

「優等生は探偵に向かない」(ホリー・ジャクソン著 東京創元社)は前作の「自由研究には向かない殺人」と内容が完全に繋がっており、続編というより第二部的な位置づけと言っても過言ではないので、間違いなく順番に読むのがお薦めです。色々な経験を経た高校生探偵のピップが100%ポジティブキャラであった前作から一転、随所でかなり悩んでいて、謎解きだけでなく思春期らしい瑞々しさと彼女の一段の成長への共感も味わえる作品となっております。今回はSNSを駆使した調査に加え、podcast配信も取り入れられていて、捜査手法が益々現代的になっている様子とイギリスの田舎町の牧歌的な感じがいかにも対照的で面白いなと感じました。続編も楽しみです。

「工藤会事件」(村山治著 新潮社)は北九州で猛威を振るった指定暴力団工藤会を抑え込むべく、警察と検察が異例の協力体制を取り、報復から証言者を守るために工藤会トップを何が何でも検挙、立件しようとした未だかつてないオペレーションの全貌を豊富な証言と資料に基づき解き明かしたノンフィクションです。最近は餃子の王将事件でも話題になったこともあり読んでみたのですが凄まじい内容に震えていたら、北九州市の支店に当時勤めていた銀行員の父が、支店の書類配送担当のバイクが工藤会系の組長の車と接触事故を起こしてしまい、組幹部と代車調達や迷惑料交渉で対峙するハメになったという話を聞いて更にビビりました。うちの父なかなか強者です(笑)。

そろそろ今年も終わりですが、年明けからは本屋大賞2023予想対決がスタートいたします。先ずはどの作品が候補作としてノミネートされるのか今から楽しみです。

 


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投稿者: 金次郎

読書が趣味の50代会社員です。

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