恋の追跡(ラヴ・チェイス)/欧陽菲菲(1972年)【女の修羅場歌謡 3選 ③】 | ミュージックロボットAOIの原色★歌謡曲図鑑

ミュージックロボットAOIの原色★歌謡曲図鑑

史上初!ロボット目線の歌謡曲・J-POPレビューBLOG!

逃げる恋人を追跡!!

フィーフィーのパワフル歌唱が醸し出す鬼気迫る修羅場歌謡!

「私の名前はオーヤン・フィーフィー。台湾から来たヨ。よろしくオネ・アイ・シマス!」

 

漫画家みうらじゅん責任編集の欧陽菲菲のベストアルバム「ソウルフィーフィー」には、フィーフィーMCコレクションが収録。「ダメダメダメダメ」「アンタモスキネェ」と、カタコト日本語で放たれるフィーフィー語録は、コミカルで味わい深い。

 

欧陽菲菲は、1971年、ベンチャーズ作の「雨の御堂筋」でデビュー。

オリコン9週連続1位を獲得し、136万枚のヒットを記録。

 

シングル2曲目からは、筒美京平が作・編曲を担い、ソウルミュージックの要素をサウンドに導入。そこに、アタック感強いフィーフィーのボーカルが乗っかり、「ドメスティック歌謡なのにどこか無国籍」「カタコトゆえに妙にエモーショナル」という独特のフィーフィー・ワールドを形成していた。

 

中でも3枚目のシングル「恋の追跡(ラヴ・チェイス)」は、他の人に心変わりした恋人に追いすがる女性を描いた曲。「にげるあなたをとめて!」「恋はわたせないのよぉぉ」というフィーフィーの絶唱には、女の恋への妄執が大凝縮!語尾のしゃくりや、フレーズ合間の小刻みな吐息も絶妙。フィーフィーの気合十分な歌唱が醸し出す「ただ事じゃない感」が凄まじい。

 

筒美のアレンジは、この当時、特撮・アニメソングの分野で作編曲家・菊地俊輔が多用していたブラスロックの編成。畳みかけるような切迫感あるリズムに、切れ味鋭いブラス・フレーズが絡み、「ゲッターロボ」や「仮面ライダーV3」の主題歌と「恋の追跡」を続けて聴いても、違和感がないカッコよさ!

 

逃げる男をどこまでも追跡するフィーフィーの姿は、いつしか疾走する8マンの姿とも重なり、逃走の挙句、捕まった男がガックリとうなだれ、フィーフィーに首根っこを掴まれ連行される姿すら想起させる。

歌謡曲史上、失恋に甘んじることなく追跡し奪還した女は稀。フィーフィーにしか歌い得ない修羅場歌謡の傑作。

 

「恋の追跡(ラヴ・チェイス)」

 作詞:橋本淳

 作曲・編曲:筒美京平

 

Amazon https://amzn.asia/d/3Dlc0LW 

楽天BOOKS https://books.rakuten.co.jp/rb/17277593/