同級生連続殺人事件|一緒になりたくない最悪のクラスメイト

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間中博巳/同級生連続殺人事件 日本の凶悪事件

「同級生連続殺人事件」の概要

小中学校で同じクラスになったばかりに殺されるハメになったという、恐ろしい事件が発生した。
1989年8月、間中博巳(当時21歳)は車両火災保険金詐欺の目的で、元同級生に自分の車を燃やすのを手伝わせた。その後、口封じで同級生を殺害しておきながら、その家族から「(同級生に)車を燃やされた」との嘘で大金を要求。翌月には別の元同級生を殺害し、同様の手口で家族から金を脅し取ろうとした。
息子が失踪した直後に間中が現れ、金を要求してきたことを不審に思った家族は警察に相談。間中はあっけなく逮捕となり、裁判で死刑が確定した。

事件データ

主犯間中博巳(当時21歳)
死刑:東京拘置所に収監中
共犯高山隆之(当時20歳)
懲役12年
犯行種別連続殺人事件
犯行日1989年8月10日、9月13日
犯行場所茨城県岩井市
殺害者数2人死亡
動機金銭目当て
キーワード同級生

事件の経緯

1989年8月9日午前1時10分頃、茨城県岩井市の建築業手伝い・間中博巳(当時21)は、小中学校の同級生だった無職・富山政則さん(当時21)に手伝わせ、車両火災保険金詐欺の目的で、岩井市の農道で自分の乗用車を燃やした。

その後、間中は口封じのため富山さん殺害を画策。午前1時半頃、岩井市幸田の残土置き場で富山さんの首を出刃包丁で切るなどして殺害し、遺体はその場に埋めた。

その後、電話を含め約10回にわたって、富山さんの母親に「(富山さんが)俺の車を盗んで燃やした」と偽り500万円を脅し取ろうとした。しかし、これはうまくいかず断念し、自分の車が放火されたように装い、保険会社から490万円を騙し取った。

さらに間中は、少年院で知り合った埼玉県川越市の無職・高山隆之(当時20)と共謀して、小中学校の同級生だった岩井市弓田のトラック運転手・稲葉敦之さん(当時21)の家族から金を脅し取ることを企てた。

9月13日午前4時10分頃、稲葉さんを自宅から連れ出すと、両手両足を縛ってワゴン車内に監禁。そして稲葉さんに ”間中の車を放火するように、富山さんに指示した” という内容の誓約書を書かせた。そのうえで午前5時40分頃、車内で稲葉さんの首を絞めて殺害。遺体は近くの廃棄物処理場に捨てた。

殺害後、間中は無理やり書かせた ”虚偽の誓約書” を持って、稲葉さんの自宅を訪れた。そして、家族にそれを見せつけ、「弁償しろ」と脅して874万円を要求。しかし稲葉さんの両親は、息子が行方不明になった直後に間中が「車を放火された」と現れたことを不審に思い、茨城県警・境署に相談した。

これは、富山さんの両親も同じだった。境署は、2人の同級生が行方不明になり、その両親が同様に脅迫されていることに事件性を感じた。10月14日、稲葉さんの両親に対する恐喝未遂容疑で間中を逮捕、翌日には共犯の高山を監禁容疑で逮捕した。その後の取り調べにおいて、富山さんと稲葉さんの殺害を認める供述をしたため、殺人と死体遺棄容疑でも逮捕となった。

間中の自供により、稲葉さんの遺体は10月15日に発見。さらに16日、富山さんの遺体も発見された。間中は動機について「遊ぶ金や高級車を買う金が欲しかった」と供述している。

裁判

間中博巳/同級生連続殺人事件

1990年2月21日、水戸地裁で開かれた初公判で、間中博巳被告は犯行を全面否認した。

間中被告は「富山さんと一緒にいた8月8日の深夜、少年院時代に知り合った男性Aの仲間3人と残土置き場で諍いになり、2人が富山さんを襲った」と述べた。9月13日の稲葉さん殺害事件に関しては、「富山さんを襲った2人に脅されて、ゴミ置き場前で稲葉さんを引き渡しただけ」として、監禁のみを認めた。詐欺事件については、「車を焼いたのは自分ではない」と否認した。

間中被告は恐喝未遂については認めたが、それもAの仲間に、「富山さん殺害の犯人にする、と脅されてやった」と供述。高山隆之被告は「殺人には一切関係していない」と述べた。

検察側は冒頭陳述で、事件の動機について「高級車を買い、女友達と遊ぶ金欲しさだった」とし、間中被告は受け取った保険金のうち、「190万円を高級乗用車のタイヤホイール購入などに使った」と述べた。

弁護側は、「Aは氏名、所在もわかっているが、その仲間が何者かはわかっていない」と説明。その後も弁護側は「犯行を認めた捜査段階の自白調書や上申書は、任意性に問題がある」と争った。

1994年2月14日の論告求刑で、検察側は間中被告の無罪主張について「(少年院時代の仲間のグループが殺害したという話は)裏付ける証拠もなく、刑を逃れるための虚言に過ぎない。捜査段階の自白は一貫していて、間中被告の自供で遺体が発見され、凶器なども見つかった。任意性・信用性に問題はない」とした。

その上で「人間がやったこととは思えない冷酷・残忍・卑劣な犯行」「保険金殺人や誘拐殺人に匹敵する重大犯罪なのに、反省や改悛の情も見られない。極刑求刑はやむを得ない」と述べた。

3月23日の最終弁論で、弁護側は検察側の主張に対して以下のように反論した。

  • 遊ぶ金や高級車を欲しがっていたというのは、事実に反する
  • 「放火に使ったガソリンの購入」や「富山さん殺害」は、給油所従業員の証言などから、少年院時代の仲間グループとみるのが自然
  • 捜査段階での自供は、捜査当局が行った車の燃焼実験からみてもおかしい
  • 間中被告の供述や起訴状の殺害方法は、鑑定書と合わない

そして「殺人や死体遺棄を裏付ける証拠や動機は存在せず、犯行を認めた上申書や自白調書は任意性・信用性に欠ける」と主張した。両被告も「殺人はやっていない」と改めて冤罪を申し立てた。

1994年7月6日の判決公判で、水戸地裁は間中被告に死刑を言い渡した
裁判長は、両被告の捜査段階での自白の任意性・信用性を全面的に支持。被告側が主張した「別の真犯人説」についても「不合理な弁解で、一連の犯行が自己の犯行であることを自ら表明したに等しい」と結論づけた。

車の放火の時間も争点となったが、「検察主張にいささか無理があるものの、供述の信用性が揺らぐものではなく、アリバイの主張も採用できない」とした。そして「間中被告の自己本位の身勝手な動機には酌量の余地はない。冷酷非情な非人間性・反社会性・残虐非道な凶行には戦慄を禁じえない。極めて卑劣、悪質な犯行であり、みじんも改悛の情を認められず、罪責の重大性から死刑をもって臨むほかはない」と断じた。

共犯の高山被告は、監禁以外の罪を否認していたが、懲役12年(求刑懲役15年)が確定。裁判長は「反省の態度はまったくうかがわれず、罪責は極めて重大。積極的に加担したものでないなどの事情を斟酌しても、刑は免れない」と指弾した。

最高裁で死刑確定

控訴審の公判において、1999年5月6日、間中被告は初めて殺害行為を認める供述を行った。そして2001年5月1日、東京高裁は被告側の控訴を棄却し、一審の死刑判決を支持した。

裁判長は「大金欲しさから同級生2人を次々と殺害した凶悪事件で、犯行態様も冷酷非道」と非難した。間中被告について「自白したとはいえ、自分の責任を矮小化しており、完全に反省しているとはいえない」と指摘。また、殺人罪で無罪主張していた高山被告について「殺人への関与を認めた捜査段階の供述調書は信用できる」と述べた。弁護側は上告した。

最高裁の弁論で弁護側は「若年で未熟な被告が、成り行きに流されるままに行った単純殺人。反省しており、更生の可能性があることを考慮すべきだ」と死刑回避を求めた。
検察側は「周到な準備に基づく計画性の高い犯行。責任を回避する供述を繰り返しており、反省していない」と反論した。

2005年1月27日、最高裁は「金銭目的から、悪質・非道で計画的な犯行を、1か月余りの間に2回実行しており、酌量の余地はない」と述べた。これにより、間中被告の死刑が確定となった。

現在、間中博巳は確定死刑囚として東京拘置所に収監され、刑の執行を待つ身である。

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