しばらく膝の上に乗った子猫を眺めていた私の元に散歩中の二人のご婦人が近寄ってきました。
「あらー、小さいわねー。捨て猫かしら。」
「足のところだけ白くて靴下履いてるみたいね。」
「このままじゃ食べ物もないし困ったわねー。お母さん猫もいないみたいだし。」
うーーーーーん。
少しの間、いくつかの会話をした後、私は自分でも驚く言葉を発しました。
「わたし、病院に連れて行ってみます。」
その日、私は自宅の近くにある動物病院に拾った子猫を連れて行きました。一通り検査をしてもらうと、ノミがたくさんいること、猫風邪にかかっているとのことで薬を処方されました。
自宅に帰るとベランダにつなげれていた愛犬のハナ(ゴールデンレトリバー)がいつものように目をキラキラにして全身で喜びを表しながら私を迎えてくれました。
しかし、私の後ろをとことこ付いてくる子猫に気付いた瞬間ビクッとして、もう気になって気になって仕方がない様子。子猫はかまわずハナに近づいていきました。ハナは興味はあるけど触れられない様子でわちゃわちゃしていました。
家の中にいた私の妻と二人の子供たちも異変に気付き、表に出てきました。
そうして我が家に初めての猫がやってきました。この後、私の身に異変が起きるとはこの時は予想もできませんでした。
つづく。