2017年11月16日 ー
待ちに待った大型アップデートの日だ…！
今日から始まるVer.4の為に、有給をとり俺は朝からスタンバっていた。
「ポテチよし、エナドリよーし…さぁ、新たな冒険が始まる…！」
寝巻き代わりのスゥエット姿のまま、万年床の上にあぐらをかき徐ろにPS4に火を入れる。
ストも気になるが、まずは新職業の天地雷鳴士とレベリング作業を終わらせる！
メンテが明けたあとダッシュで前日までに決めたプランをひとり黙々とこなす。
途中、フレからの誘いなどあったが…悪いがマイプラン以外に割く時間はない。
にしても…なぜ俺に声を掛けてくるフレが多いんだ？
確かに俺の使っているキャラはゆるふわえる子ちゃんだが、性別については公言していない。
まさか中の人がキラキラ女子だとでも思っているというのか！？
「めんどくせえなぁ…もう中の人がOSSANだって公表すっかな」
俺はプレイしている奴らの中身などどうでもよかった、ゲームなんかに出会いなぞ求めちゃいない。
女性キャラを選択したのは、単に操作するなら見てくれの可愛いキャラが良かったからだ。
ネカマになるつもりも毛頭ない、こんなOSSANが女を模倣するなんて身の毛がよだつ！
苛立ちながらも順調に新職業へと転職を果たし、孤独にひたすらメタル迷宮周回をしていた。
ずっと同じ作業を続けるのは億劫だ、マクロ組めばオートで出来る可能性はあるが…規約に引っかかってBANだけは避けたい。
単調作業も俺の苛立ちを後押しした…その時だった。
コマンド操作をしていた脇で、自キャラがふっとこちらに視線を合わせて、はにかんだ笑顔を見せた。…様な気がした。
「キャラ待機時のモーション追加なんてアプデ項目にあったかな？」
見間違いかと思ったが…その後もちょくちょく違うモーションを見せてくる。
時には微笑んだり、また時には涙を流してみせたりと。
「これは？もしかしてバグか？」
スマホを取り出し同様のバグ報告がないかSNSを調べてみた。
だがそれらしい報告は一切上がっていない…
訝しく思い首を傾げたそのときの事だった。
ゲームから不意にNPCがセリフを言う時の効果音が発せられた。
あのピピピピ・ピピピ・ピピピピって軽快なリズムと共に、画面上にテキストが表示される。
ファム「また…あえたね。ヌーくん、うれしいよ」
え？なにこれ？自キャラが勝手に喋っている！？そんなことあるのか！？
しぐさ…じゃない？なんだこれ…めちゃくちゃかわいい表情じゃないか…
俺はゲーム内の自キャラの愛らしいしぐさに釘付けになってしまった。
それっきり彼女が勝手に動くことはなかったが…
その時の彼女を再現しようと、俺は長く険しいネカマ道を突き進むことになるのであった。
－ Fin －
あとがき
いじれん外伝を最後までお読み頂きありがとうございます！
今回のお話は、本編の前日譚にあたります。
主人公の田沼ケンジがどうしてネカマになったのか？を掘り下げてみましたｗ
続編を書こうかなと構想してみたんですが、再び異世界転生するうまい展開が思いつかず、また思いついたとしても説得力が無いので、よくある「１期は面白かったのに２期になったとたん残念なアニメ」みたいになりそうだったので断念しましたｗ
この後はそれぞれの後日譚やら、本編でキャラクターが別の選択肢をとっていたら…？というｉｆ展開をいくつか思いついているので、そちらで本編を補完していこうかなって思います。
このは先生の最新作が読めるのは…(@heartfullmoon07)だけ！
まとまったら若干の加筆と推古をしたあと、ブログにもアップしていきますね♪