漫画好きはロクな大人になれない?「ボーダレスネーム」あらすじと感想(ネタバレ)
過去のトラウマから“ロクな大人”を演じてきたアラサー女子が、もう一度夢に踏み出す物語―。
ジャンプ作品らしからぬ絵柄が目を引く谷中分室さんの漫画、「ボーダレスネーム」をご紹介します。あらすじや感想を書くなかで、1巻のネタバレを含むことをご容赦ください。
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「ボーダレスネーム」あらすじ
何事も上手くやってきたけど漠然と将来への不安を抱くアラサー女子のお仕事漫画。
こどもの頃に自分が描いた漫画を破り捨てられたのがトラウマで、夢みることをやめてしまった亜生(あお)。
社会人10年目になった亜生は、何事も上手くこなす「ロクな大人」へと成長。広告代理店に勤務し平穏な日々を過ごすも、このままでいいのかと将来への不安を抱いていた。
そんな中、昔捨てたはずの“夢”である「漫画」に仕事で携わることに。最初はいつも通り無難な仕事をしていた亜生だったが、もういちど“夢”に向き合うことで自分がしたいことがなにかを思い出す。
そして、自分の夢を叶えるため新たな世界へと踏み出していくのだった―。
「ボーダレスネーム」感想
女性向けっぽいけど正真正銘のジャンプ漫画
一見少年漫画っぽくないけど、ジャンプ三原則「友情・努力・勝利 」がしっかりと詰め込まれたアツい作品。
大人になってから夢を追うのはとてもリスキーで怖いもの。アラサーにもなると、若い頃のようにただがむしゃらに頑張ることができない。ものごとのスケールを把握し、自分に余力が残るよう動く。それは悪いことではなく、これまでの経験から現実的に考えてしまうだけ。
なので、これまで築いてきたやり方で妥協せず全力で仕事に打ちこむ姿はかっこいいし、ふたたび夢を追う主人公の姿は眩しく見える。
そしてその夢をいっしょに目指せる仲間の存在はデカい。ひとりじゃ乗り越えられない壁も、仲間がいれば越えられるかもしれない。
主人公は一度捨てた夢を取り戻し、“大人”ならではの葛藤に悩みながらも仲間といっしょにゴールを目指して奮闘する展開は、まさしく少年漫画の王道ストーリーといえるだろう。
漫画好きを全力で肯定してくれる
漫画を敵視する人も少なからず存在する。それが自分の親や兄弟だったらと思うとゾッとする。
私は漫画が好きだし、これまで何度も胸が熱くなりボロボロと涙したこともある。そんな感動を否定されるのは悲しいことだ。
そんな漫画好きの大人たちを「大人だって漫画が好きでいいんだよ」と肯定してくれるような演出に心打たれた。
七尾さんが素敵上司すぎる
上司の七尾さんがすっごく良い上司で好き!無茶振りするけど、それはお前ならできると思って振ってきてると思うし、もしもの時のために代案も作ってくれたり差し入れくれたり優しすぎる…!!
それに仕事が好きだと笑って言えるところも素敵。難しさも理解したうえで楽しめるのは理想だなと思う。
部下にたいして、怖がらずにチャレンジしてみろ、経験は武器になるからなんてなかなか言えない。普通なら部下に失敗されたくないだろうし。なのにやってみろと言える懐の深さがかっこいい。
上司として以前にキャラ的にもかなり好みでもあるけど…!
「ボーダレスネーム」詳細
さいごに
谷中分室さんの「ボーダレスネーム」をご紹介しました。
少年漫画の主人公って、どんな絶望的な状況に立たされても努力して乗り越えたり、ほんとうに諦めが悪いですよね。だからこそ、彼らを思い出すと勇気をもらえるし励まされます。
普段なにげなく読んでいる漫画に、自分がどれだけ救われているか気づかされる1冊です。
「ボーダレスネーム」は少年ジャンプ+で隔週金曜日に更新されています。最新2話が無料で読めるので先が気になる人はそちらをチェックしてみてください!