皮膚科の豆知識ブログ

日々の小さな疑問を解決する論文を紹介。講演、お仕事の依頼は「お問い合わせ」からお願いします。

はじめに---このブログについて

「皮膚科の豆知識ブログ」は日々の小さな疑問を解決する論文を紹介するブログです。

皮膚疾患は数が多く、大規模スタディがほとんど行われていません。そのため診療は経験に基づいて行われエビデンスは軽視されがちです。

そこで、このブログでは皮膚科診療にまつわる様々なエビデンスを紹介していきたいと思っています。

記事の一覧はこちらから御覧ください>>サイトマップ

 

ご意見、お問い合わせ、お仕事(講演等)の依頼などはこちらからお願いします>>お問い合わせ

 

またTwitterで更新情報と過去記事を発信しています。ぜひフォローしてください。

 

↓↓読者登録はこちらから

follow us in feedly

 

新刊の参考書籍③「循環器病治療薬ファイル」

この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されました。

診断+治療を完全攻略 皮膚疾患データブック

 

この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。

 

 

このブログではこれらの本を紹介しながら、私の著書の内容を解説したいと思います。

今回は「循環器病治療薬ファイル」です。

 

循環器病治療薬ファイル

診療のマニュアル本には、それぞれの疾患の処方例が簡潔にまとめられています。

しかし実際の現場では迷ってしまうことが少なくありません。

その理由は処方例が列挙されているだけで、どの薬を選ぶのか、なぜその薬を選ぶのかが書かれていないからです。



「循環器病治療薬ファイル」が他のマニュアルと一線を画すのは「行間」が書かれていること。

処方例だけでなく、薬剤選択の根拠となるデータがきちんと記載されています。

 

不安定狭心症から心筋梗塞への進展予防率はβ遮断薬は13%だが、カルシウム拮抗薬は4%となっている

 

そのため大変理解しやすくなっています。

 

また科学的裏付けがない場合も、そのことが明記されているのが特徴です。

 

どのくらいの用量がいいのか、確固たる根拠がどこにあるかは探し出せなかった

 

カルベジロールかビソプロロールか、どっちを選ぶかというと、ほとんどはどちらでもよい

 

このように根拠がないことまでしっかり書かれた教科書はほとんど見たことがありません。

そしてそのような場合も、著者の経験から一定の指針が与えられています。

 

さらに面白いのは「切れ味」や「手ごたえ」など、薬の使用感が書かれていることです。

 

Ic群薬はⅠa群薬より切れ味がよい

 

RAS抑制薬は倍量にしても効果の増加は実感できない

 

このように豊富な経験とエビデンスが融合して、臨床に今すぐ役立ち、さらに読み込んでも面白い本となっています。

 

皮膚科の薬の使い方

しかし皮膚科の分野では、このような本は多くはありません。

そこで今回の書籍は薬の使い方について一歩踏み込んで記載することを心がけました。

 

できるかぎり薬剤選択の根拠となるデータを示し、根拠がない場合は著者の経験を元に解説しています。

これまでの皮膚科のマニュアル本とは違ったものになっているのではないかと思います。

是非手に取っていただき、感想やご意見をいただけましたら嬉しいです。

 

新刊の参考書籍②「膠原病診療ノート」

この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されました。

診断+治療を完全攻略 皮膚疾患データブック

 

この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。

 

 

このブログではこれらの本を紹介しながら、私の著書の内容を解説したいと思います。

今回は「膠原病診療ノート」です。

 

膠原病診療ノート

研修医のときに購入して大変有用だった書籍です。

膠原病は教科書通りの解説だけでは説明のつかない病態も多く、教科書やマニュアル本が役に立ちにくいと感じていました。

そんなときに勧められて購入したのが「膠原病診療ノート」でした。

 

この本が他書と違う点は、豊富な経験とエビデンスにもとづいて叙述的に書かれていることです。

実際に何をすればよいのかが、かなり具体的に、その理由とともに明記されています。

 

ステロイドの薬理作用が最も安定して得られるルートは経口投与といわれる。したがって投与法は可能な限り経口とする。

 

多くの文献で、癌が診断されたのはDM診断の前後1~2年に集中している。臨床実地上、DM診断時に検索して癌がない例には、その後の癌発生を監視し続ける根拠はない。

 

CK値が明確に低下しはじめれば、正常化を待たずPSLは2週間ごとに10%減らしてよい。これは有用な経験則である

 

 

さらに通常の教科書には記載されていないような、診療の根底にある「思考回路」や「考え方」も丁寧に解説されています。

 

減量法を論じる前に、SLEは再発させたら危険だ、ということを知っておく必要がある。

 

強皮症と皮膚筋炎は初期の段階で予後を予想しやすいのだが、SLEは先が読めないという違いがある。

 

そのため研修医の私にも診療の全体像をイメージすることができました。

 

皮膚科診療の思考回路や考え方

現在は膠原病分野の良質な入門書がたくさんあるようですが、当時はこのような叙述的な本は少なく、内科ローテート中は繰り返し読んでいました。

そしてその内容は今でも自分の診療のベースとなっています。

 

その後、皮膚科医になり、同じような皮膚科の教科書を探しましたが、「思考回路」や「考え方」まで解説した叙述的な本はほとんどありませんでした。

それなら自分で書くしかない。

 

マニュアル本でみられる言葉の羅列ではなく、自身の経験も交え病気の全体像をイメージできる本。

そんな書籍を目指し本書は誕生しました。

是非手に取っていただき、感想やご意見をいただけましたら嬉しいです。

 

つづく

www.derma-derma.net

 

新刊の参考書籍①「フレームワークで考える内科診断」

この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されました。

診断+治療を完全攻略 皮膚疾患データブック

 

この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。

 

 

このブログではこれらの本を紹介しながら、私の著書の内容を解説したいと思います。

まずは「フレームワークで考える内科診断」です。

 

フレームワークで考える内科診断学

「フレームワークで考える内科診断学」は内科診断の教科書です。

 

この書籍の特徴は、診断の過程を解剖学・生理学などに基づいたフローチャートで解説していること。

 

たとえば「胸痛」であれば、まず心臓由来なのかそれ以外の原因なのかで大きく 2 つに分類します。

 

胸痛

  1. 心臓由来
  2. それ以外

 

そして心臓由来に関してはさらに急性冠症候群とそれ以外の 2 つに分け、心臓以外についても肺、消化管、筋骨格、それ以外の 4 つに分類。

 

心臓由来の胸痛

  1. 急性冠症候群
  2. それ以外

 

というように小分けにして、鑑別診断を体系的に挙げていく方法をとっています。

 

羅列的に診断名を挙げていくアプローチとは異なり、アルゴリズムに沿って進めることで、体系的に疾患を絞ることができます。

私のように内科診療に慣れていない者にとって、このような診断アルゴリズムは大変有用でした。

 

皮膚科の診断アルゴリズム

「フレームワークで考える内科診断学」に限らず、多くの診療分野でアルゴリズムが用いられています。

ところが皮膚疾患の診断については、「正確な用語で皮疹の性状を記載する」ことの重要性ばかりが強調され、体系的な診断法が紹介されることは多くはありません。

 

そこで今回の書籍は、ミネソタ大学皮膚科のLynch教授が提唱した非皮膚科医のための診断アルゴリズムを参考にして構成しました。

 

皮膚所見を大きく3つに分類して診断を絞っていくアプローチ法で、従来の原発疹・続発疹からのアプローチよりも簡便でわかりやすいものになっています。

(アマゾンのサンプルページより)

 

このLynchアルゴリズムを活用することで、直感や記憶力に頼ることなく、客観的で正確な診断に至ることができると思います。

是非手に取っていただき、感想やご意見をいただけましたら嬉しいです。

 

つづく

www.derma-derma.net

 

新刊の紹介「皮膚疾患データブック」

この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されます。

診断+治療を完全攻略 皮膚疾患データブック

 

みなさんは皮膚科のマニュアル本を読んで、このような感想を持ったことはないでしょうか?

 

・病名がわからないから、どこを調べてよいかわからない

・記載が簡潔すぎるので、記憶しにくく診療のイメージが持てない

 

「皮膚疾患データブック」は、これらの問題を解決するために執筆した皮膚科診療のマニュアル本です。

 

巷には診療に関するマニュアル本が溢れています。必要最低限の知識が簡潔にまとまっていて、手元に置いておくと安心感があります。

ですが先程述べた問題点から、いまひとつ実践的ではないことも多いと感じます。

これらを解決するために本書では2つの点を工夫しました。



特徴①:体系的なアプローチ法

マニュアルには各疾患については記述してありますが、診断にたどりつくまでの体系的なアプローチ法が書かれていません。

病名が分かれば治療法を調べることはできるのですが、診断がつかないのでマニュアルが使えない。

そんなケースは案外多いと感じます。

 

そこで今回の著書は体系的なアプローチ法を紹介し、それに基づいて構成しました。



内科診断学の分野では様々なアルゴリズムが用いられています。

ところが皮膚科の分野では「正確な用語で皮疹の性状を記載する」ことの重要性ばかりが強調され、体系的な診断法が紹介されることはほとんどありません。

 

ですが皮膚疾患診断のアルゴリズムがないわけではなく、その中でも初学者にも理解しやすいと思われるのがLynchアルゴリズムです。

「水疱があるか?」、「赤いか?」の2つの質問から皮膚疾患を3つに分類するアルゴリズムで、従来の絵合わせ、直観的診断よりも体系的に診断にたどりつくことができるはずです。

 

加えて鑑別診断をただ列挙するのではなく、疾患の頻度や危険度から鑑別の優先順位を記載しました。

これによって診断プロセスをより論理的に理解しやすくなっていると思います。



特徴②:叙述的な記載

また従来のマニュアルが実践的ではないもう一つの理由は、なぜその治療を選ぶのかという根拠の記載がないことにあります。

画一的で無機的な文章が並び、その行間を読めなければ無意味な丸暗記になってしまい応用が効きません。

 

そこで本書では、エビデンスと著者の経験を交えて叙述的な記載を心がけました。

現場のコツやピットフォールをなるべく具体的に示し、診療の全体像をイメージしやすいように工夫したつもりです。

また「多い」、「少ない」などの抽象的な表現だけではなく、できる限り具体的な数字を記載するようにしました。

 

2月28日発売でアマゾンで予約開始しています。

診断+治療を完全攻略 皮膚疾患データブック

 

今回の執筆にあたって、これまで読んできた内科の良書のエッセンスを詰め込んだつもりです。

 

 

次回の記事では、それらの本を紹介しながら、新刊の内容をもう少し詳しく説明していきたいと思います。

つづく

www.derma-derma.net