自己免疫疾患に内服ステロイドを使用する際、症状が改善した後も急に中止せず漸減するのが一般的です。
そして減量の際、副作用を軽減するために間歇投与(2日に1回など)が行われます。
外用薬を使用する場合にも漸減は必要なのでしょうか。
そして間歇投与で副作用は軽減するのでしょうか。
ステロイド外用薬を漸減(間歇投与)した論文を見てみましょう。
副作用
まず副作用に関してアトピー性皮膚炎の論文を見てみます。
Br J Dermatol. 147(3): 528, 2002(PMID: 10354080)
ステロイド(very strongクラス)の外用で皮疹が消退したアトピー患者348人の調査です。
プラセボ群119人とステロイド群229人に分けられ、もともと皮疹があった部位に対して以下のような間歇外用が行われました。
週4回外用1か月間→週2回外用4か月間
結果ですが、いずれの群でも皮膚萎縮は生じておらず、副作用に関しては有意差はなかったようです。
【副作用】
・プラセボ群:皮膚萎縮0%、皮膚感染症12%
・ステロイド群:皮膚萎縮0%、皮膚感染症14%
(有意差なし)
週2回の外用であれば、長期間使用しても副作用は少ないと考えてよさそうです。
漸減の有効性
次に漸減の有効性について見てみます。
アトピー性皮膚炎
先ほどのアトピー性皮膚炎に関する論文です。
Br J Dermatol. 147(3): 528, 2002(PMID: 10354080)
以下のようにステロイド間歇外用を行った群では再燃率が低くなっています。
【再燃率】
・プラセボ群:66%
・ステロイド群:25%
(P<0.001)
つまりアトピー性皮膚炎では、ステロイドの漸減が有効(漸減せずに中止すると再燃する)とわかります。
手湿疹
次に手湿疹に関する論文を見てみましょう。
Br J Dermatol. 140(5): 882, 1999(PMID)10354026
ステロイド(very strongクラス)外用で症状が改善した手湿疹患者106人の調査です。
A群(ステロイド週3回外用)、B群(ステロイド週2回外用)、C群(外用なし)の3グループに分けられ、9カ月間の再燃率が調べられています。
【再燃率】
・A 群 (ステロイド週3回外用):17%
・B 群(ステロイド週2回外用) :32%
・C 群 (外用なし):74%
やはり外用を中止すると多くの患者が再燃していますが、ステロイドを漸減した患者は再燃が少なくなっています。
まとめ
以上の結果からアトピーや手湿疹では、ステロイド外用薬を漸減したほうがよさそうです。
また週2回の外用であれば副作用は少なく、比較的安全に使用することができます。
ただ間歇投与をどれくらいの期間続けたらよいかについては、まだはっきりしたデータがないようです。