高校野球2025年の勢力図は「3強」の様相、それに続くのは? “センバツ絶望組”で期待持てる学校も
春のセンバツ高校野球は健大高崎(群馬)、夏の全国高校野球選手権は京都国際(京都)といずれも初優勝のチームが誕生した2024年の高校野球。大きなトピックスとしてはやはり低反発となった新基準の金属バットの導入が挙げられ、春、夏の甲子園ともにホームラン、長打が大幅に減少する結果となった。そんな中で、2025年の高校野球界をリードするチームはどこになるのだろうか。
まず真っ先に名前が挙がるのが横浜(神奈川)だ。センバツの前哨戦とも言える明治神宮大会では松坂大輔(元西武など)を擁した1997年以来、実に27年ぶりとなる優勝を果たすなど、新チーム結成後の公式戦では15連勝を記録している。そんなチームの最大の強みは強力な投手陣であり、特に1年生ながら高い注目を集めているのが織田翔希だ。
関東大会、明治神宮大会では6試合全てに登板し、39回2/3を投げて自責点4、防御率0.91という見事な成績を残した。体つきはまだ細身だが、ストレートはコンスタントに145キロ前後をマーク。腕を振って緩いカーブとチェンジアップを投げることができ、緩急を使ったピッチングは安定感十分だ。1年生の時点では松坂よりも明らかに上という声も多く、甲子園デビューとなる春のセンバツでもそのピッチングに注目が集まる。
背番号1を背負う奥村頼人(2年)も来年のドラフト候補として名前が挙がるサウスポーで、安定感は申し分ない。また明治神宮大会では登板がなかったものの左腕の片山大輔(2年)、右腕の前田一葵(2年)なども140キロ前後のスピードをマークしている。投手力では間違いなく全国でも屈指であることは間違いないだろう。一方の野手陣も秋は少し得点力に課題を残したが、守備や走塁面などはしっかり鍛えられている印象を受ける。冬の間に打線を強化できれば、2006年春以来の甲子園制覇も見えてくるだろう。
横浜に続く存在としては東洋大姫路(兵庫)と健大高崎(群馬)を挙げたい。東洋大姫路は履正社で多くの実績を残した岡田龍生監督が2022年4月に就任し、そこから着実にチームが強化されてきた印象を受ける。この秋は近畿大会で優勝を果たすと、明治神宮大会でも2勝を挙げ、準決勝では優勝した横浜と延長タイブレークの接戦を演じた(延長11回の末に1対3で敗戦)。
チームの大黒柱はエースの阪下漣(2年)だ。近畿大会、明治神宮大会の7試合全てに登板し、46回2/3を投げて自責点3、防御率0.58をマーク。高い制球力は高校生離れしたものがあり、終盤まで球威の落ちないスタミナも魅力だ。横浜ほど豊富な投手陣を抱えているわけではないが、左腕の末永晄大(2年)も明治神宮大会では二松学舎大付(東京)を相手に6回を無失点と好投。さらに上位から下位までパンチ力のある打者が揃う打線も強力だ。出場が決定的となっているセンバツ高校野球でも優勝候補となることは間違いない。
今年春のセンバツで優勝を果たした健大高崎は野手のレギュラーの大半が入れ替わったが、それでも関東大会では決勝で横浜と延長タイブレークの接戦を演じるなどさすがの力を見せた。エースの石垣元気(2年)は150キロを超える本格派で、さらに左腕の下重賢慎(2年)も試合を作る能力が高い。野手では捕手の小堀弘晴(2年)が攻守に高い能力を誇り、足を使える選手が多いのも強みだ。今年春のセンバツで背番号1を背負っていた佐藤龍月(2年)も夏には復帰する可能性が高いと見られており、そうなればセンバツだけでなく、今年逃した夏の頂点も十分に射程圏内に入ってくるだろう。
明治神宮大会に出場したチームでは矢吹太寛(2年)、高橋英汰(2年)と左右の好投手を揃える東海大札幌(北海道)、エースの池崎安侍朗(2年)が抜群の安定感を誇り、伝統の堅守が光る明徳義塾(高知)などもセンバツで上位を狙える戦力がありそうだ。
明治神宮大会出場を逃したチームでは青森山田(青森)、智弁和歌山(和歌山)の2校も面白い。青森山田は旧チームからのメンバーが多く残り、特に内野陣はセカンドの蝦名翔人(2年)、サードの菊池伊眞(2年)、ショートの伊藤英司(2年)など力のある選手が揃う。投手陣が力をつけてくれば、今年以上の成績も狙えるだろう。智弁和歌山は渡辺颯人(2年)、宮口龍斗(2年)の本格派右腕2人を揃える。ともにストレートは140キロを超え、継投のパターンが確立されていることが大きい。また捕手の山田凜虎(1年)など1年生に好素材が多いのも楽しみだ。
センバツ出場が絶望となってしまったチームでは仙台育英(宮城)、浦和学院(埼玉)、東海大相模(神奈川)、京都国際(京都)、大阪桐蔭(大阪)なども力のある選手が多いだけに、春以降に巻き返してくる可能性も高いだろう。また新基準の金属バットも導入2年目となるだけに、今年以上にしっかり対応した打撃を見せてくれるチームが増えてくることを期待したい。