「頭が痛すぎて…」と、
60代半ばくらいの
男性が、
10時半くらいに
私の治療院に来院された。

既に、
お1人、治療中ではあったが、
ただならぬ様子に
待合室に入っていただき
問診。

3日前から
頭痛で、
昨日病院に行ったが
何ともないと
言われて、私の治療院前の
庭の湯の中の
癒し所でマッサージを
したが頭痛が、
激しくなったと…

これは血圧だと思い、
聞けば、昨日病院では
130/85だったと…

身長は180以上、
体重も100キロ以上あると
見受けられた。

ベッドに横になってもらい、
脈診をしたが、
沈脈で、かなり早く、
三焦経が触れない…

息絶えだえで、
こちらの質問と、
答えが上手く噛み合わない。

病院では血圧計は
電子だとのこと。

電子は正確に測れない事
もあるので、

私が愛用している
昔ながらの水銀柱の
血圧計で
測り直してみた。

170/120

やっぱり…

おまけに首に
ブロック注射の跡が…

ブロック注射を打っても
痛みが治まらないのだ。


私は救急車を
呼ぼうとしたが、
患者様が嫌がるので

近所の、
私が赤ん坊の頃からある
高橋医院に
スタッフに付き添わせ
行ってもらうことにした。

途中、
何度もしゃがみ込んだ
ようだ。

高橋医院は、
先代は内科・皮膚科、
2代目は
田園調布の脳外科医さん
に嫁ぎ、
わざわざ豊島園まで
通って来て下さる、
内科小児科の
のんちゃん先生。

丁寧に患者さんの話を
聞いてくれて、
子育て中のママさん達
にも人気。

もちろん、
私も、色々話のできる
主治医でもある。

こういった
町医者との連携を
とっておかないと、
万が一、の場合
我々鍼灸師では
どうにもならないことも
あるので、
重要な事である。

常に、命に関わる
仕事をしていると
意識していないと
ならない。

この
患者さんも
私の治療院の戸を叩いて
いなければ…
脳溢血で、倒れていたかも
しれない。

後日、
のんちゃん先生に
お電話した所、
大学病院を紹介
してくださり、
その場では
降圧剤を投与された
ようで、
患者さんからも、
お礼のお電話を頂いた。

お役に立ててよかった…

鍼灸治療するだけが、
私達の仕事や人助け
ではない。

来院された方の状態を
察知して、
的確な判断をし、
行動しなければならない。

それにしても、
電子血圧計を
全面的に信用
していないのは、

仲の良い
元、ケーキ屋の池田さん
が、目の前で、
新品の電子血圧計で
自分の血圧を測りながら
「1回目と2回目、いつも違うんだよ、やっぱり機械は信用ならない」
と、自分の腕だけが頼り
だった職人さんらしい
事を話されていた
事もあるが、


私自身も、
機械にはあまり信頼を
置いていない…

だから、血圧ひとつ測る
にも、自分の耳が頼り。

鍼灸師も職人。

鍼灸師も、僧侶も
命に関わる仕事…

 

それから、

血圧が高いときは

頚周辺をマッサージするのは

危険であることを

追記しておく。