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【実質52%】年金の84%割増は税金と社会保険料を考える必要がある

年金受給のタイミングについて

 年金制度改正法は年を重ねるごとに改正がされてます。

 ・被用保険者の範囲拡大

 ・在職中の年金受給の見直し

 ・受給開始時期の範囲拡大

 ・確定拠出年金の加入要件の見直し

 昨年で言えば、改正されて施行されたのは大きく分けるとこの4つになります。

 今、現役で働いている給与所得者にとって最も影響があるのは、「受給開始時期の範囲拡大」です。受け取り時期によって年金受給額が変わるということは、資産形成に大きな影響を及ぼすからですね。

 ・年金受給のタイミングによって受給金額が変わる

 ・年金受給金額によって、退職年齢を考える必要がある

 このようなことは、年金受給が老後の柱となるような多くの方の資産形成の方向性や金額の大小に多分に関わってきます。

 ・年金受給開始時期の範囲拡大

 ・年金受給開始を遅らせるメリット

 ・年金受給金額が増加するデメリット

 今回は、年金制度改正法による、受給開始時期の範囲拡大についてこの3点を中心に考えてみたいと思います。

年金受給開始時期の範囲拡大

 公的年金の受給開始年齢は原則65歳からですが、現行制度では希望すれば、60歳から70歳の間で年金受給を選択することができます。

 そして、昨年の年金制度改正法によって、60歳から75歳までの間で選択することができるようになりました。

 65歳より前に年金受給を開始すると、年金受給額は引き下げられますが、65歳以降に年金受給すると、年金受給額は割増しで受給することができます。

 ・繰り上げ受給 1か月ごとにマイナス0.4%(2022年4月までは0.5%)

 ・繰り下げ受給 1か月ごとにプラス0.7%

 受給率は65歳時点を起点としてこのようになります。

 ・60歳で年金受給 マイナス24%

 ・70歳で年金受給 プラス42%

 ・75歳で年金受給 プラス84% ←NEW

 今回の年金制度改正法によって、年金受給を遅らせた場合、最大で84%割増しの年金が75歳から受給できるということです。

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出典 Yahoo!ニュース

年金受給開始を遅らせるメリット

 年金受給開始を遅らせる最も大きなメリットは年金を割増で受給することができるということです。

 年金は早く受給すれば、長期間に渡って受け取ることができますが、受給開始時期を遅らせることによって、1年間ごとに8.4%増しになります。1年間で8.4%のリターンというのは、非常に魅力的ですね。

 ・過去30年間のS&P500の平均リターン 9.89%

 ・過去30年間の日経平均の平均リターン 0.18%

 株式投資の過去のリターンと比較しても、8.4%の利回りというのがいかに優れているかということがわかります。

 ・株式のリターンは予測できない

 ・株式のリターンは単年で見ればマイナスになることがある

 このようなことを加味すると、年間8.4%の利回りが確定している年金の繰り下げ受給というのは、非常に優れたリターンと言ってよいですね。

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出典 マネックス証券

年金受給額が増加するデメリット

 利回りが非常によく、リターンも期待できる年金の繰り下げ受給ですが、年金額が増えることによるデメリットも存在します。それは、社会保険料と納税額が大きくなり、年金の手取りが減少するということです。

 厚生労働省年金局によると、厚生年金受給額の平均月額は男性は16.6万円となっています。この場合、税金と社会保険料の負担額は月0.6万円です。

 しかし、75歳での年金受給をすると、平均月額は30.5万円となり、税と社会保険料は月3.6万円ほどになります。

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出典 国税庁 公的年金の課税関係

 ※実際には住民税は各自治体によって異なるので、イメージを掴むための非常にザックリとした計算です

 ・65歳受給 199.2万円(年間受給額)-7.2万円(年間の税・社会保険料)=192万円

 ・75歳受給 336万円(年間受給額)-43.2万円(年間の税・社会保険料)=292.8万円

 税金と社会保険料を加味すると、実際の割増率は52%ほどになるということです。

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年金受給のタイミングは非常に難しい。しっかりと考える必要がある。

YOHの考え

 年金受取開始年齢を繰り下げれば、年金受給額は増えるのですが、思ったほどの割増率にならないことは頭に入れておく必要があります。社会保険料と税負担を考慮する必要があるということですね。

 ・住民税非課税世帯になるように調整する

 ・最も節税効果が高いよいタイミングで受給する

 ・損益分岐点を考え抜く

 このようなことは、かなりの専門的知識がなければ難しいといってよいですね。しかし、そこまで考える必要はないと私は考えています。

 ・老後生活の足しになればよい

 ・自身の知識不足で大きく減額されなければよい

 私は、年金受給に関しては、このぐらいで構えておくようにしています。年金法改正に全く無知ではいけないが、考えすぎてもしょうがないぐらいのスタンスですね。

 実際に、年金法改正は今後も行われていくことは間違いないし、私が受給するころにはどのようになっているかわかりません。

 ・受給額は減額

 ・受給開始年齢は上昇

 ・年金受給者の税負担、社会保険料負担は増加

 こうなっているのは間違いないでしょうが、どの程度になるかはわからないということです。

 現在のところ、私自身は税負担が重くなっても、年金受給開始年齢はできるかぎり繰り下げて受給する方がよいと考えています。単純に月の手取り額が増えるからですね。月に25万円以上受給できるのであれば、生活に困ることはまずありません。

 その結果、繰り上げ受給した時よりも損をしても良いということです。年金は保険商品なので、セーフティーネットの役割を果たしてくれれば、掛金の元を取るものではないという考えです。

 ご覧いただきありがとうございました。

 厚生年金を金融商品として考えた場合、内部収益率は良いものとは言い難い金融商品です。元を取ることが極めて難しいということです。

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 GPIFは年金積立金を管理運営しています。現在のところ、年金支給に積立金は使われておらず、管理運営は極めて健全になされています。

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