貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

エレメーファイト(ジェレメジェバイト)

2021-12-02 20:58:29 | 単品

アルミ単独塩基の鉱物。



普通、ジェレメジェバイトと表記されることが多いけれど、この「まじぇまじぇバイト」みたいな名前(全然似てないだろ)、やめてほしい。
英語表記は Jeremejevite。まあ普通に読めばジェレ何とかだろうだろうけど。
石名はロシアの鉱物学者イェレメイェフさんから来ているとのこと。この人の名前、キリル文字を普通にローマ文字に直すと Eremeev。ロシア語だと e はイェになるのかな。
で、ドイツ語圏の連中お偉い方々が、よしゃあいいのに原音に近づけるべく je と転綴したのだろう。ドイツ語では je はイェかもしれないけど、英語ではジェ。で、それを読むとジェジェ!となる。経緯がひねくれていておかしい。
和名の「エレミア石」はもっとおかしい。それじゃ古代イスラエルの預言者だ。人名をできるだけ忠実に読むのなら「イェレメイェフ石」、面倒だから妥協して「エレメエフ石」でないとおかしい。全部カタカナならイェレメイェファイトないしはエレメエファイト。宝石業界ではエレメーファイトと表記するみたい。さすがにまとも。
ああめんどくさい。

組成は Al6[(F,OH)3|(BO3)5]。基本的にはアルミニウムのホウ酸塩。
ホウ酸塩鉱物というのは、観賞石としては珍しい。メジャーな石はじぇんじぇんない。(なんで訛る)トルマリンがホウケイ酸塩鉱物だけど分類はケイ酸塩。そういう意味では貴重な石。何と言ってもケイ酸を拒否している野党ですからすごい。その栄誉を称えて和名も「礬硼石」とかにすればよかったのに。
ここにくっついている (F,OH) というのはどっかで見たな。……そうだ、トパーズ。Al2SiO4(F,OH)2。OHタイプがインペリアルトパーズ。ヘルデライト(Herderite)Ca,Be[PO4](F,OH) なんてレア石もある。何だよこの (F,OH) ってやつ。わからん。

ホウ素というのは、工業的にも生物学的にも非常に重要な元素。ガラス製造にも必要。人間には毒性がないが昆虫などには毒なので殺虫剤にも使用される。昔は眼病の時はホウ酸水で洗ったものだ。(古っ)ゴキブリ用の硼酸団子とか。
工業用ホウ素はかつては硼酸石(Sassolite、サッソライト、H3BO3)(ホウ酸そのまんまやん。殺鼠石ではないのね)から採取されたが、現在は次の4つの鉱物が主体となっている。
 ・ホウ砂(Borax) Na2B4O5(OH)4・8H2O
 ・ウレキサイト(Ulexite、曹灰硼石、テレビ石) NaCaB5O6(OH)6・5H2O
 ・ケルナイト(カーナイト、Kernite) Na2B4O7・4H2O
 ・コールマナイト(Colemanite、コールマン石) Ca2B6O11・5H2O
だいたいが湖水が干上がって生じる蒸発堆積岩みたい。
ちなみにこれ、コールマナイト。普通は白いけれど、なぜか茶色。けどあちきの目には紫っぽく見える。ちょっと珍しいかもしれない。五反田産900円。ちびっちゃい結晶があってかわいい。


エレメーファイトは発見はシベリアだけれども、美結晶の産出はナミビアのエロンゴ山だけで、火成岩の晶洞からごく稀に出るらしい。

稀少性と美しい青に加えて、このややこしい名前で、コレクターの垂涎の的になっている。ああ、あのくそむずかしいジェジェね、と。(そんなこと言うやついねーよ)
なんかアニメがどうたらこうたらという話もあるけど、あちきは知らない。(ジジイだものね)
まあお高いからあちきには縁のない石と思っていた。
ところが……(もったいぶるな)またまたエヌズミネラルさんの25%オフの魔の誘惑。またまた血迷って買ってしまった。(ずいぶん頻繁に血迷うね)大台には乗らなかった。(君の大台はしょぼいぞ)

高級品ではないから小さい。色も濃くはない。けれど清楚な澄んだ青が浮かぶ。しかも方向変色で濃くなったり消えかかったりする。黄色や紫もちらつく。
なるほど、これはみんな欲しがるわけだ、と納得。
両錐結晶というのもいい。小さな結晶が束になって、その繊細さが美しい。

その後、あちこちのサイトで並んでいる写真をさあっと眺めるていると、あ、これ、と気がつくようになった。この色はやはり特別らしい。ブルートパーズがちょっと近いかもしれないけれど、こっちのほうが明るく鮮やかな感じ。
まあ、高くてもしょうがないですね。


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