貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

パエジナ・ストーンとしのぶ石

2023-01-22 08:47:34 | 単品

(また一週間持たなかったじゃんw)
まあ、石禁というのは破るためにあるものでして。(居直ったなw)
新宿紀伊国屋書店内の東京サイエンスさんが、ミュンヘン仕入れ品のフェアをおやりになるというので、ちょっと覗いてみようかななどと思ったのがいけない。(いけませんねえ)
ほんとに石禁するならネットもお店も見ないようにしないといけない。しかしそれでは人生あまりにも淋しい。で、見たらこういうことになる。(要するに意志薄弱ということでしょ)
まあ石禁をして悶えて、それを破って落ち込んで、預金通帳を見て青ざめて、というのもまた石集めの醍醐味。そういう苦悩こそが魂を鍛えるのだよ。(呆れた物言い)

で、パエジナ・ストーンがお手頃価格でどっと出ていたので、意志薄弱が発動して、買ってしまいました。普通は万単位のものが千円単位で出ているのだからしょうがない。

パエジナ・ストーンは、イタリア国トスカーナ地方で採れる模様入り石灰岩。別名「廃墟大理石」だそうで。模様がそういう感じで見えるからでしょう。「フィレンツェ石」とも言うらしい。トスカーナは昔々行ったことがあって、隣のウンブリアも併せて、あちきには世界で一番美しい土地のように思えました。フィレンツェ、シエーナ、サンジミニャーノ、アッシジ……死ぬ時はアッシジでなどと。(中二病乙)
この石をめぐる蘊蓄はあちこちにあるから略。家具装飾なんかにも使われたとか。
4×8センチで、7000円台。もっと安いものもあったけど、見た目がいいので少し分不相応なのを買ってしまった。(一葉越えも犯したのかよ)
何に見えるかは、あえてはっきりさせない。天地逆にしたり横にしたりして、不思議な模様を不思議なまま楽しむのがよろしいかと。
独特の雰囲気があって実にいい石です。たとえ面白い風景が見えなくても。

     *     *     *

で、破戒ついでに「しのぶ石」、デンドライトもご購入。(おいおい)
ご立派なケースに入って、左右110ミリとでかい。でも3000円とお安かった。東サさんはぼらないから有難い。もちろん高いものもあるけど。
普通は黒っぽい模様のが多いけれど、これは晩秋のケヤキを思わせるような薄赤茶と渋い青緑のツートンでいいなと思って。

二色が重なっているところなぞは、実に繊細で美しい。

しのぶ石と聞くと「みちのくの」の歌が出てくるけど、あれは染物でしたな。こちらは「乱れ」ているわけではない。けれど何となく人間の想念の拡がりを思わせないでもない。以前はちょっと気持ち悪いなんて思っていたけど、茫洋と拡がっていく様がいい味わいです。

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こういう模様を楽しむ石というのはアゲートの類を始めとしていろいろありますね。ネットにある写真なんかを見ていると、まあ驚くばかり。あちきは足を踏み入れないようにしているけど、この方面の沼も深そう。
そう言えば、天草石というのもありましたな。(石の名前もお店の名前も忘れたやつねw) こちら。ちょっと色合いは淡色のパエジナに似ているけどこちらは日本産らしく山水画っぽい。石も文化に似るのか、文化が石に似るのか。(ないない)

こういう手の石は模様の美しさが売りだから写真でも十分味わえるとは思うけれど、でもやっぱり石は質感、質量感が大事。手にとって重さや存在感を感じ、ためつすがめつしてみたい。裏側や断面を見てどうなっているかも知りたいし。

これはパエジナの断面。酸化マンガンの混ざり方がよくわかる。なかなか複雑な石ですね。

裏面。研磨・ワックスはされていないけど、これもなかなか味がある。

アゲートなんかだと、面白い模様を出すのには加工職人さんの見立てと腕が必要でしょうけど、こういう浸透模様ものはどうなんですかね。パカパカ切ってみて、出たとこ勝負で「お、これはいい。これはちょっと」とかやるのか。それでも切る方向なんかは経験がないと難しいでしょうね。

しのぶ石の方は、どういう石をどういうふうに加工しているのかよくわからない。岩石の表面に模様が出ているのかと思ったら、裏にもちらりとある。

はて。層になっているのを割るのか。それにしては表面に凹凸がある。わからない。

しのぶ石は割合軽やかで繊細、パエジナは重厚感がある。
やっぱ石は色や形ばかりでなく、質感、質量感というのも魅力。それは模様石でも同じことのようで。
だから買って持たなきゃいけないのですよ。(あ、要するに弁解か)

*ツーソンじゃなくてミュンヘンでした。すんまへん。


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