貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

オーソクレースは「Or」ではない

2023-01-18 21:51:39 | 単品

まったく誤解しておりました。お恥ずかしい。
長石の細かい分類で、カリウム、ナトリウム、カルシウムを3つの極(端成分)で表した図をよく見ます。で、そこにはそれぞれ「Or」「Ab」「An」と書かれている。
だから、カリウム純粋の長石「Or」がオーソクレースなのだと思っていました。だって「Ab」はアルバイト、「An」はアノーサイトでしょ。

先日、いろいろと気になることがあったので、図書館に行ってみたのです。(暇持て余したかw)
で、日本鉱物科学会編集『鉱物・宝石の科学事典』(朝倉書店)という分厚い本を見てたのですが、ふっと長石の項を見たら、こうありました。

《正長石(オーソクレース)は、サニディンと微斜長石の中間的秩序状態の偽単斜晶系カリ長石のことであり、固溶体端成分表記としてのOrとは異なる。》

は? Or がオーソクレースで、アルバイト(ナトリウム)寄りがサニディンじゃないのかよ。あちゃちゃー。

で、改めてオーソクレース、サニディン、マイクロクリンの違いを調べてみると、「カリウム/ナトリウム」の成分比の問題ではないのですね。
結晶の形などの非常に難しい話なのですが、
アルミニウムとケイ素の配列が
 ・無秩序で単斜晶系     →サニディン
 ・一部秩序があり単斜晶系  →オーソクレース
 ・完全に秩序があり三斜晶系 →マイクロクリン
ということのようです。で、厳密な意味でのオーソクレースの存在は稀だと。おまけにこの三つは、外見では区別できないらしい。ううむ。
以前はカリウム/ナトリウム比率で「アノーソクレース」「サニディン」と分ける見方もあったけど、今はもうその分け方は使わないらしい。

難しいですねえ。素人が余計なことを書くものではない、ということだけど、Or と書いてあるじゃん、違うんなら別の略語にしたらまぎらわしくなかったのに。だいたい「カリ長石」と「アルカリ長石」というのもまぎらわしいし。(文句多いぞ)

オーソクレースというのは純粋カリウムの「正統な」長石だと思っていたけど、だいぶ格が落ちた感じでがっかり。
むしろ「玻璃長石」という美しい名があるサニディンのほうがカリ長石の王者なのかもしれない。

ちなみにアマゾナイトという青い石は、一般的にはマイクロクリンだと言われていますけど、どうもオーソクレース型のものもあるらしい。青の色は含まれている鉛や水、放射線被曝によるものと考えられているとのこと。
今でも初心者ですけどもっと初心者の頃、アマゾナイトの安いタンブルを買ったのだけど、なんか感覚に合わなくて嫌な感じがして(じゃあどうして買ったw) 近所の子にあげてしまった。(近所の子をゴミ箱にするなw) そんなことってほとんどないのだけど。それ以来、個人的にはアマゾナイトにいいイメージがない。名前もアマゾン川では出ないという変な命名だし。高価なものならきれいなのでしょうかね。あ、余計な話でした。(いやそもそもだね、このブログ自体がだね……)

いやあ、しかし、とんだ誤解でした。すんません。


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