古都の名残を求めて

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古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

薬師寺東塔の古材(その1:大斗)

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薬師寺東塔の古材(三層  大斗)

写真は現在薬師寺西僧坊で特別に一般公開されている薬師寺東塔に使われてきた古材の一つ(三層で使用された大斗)である。古代の建造物が、瓦により屋根が重くなったことは、建物に様々な部分に問題を引き起こした。以下建築に関するブログ「ひとかかえ大きな木」さんの記事からの引用。

木材は繊維を束ねた構造であるため、縦方向にかかる力には強いが、横から一点に受ける力には弱い。つまり、柱として用いるにはいいが、梁や桁のように水平に置く部材の場合、柱や束(短い柱)などとの接合点に重い屋根荷重が集中し、そこから割れたり折れたりしやすいのである。そこで考案されたのが「組物(くみもの)」と呼ばれる仕組だった。組物は水平材を掴むための手である「斗(ます)」と、この手を伸ばすための腕である「肘木(ひじき)」を組み合わせたもので、横に伸ばした肘木の先端に斗がのり、斗が他の部材をつかむことで、部材同士の接触面を増やし、荷重を分散する役割を果たす。

という特徴を持っている。この大斗(だいと)とよばれる部材は、横方向の木材を掴むように支え、薬師寺東塔の各層の重い屋根を支えてきたものである。経年変化で劣化している部分も見られるが、1300年の歴史を支えてきたものとして感慨が深い。撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Summicron 50mm f/2(沈胴タイプ)である。

参考記事:「ひとかかえ大きな木」(古建築についての私的研究・感想ノート、および訪問記)より

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